スパゲッティのルーツ!? 本郷三丁目『ムーサ蘭州牛肉麺』の「干拌麺」とは?

2019年5月15日(水)12時0分 食楽web


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 2017年、東京・神保町に、本場・中国から来た『馬子禄(マーズルー)』がオープンして以来、この2年間に、日本全国に本格的な「蘭州牛肉麺」の店が続々と誕生しています。

「蘭州牛肉麺」とは、中国西北部に位置する甘粛省の省都・蘭州で日常的に食べられている麺のこと。そのスタイルには基本があり、「一清・二白・三紅・四緑・五黄」で、簡単にいえば、牛骨の透明なスープ(清)に、大根(白)、ラー油(紅)、パクチー(緑)、そして手で伸ばした黄色い麺(黄)が入っているのが特徴です。

 甘粛省は、イスラム教を信仰する少数民族が多数いるので、この牛肉麺は「清真料理(ハラル料理)」でもあります。

 蘭州市内だけでも牛肉麺の店が3,000軒以上あり、人それぞれ行きつけの店があるのだそう。だから、日本に続々とオープンしている店の蘭州牛肉麺も、見た目は似ていても、味わいは店ごとに違うんです。


『ムーサ蘭州牛肉拉麺』の「蘭州牛肉ラーメン」880円。麺は太麺、細麺、平麺、普通の4種類から選べます

 筆者も中国や日本で蘭州牛肉麺店をいくつか回って食べましたが、最近食べた東京・本郷三丁目にある『ムーサ蘭州牛肉拉麺』は、個人的に一番美味しいと思ったので、ご紹介したいと思います。


2019年1月にオープンしたばかり。学生さんや中国のお客さんが多く食べています

素朴ながら滋味深い味に感激

『ムーサ蘭州牛肉拉麺』は東大の赤門近くにあります。

 お店の人たちは中国語オンリー。オープンしてまだ半年も経っていないのに、昔からそこに店があったかのような、そして中国の田舎にいるような空気が漂っているんです。


「茶葉蛋(ゆで卵の煮物)」は1個無料サービス


中国語が話せなくてもメニューを指差せば注文が通ります

 今回は、友人と二人で行ったので、定番の「蘭州牛肉拉麺」(880円)と「干拌麺」(1,020円)の2つを食べてみることにしました。


待っている間に、魔法のような手延べテクニックも見ることができます

 まずは、「蘭州牛肉拉麺」。

 透き通った牛骨スープは、臭みや雑味が一切なく、あっさりとしていながら旨みがきちんと抽出されています。そのスープをレンゲで口に運ぶたびに、漢方のような複雑なスパイスの味がして、ラー油の香り高さも格別。

 手延べ麺のツルンと口当たり、噛むともっちりした食感が、この滋味深いスープとピタッと合っていて、素朴な見た目とは裏腹に、かなり高級な味がします。

 続いて「干拌麺」。これは、今までに食べたことがない料理だったので衝撃的でした。

 太くて丸い麺の上に、サイコロ状に切った玉ネギ、セロリ、ジャガイモ、そして羊肉がゴロゴロ載っていて、トマトの風味が効いた爽やかな味。

 友人が「これ、スパゲッティのルーツじゃない?」と感想を口にしていましたが、確かに餃子がシルクロードを通ってイタリアでラビオリになったと言われているように、これがイタリアでパスタになったんじゃないか、なんて気もしてきます。

 そして、こちらもスープが決め手なのでしょう。牛肉と野菜がしっかり煮込まれたスープに、打ち立て、茹でたてのツルツル麺が軽快に合います。


具材にも麺にもスープとトマトの味が染み込んでいます


牛骨や牛肉、鶏肉、スパイス30種類以上を使ってスープを作るそうです

 この料理について、ご主人に聞いてみると、ご出身の青海省で、そちらでよく食べる郷土料理なんだそう。

 青海省は蘭州のある甘粛省よりもさらに西北部に位置し、新疆ウイグル自治区の隣。チベットの麓でもあります。調べてみると、ウイグル料理に「ラグマン」というのがあり、それがこちらの「干拌麺」。

 どちらの麺料理もかなり美味しかったのですが、さらにメニューにあった「自家製ヨーグルト」(358円)も食べてみることにしました。


たっぷり入った「自家製ヨーグルト」358円

 このヨーグルトが、すごかった! 自分のヨーグルト体験史上最も美味しいヨーグルトでした。超濃厚、甘みも程よく、コク深い。改めて、中国の食文化に感動しました。

 半年前に日本に来たばかりというご主人は、手が空くと、テーブル席に座ってお客さんと話をし始めたりします。そんなゆる〜い感じなのに、料理はカンペキ! ぜひ、皆さんも行ってみてください。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:ムーサ 蘭州牛肉拉麺

住:東京都文京区本郷5-23-13
TEL:080-6710-0509
営:11:00〜23:00
休:無

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