一撃で顔面が崩壊するクマの殺傷能力を医学的に解説! 初撃は「左のビンタ」が圧倒的に多い、素手でクマを倒す方法も紹介=亜留間次郎

2023年6月13日(火)20時0分 tocana

【薬理凶室の怪人で医師免許持ちの超天才・亜留間次郎の世界征服のための科学】


クマの殺傷力

 日本全国で発生したクマ被害の総数は2008年から2022年までの15年間の統計で1407人に対して死者32人で死傷率は2.3%程度です。


 日本にはツキノワグマとヒグマがいますが、死傷率はヒグマが圧倒的に高く、ツキノワグマでも死者は大型の傾向が強く出ています。


 令和三年で見るとツキノワグマが74人中1人に対して、ヒグマが14中4人が死亡しています。


 平成29年はツキノワグマ104人中1人に対してヒグマが4人中1人と通年の平均で見れば圧倒的にヒグマが高いです。


 ツキノワグマ遭遇ガチャの死傷率は100人に1人ぐらいでヒグマ遭遇ガチャの死傷率は4人に1人ぐらいと言えそうです。


 単純に小型のクマほど死傷率が低く大型であるほど死傷率が上がるようです。


 以前にライオンを調べたときは遭遇時の死傷率が66%にもなったのでクマはライオンよりも大幅に殺傷力は低そうです。


 ライオンと熊が人間狩りをしたらライオンの圧勝でしょう。


 よく誤解されていますが、動物の体長とは鼻の頭から尻尾の付け根までの長さのことで人間で言えば身長ではなく座高に相当する長さで、人間は身長170cmなら座高は約92cmぐらいです。


 クマは人間よりも短足で首が長いので体長110cmが立ち上がると人間の身長170cmと同じぐらいになります。


 体重も体長110cmが70kgぐらいなので大体同じです。


 クマは体長130cmで120kgぐらいになり、この大きさになると立ち上がったときの体格は完全に平均的な人間を超えます。


 本州で遭遇するツキノワグマは大半がこれぐらいの大きさです。


 北海道のイメージが強いクマ被害ですが過去15年間の1407人中248人(17.6%)が岩手県で起きていています。


 クマ被害は多いときと少ないときの落差が大きく、たとえば長野県の場合は前後の年が一桁なのに平成26年だけ全国121人のうち32人の被害者が出たりして偏る年がよくあります。ただ、平均値でいえば岩手県が一番です。


 そんな日本一クマ被害が多い岩手県最高峰の救急医療施設である岩手県高度救命救急センターでは50例のクマ外傷を分析した論文を出しています。


 救急搬送された50例の内訳は軽症0、中等症34、重症16、死者0となっていて、クマに襲われてから病院に搬送されるまで182±10分と3時間もかかっているのに死人は出ていません。


 病院にたどり着くまでの時間が長いのは山奥で襲われているためです。


 最近もクマに襲われた人がニュースになっていますがクマは虎やライオンなどの猛獣と異なり人間を攻撃するときは正面から頭部を狙うことがしられています。


 前足でビンタするため受傷部位は圧倒的に顔面が多く、頭をかばおうとした腕周りが次に多く、次が頭です。


 これは後ろ足に踵を持つ蹠行動物である熊だから可能な攻撃法で虎やライオンは攻撃するために飛び上がることはあっても立ち上がって前足を自由にして攻撃することはできません。


 猫パンチがあるのに犬パンチはできないのかと言われますが、犬は鎖骨がないため、パンチの動作ができません。


 クマも鎖骨がないため、虎やライオンのような猫パンチができないので基本的に横薙ぎの攻撃になりパンチというよりビンタの動きです。


 このため、虎やライオンの爪は縦方向に傷が出来るのに対してクマ外傷は横方向に傷が出来る特徴があり、症例報告を精査すると頭部の側面から受傷している人が多いです。


クマ外傷の受傷部位(複数部位の患者が多いため100%よりも多くなっている)


顔面:90%
上肢:38%
頭部:26%
下肢:10%
胸部:2%
首 :2%
性器:2%


人間がクマに殴られたらどうなるか

 実際に人間がクマに殴られたらどうなるか見てましょう。


 クマのビンタは顔の肉どころか骨まで持っていく恐ろしい攻撃です。


 多くの症例で殴られた側の目玉が飛び出して失明したり、鼻や耳が無くなったり、アゴを骨ごと抉られて顔が半分無くなったみたいな大怪我をしています。


 一例として体長130cmのツキノワグマに襲われた男性の頭は前頭骨骨折をして外傷性くも膜下出血を起こした上に頭蓋骨の側面が陥没して右目の眼球が飛び出して歯が三本折れています。


 一発ビンタされただけでコレだけの重症になりました。


 クマに噛まれた左腕は尺骨を骨折していました。噛まれると腕の骨が簡単に折れるみたいです。


 治療が大変で全身麻酔をして脳神経外科、眼科、耳鼻咽喉科、形成外科、口腔外科の5人の医師が同時手術になりましたが、手術した翌日には意識も戻って右目以外は回復しています


 骨折した腕も無事に回復したそうです。


 最近、北海道で体長1.6メートル、体重約160kgの熊に襲われた人は重傷を負いながら助かりましたが、熊の攻撃は一撃で人間の肋骨6本を折り爪痕は140針も縫うほどの大怪我でした。


 完治して職場復帰まで7カ月という長期療養を強いられ、致命傷じゃないけどものすごく辛い怪我になるようです。


 こうした怪我は見た目が恐ろしい割に意外なほど急所に届いていません。


 病院までの搬送時間が三時間にも及ぶ割に死んでいないのは重要臓器や出血が激しい部位が損傷していないからです。


 あくまでもクマの戦いは自衛や縄張り争いなので相手を殺す殺意がないみたいで、クマ被害で死者が少ないのは、クマは急所を攻撃しないし、人間が倒れて動かなくなるとトドメを刺さないからのようです。


 筋力と爪の威力が強すぎてビンタ一発で大怪我になるだけで、やっぱりクマは優しくて思いやりがあるようです。


クマと戦う空手家

 空手家が山にこもって素手でクマを倒すネタは定番ですが。


 武器を持たない空手家でも法律上はクマの狩猟者として「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」を守る義務があります、昔は「狩猟法」と呼ばれていた法律です。
猟銃とか持ってない素手なのにと思うでしょうけど、空手でクマを倒すのも法的には自由猟具を用いた狩猟になるため、狩猟者登録と狩猟税の支払い義務が生じます。


 石を投げる投石とかも法的には同じ扱いです。


 ちなみに、鷹匠が鷹を使って鳥を捕るのも法的には自由猟具を用いた狩猟になります。
鷹匠は鷹が自由猟具になるように空手家は素手が自由猟具になります。


 犬は法律で明確に禁止されていますが、鷹匠のように法律で禁止されていない動物を使うのは合法です。


 ただし、特定動物は外に連れ出せないので飼育しているクマと野生のクマを戦わせるのは法的にアウトなので、犬以外で特定動物に指定されていない動物を使わなければなりません。


 アルマジロはOKですが、勝てる気がしません。


 昔からクマは左利きだと言われてきました。中国が起源なのか熊の手を食材にした高級中華料理は左手の方が高価です。


 右手は安い残り物ですが、無知な観光客に熊の手は右手が高級だとウソを言って売りつけていた中華料理屋が香港に多かったせいで日本では左右のどちらが高いのか混乱が生じています。


 岩手県高度救命救急センターではクマの攻撃が左右どちらなのか患者から聞き取り調査をして患者が覚えていた23例で右が11例、左が12例で大きな差はないとしていますが、患者の記憶による自己申告なので当てにならないと思い、著者は熊外傷30例を見てクマは左利きだと言われている仮説を補強する傾向を見つけました。


 重傷は顔の右側を受傷している人が多く左側を受傷した人は重傷が1人と骨折が無い挫傷が2人でした。


 目玉を失っている人は右目ばかりで頭蓋骨や顎の骨まで大きく損傷しているのは右側が多数派です。


 つまり、正面に立っているクマの左手で頭や顔の右側を殴られています。


 ベアクローの初撃は左が繰り出されることが多く威力も左が強いことからクマは左利きであると考察します。


 クマと格闘する時は左手に注意と覚えとくと良いでしょう。


 猟銃を持っていれば熊に勝てるのかと思いますが、猟銃が合法でクマ被害の多いノルウェーとスウェーデンがあるスカンジナビア地域では、1977年から2016年の間に負傷者42人、死者2人が発生しました。このうち26名は負傷する前に8±11メートルの近距離でクマに向けて発砲していました。


 山でクマに遭遇したら慌てて発砲してもダメなことが普通にあったみたいです。


 実際に日本でもクマを駆除しようとして負傷した人は出ているので、銃があれば必ず勝てるほど甘い相手ではないようです。


 空手でクマを倒す難易度は極めて高そうです。


素手でクマを倒す方法

 ちなみに、著者と家族は素手でヒグマを倒したことがあります。


 どうやって倒したのかといえば、自分の家で飼育しているペット、特定の個体限定の話で慣れているので誰でも簡単に倒せます。


 小学生ぐらいの子供でも倒せます。その子は高校の柔道部で大会に出たことがあるのですが、日本の高校柔道には小学生の時に素手でヒグマを倒したことのある選手が出場していたことになります。


 当人は特に言わなかったみたいだし、選手としての成績は平均以下でしたけど……。


 昔はポーランド軍の兵士とレスリングをしていた兵隊クマのヴォイテクなんて有名な話もありました。


 第二次大戦中のポーランド軍には素手でクマを倒せる兵士が何十人も居たのです。


 そんなわけで、クマは小さいウチから飼育すれば人になつきます。


 調教して芸を仕込むのも容易な動物であることから、サーカスを始め古くから見世物やペットになってきました。


 アメリカやカナダにはクマ俳優(Bear actors)なんてペットタレントもいます。


 有名なバート君は、立ち上がったときの身長が290cm、体重が680kgあったそうです。


 動物虐待と言われることが少なかった昔のこうしたクマ俳優は、格闘技の試合に見世物として出されたこともあり、クマと戦うボクシングの試合もありました。


 クマの攻撃力は体重に物を言わせたクマビンタの打撃力と大きなツメによる外傷なので、グローブをさせてツメと打撃力を封じれば戦えない相手ではありません。


 全く逆の発想でクマのツメと打撃に耐える防具を身につければ大丈夫ということでグリズリースーツなんて物を開発していた人も居ました。


 おそらく、日本で空手家がクマを倒す話は海外のこうした見世物の影響ではないかと考えています。


 現代でもクマ俳優はいるので、お金を積んで試合をマッチングしてもらえば空手でも柔道でも素手でクマを倒すことは可能です。


 金さえあれば誰でも安全確実にクマを素手で倒すことはできます。格闘家の皆さんは宣伝のために挑戦してみてください。


参考資料

一撃で肋骨6本、140針 札幌・東区ヒグマ襲撃被害の男性が体験した恐怖(北海道新聞)


「Bear-Inflicted Human Injuries in Yellowstone National Park, 1970-1994」(Ursus)


「Brown bear (Ursus arctos) attacks resulting in human casualties in Scandinavia 1977-2016; management implications and recommendations」(PLoS ONE)


「当施設におけるクマ外傷50例の検討」(J-STAGE)


Bart the Bear(Wikipedia)

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