弊社の読書会事例 「ドメイン駆動設計をはじめよう」編
2025年5月28日(水)10時0分 BIGLOBE Style
開発部署で始まった読書会に参加した体験記です。「ドメイン駆動設計をはじめよう」を読み解く過程で、チームで議論し理解を深めることができました。読書会を通じて得た気づきについてご紹介します。
こんにちは、開発部門(プロダクト技術本部)の嶋崎です。
私たちの部署で若手メンバーを中心とした読書会が始まり、参加する機会がありました。
書籍「ドメイン駆動設計をはじめよう」(著:Vlad Khononov、訳:増田 亨、綿引 琢磨、出版:オライリー・ジャパン)を題材に、全15回にわたって実施した読書会の進め方と得られた学びについて紹介します。
ドメイン駆動設計(DDD)は、ソフトウェア開発において複雑なビジネスロジックを整理し、より良い設計を行うための手法として知られています。
書籍自体は従来のドメイン駆動設計に関する書籍と比べても読みやすい部類に入ると思いますが、
そうは言っても抽象的な概念も多く含まれるため、書籍を読んだだけではなかなか理解しづらい部分もあるのも事実です。
この記事が同様の取り組みを検討されている方や、組織内での知識共有の場づくりに悩んでいる方の参考になれば幸いです。
読書会の流れ
全15回にわたって開催されました。週に1時間、カレンダーに時間を確保し、都合のつくメンバーが参加するようにしました。
読書会では事前準備は不要で進め、その回ごとに一緒に読み進めていくスタイルで進行しました。
読む範囲はおおむね書籍の章ごとに分割して、ボリュームのある章は複数回に分けました。
1時間の流れは大きく2つのパートに分けて進行しました。
- 前半30〜40分
- 指定された範囲を各自で読みながら、気づきや疑問をホワイトボードツールに書き出す
- 後半20〜30分
- 書き出した内容をもとに、参加者同士で話し合う
今回はホワイトボードツール(draw.io)を使って情報を共有しました。読みながら気づいたこと、疑問点、関連する経験などを自由に書き込みます。
書くためのルールは設けず、思いついたことをそのまま記録するようにしました。後半は書き出された内容を元に、質疑応答を進めていくといった感じです。
読書会に参加してみて
よかったこと
- その場で読んだ後にすぐに参加者同士で話せて楽しい
- 読んでいて疑問や気になる箇所を共有したことで、他の参加者の解釈やアドバイスがもらえました。
- DDDに詳しい有識者や過去のシステムで実践したときの失敗談など実際に体験したエピソードから、話が盛り上がりました。
- チーム内の共通言語の形成
- 読書会で学んだ内容について共通認識があるため、実際の業務でも「あの本で出てきた〇〇の考え方」と参照しやすくなったり、書籍の内容をベースとした議論がありました。
イマイチなところ
- 進捗が遅い
- その場で読み進めるスタイルのため、全15回と長期間を要しました。短期間で知識を得たい場合には向いていないです。
- 参加者のスケジュール調整が難しい
- 毎回全員が参加できるわけではなく、欠席者へのフォローが課題となりました。それが参加者のモチベーション低下につながることもありました。
- 議論の深さにムラがある
- 本の内容と読書会のスタイルの特性もあり、読む章によっては議論が活発になる部分とそうでない部分があり、工夫が必要だと感じました。
まとめ
ドメイン駆動設計(DDD)は 概念的で抽象的な内容が多いため一人で読むと「なんとなく理解した」という曖昧な状態で終わりがちになると思いませんか。
読書会形式で進めることで、効果的に理解を深めることができたと思います。また、普段の業務では関わらないメンバーとも会話することで、技術的な議論ができる場として機能し、単に知識を得るだけでなくチームとしての共通言語や土台を築けたことも収穫でした。
おわりに
読書会を通してDDDという難解な概念を楽しみながら学ぶことができました。
最初から完璧な読書会を目指すのではなく、まずは気軽に始めてみて続けていくために自分たちに合ったスタイルを見つけていくことが大切だと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。