生まれたきっかけは〝やさしさ〟 高知・仁淀川「紙のこいのぼり」が水の中を泳ぐワケ

2024年4月30日(火)17時0分 Jタウンネット

そろそろ5月だなあ、と思ってネットサーフィンをしていたら、「鯉のぼり」に関する不思議な写真を発見した。

写真素材サイト・写真ACにアップされていた「水の中で泳ぐ鯉のぼり」というタイトルで登録されていた1枚である。

空にはためく鯉のぼりが......水の中を?

写真には「土佐和紙」「紙で作られた鯉のぼり」「仁淀川」といったタグもつけられている。

仁淀川で泳ぐ鯉のぼりについては、他にもこんな写真が。

「高知県いの町」「紙のこいのぼり祭」「不織布」といったタグがつけられていた1枚だ。調べてみると、「仁淀ブルー」の愛称で知られる四国の一級河川・仁淀川が流れる高知県いの町では、毎年5月3日〜5月5日の3日間に渡って同河川に約250本の鯉のぼりを流す「仁淀川紙のこいのぼり」を開催しているという。

Jタウンネット記者は2024年4月17日、このイベント実行委員会事務局にその歴史を聞いた。

きっかけは「かわいそう」という気持ち

同事務局の担当者によると、「仁淀川紙のこいのぼり」が、1995年に初開催されたイベントだ。

「伊野町(いの町に合併前の旧町)100周年事業として初回を開催しました。こいのぼりは地元の制作団体『こいのぼりくらぶ』が不織布を使って作成している紙製のものです」(事務局担当者)

いの町観光協会公式サイト「いの町観光ガイド」によれば、同町は三大和紙の1つである国指定伝統的工芸品「土佐和紙」の発祥の地。仁淀川の豊かな恵みを背景に古くから製紙産業が盛んだったそう。

鯉のぼりが紙製なのも「紙の町」ならでは、といったところだろう。

それにしても、一体なぜ空に掲げるのではなく川で泳がせるようになったのか。

記者が改めて聞いてみると、事務局の担当者はこう説明した。

「イベント発案者である『こいのぼりくらぶ』の方が、5月に家の近くのこいのぼりが風が吹かず垂れ下がっているのをかわいそうだと思って、『水中なら常に泳ぐはず』と考えたことがきっかけだそうです」

たしかに、日によって風が吹かない空とは違い、川ならいつも水の流れがある。水中にいればいつでも躍動感のある姿が見られるというわけだ。

発案者の優しさから生まれた「こいながし」。

イベントとしては3日の午前9時30分から始まり、そのまま放置。5日の午後3時から引き上げ作業に入り、引き上げた鯉のぼりを先着順で配布する。

期間中には河川周辺で鯉のぼりのワークショップやあめご釣り大会のほか、予約制の各種リバーアクティビティといったイベントも同時開催する。詳しい内容やスケジュールは「いの町観光ガイド」サイトまで。

Jタウンネット

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