「心理的安全性を高めたら組織がぬるま湯になって成果が出なくなった」とぼやく管理職に共通する残念な特徴とは
2024年4月12日(金)6時0分 ダイヤモンドオンライン
変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。
Photo: Adobe Stock
心理的安全性の誤用
組織における心理的安全性とは「自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態」を指しますが、この概念が、残念ながら組織内で誤解されているケースが多く見受けられます。
心理的安全性を単なる「和気あいあいとした雰囲気作り」「和やかな職場風土」と誤解してしまうと、上司は厳しいフィードバックを避け、メンバー間では過度な慰め合いが進み、結果、組織全体の成果志向が低下して組織の成長の機会を阻害してしまうといった状況に陥ります。
成果を出さねばならない組織における心理的安全性とは、リスクを恐れずに意見を言える環境を指すものであり、決して部下や同僚を甘やかすことではありません。厳しいことを言わず褒め続けたり、飲み会を開催して家族のような関係を築いたりすることでもありません。
成果と直結しない心理的安全性は、従業員の自己改善の機会を奪い、組織全体のパフォーマンス低下につながります。
真の心理的安全性と成果追求
心理的安全性を高めつつ成果を追求するには、適切なバランスが必要です。
まず、管理職はメンバーの意見にしっかりと耳を傾け、尊重する姿勢を崩さないことが重要です。そして、自由な意見表明を促進する一方で、目標達成に向けた具体的かつ建設的なフィードバックを定期的に提供し続けることが必要です。
たとえば、メンバーが自由に意見を言えるような会議の場を設けつつ、その意見がプロジェクトの進行や結果にどのように貢献するかを明確にしてフィードバックを行うなど、成果に結びつく心理的安全性の構築こそが組織にとっての真の価値を生み出します。目標達成に向けて、社員の意見を取り入れながらも、明確なガイドラインと期待を示すことで、心理的安全性と組織の成果は共に高まります。
アジャイル仕事術によるチームの強化
心理的安全性と成果のバランスを最適に保つには、まずはメンバー一人ひとりの興味や価値観をお互いが深く知ることが不可欠です。
たとえば、朝礼やチームミーティングの中でメンバーが自分の興味や活動について話す機会を設けることは、相互理解を深め、チームの結束力を高める信頼関係の構築に寄与します。これは、厳しいフィードバックや意見の対立があった場合でも、協力して成果に繋げられる強固なチームワークを構築するカギとなります。
また、アジャイル仕事術を採用することも、チームメンバーのポテンシャルを引き出しながら組織の成功に貢献します。アジャイル仕事術は短期に設定された作業のサイクルによって変化に迅速に対応し、継続的な改善を目指す方法論です。
短期的に繰り返されるフィードバックはチーム内のコミュニケーションと相互理解を促進するだけでなく、チームメンバーが互いの強みを活かし、協力して目標達成を目指す文化を育みます。
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)が初の単著。
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