一か月以内に起こる地震の「ピンポイント予測」を生み出した奮闘の10年間。東日本大震災の悔いを果たすべく数々の可能性に挑戦した開発ストーリー

2024年5月13日(月)15時0分 PR TIMES STORY

 株式会社地震科学探査機構(JESEAジェシア)は、地震予測情報を有料配信している設立12年目の会社です。地震大国の日本にあって、地震に関する情報は大変重要ですが、「緊急地震速報」では地震まで数秒しかなく、対処はできません。人々の防災に役立つ情報は地震予測情報であると考えます。私たちJESEAは毎週水曜日に地震予測情報アプリ・メルマガ「MEGA地震予測」(税込380円/月)を配信しています。

 2021年7月、マグニチュード6クラス以上の地震を一か月以内にエリアを指定して予測する「ピンポイント予測」の実用化に成功しました。その的中率は70%*を超えています。

 この「ピンポイント予測」が人々の大地震に対する備えとなることを願っています。そして、私たちJESEAは、更に高い精度の地震予測を目指して日々研究を続けています。

 このストーリーでは、会社立ち上げから「ピンポイント予測」が誕生するまでのヒストリーを代表取締役の橘田寿宏が振り返ります。

代表取締役/CEO 橘田寿宏

科学者として悔恨の念にかられた「東日本大震災」、社会貢献を模索する3人が地震予測の会社設立

 東日本大震災をきっかけに、JESEA(ジェシア)地震科学探査機構は本格的に地震を予測する会社として2013年1月に設立しました。

 発足メンバーは、写真測量・リモートセンシングの第一人者である村井俊治東京大学名誉教授が顧問(後に取締役)となり、WOWOWやアミューズなどでコンテンツ制作に携わっていた私、橘田寿宏が社長を務め、再生医療の薬を開発するバイオ関連の会社を経営していた谷川俊彦が取締役となりました。地震とは無関係の3人でした。

 村井俊治東京大学名誉教授はGPSデータから地震を予測する方法の特許を持っていました。そして東日本大震災の前に地殻変動に異常が現れていたことも知っていました。

 しかし、その情報は公開されることなく2011年3月11日に東北地方太平洋沖にて巨大地震が起きました。村井先生は多くの尊い命が奪われたことに対し、科学者として悔恨の念にかられました。

 東日本大震災直後の日本は、多くの人々が「被災者のために何かできることはないか」と模索していたように思います。私と谷川も何か自分たちができる社会貢献を探していました。

 2012年10月、村井、橘田、谷川の3人は偶然出会い、僅か3か月で地震予測を配信する会社を作りました。村井先生は自身が取得していた特許を更にブラッシュアップした新しい予測方法を考えていました。

リモートセンシングを用いて、地震予測を可能にする

 会社設立の翌月からコンシューマに対して地震予測情報を配信する準備をしていたある日、ふとした素朴な疑問が私の頭を過ぎりました。「地震予測をするのに地震学者がいなくても良いものだろうか」と…。そこで地震予測について専門家の講演を聞きに行こうとインターネットで探し、東京大学名誉教授で東京大学地震研究所出身の上田誠也先生の講演を谷川と二人で聞きに行きました。そこで上田先生は「地震予測はできる。地震予測とはプリカーサー、つまり前兆を捉え、地震との相関があればよいのである。」という力強いお言葉を拝聴いたしました。そして、「前兆は、電磁波でもいいし、地殻変動でも音波でも良い。更には動物の宏観現象でも科学的に捉えられれば良いのである。」とおっしゃいました。私はその瞬間、私たちが地震予測を行なうことへの戸惑いは払しょくされました。なぜならその前兆を捉える技術こそリモートセンシングであったからです。そして、村井俊治先生は国際写真測量・リモートセンシング学会の会長や国連会議の議長も務めた世界的権威でしたので、その村井先生が地震予測を行なうことは必然だったのです。

 最近、私はリモートセンシングこそ地震予測の王道ではないかとさえ思っています。

「MEGA地震予測」第一号

 こうして、私たちの地震予測情報「MEGA地震予測」は2013年2月7日にまぐまぐのメルマガとして第一号が配信されました。当時はまだ全国版ではなく関東版と近畿版でした。分量もA4判換算でわずか2枚でした。

現在の「MEGA地震予測」アプリ版

 現在はメルマガの他、Webサービスやスマホアプリもあり、分量はA4判換算で17枚以上あります。その他「動画」による解説や時系列で地殻変動が見られる「地殻変動MAP」もありますので、当時の情報量から考えると著しく進化を遂げたと感じます。


地震予測の「時期」が当たらぬなか、災害リモートセンシングの専門家が現れる

 こうして、配信を開始した「MEGA地震予測」でしたが、順風満帆というわけにはいきませんでした。幸い多くのマスコミに取り上げられ、加入者数は伸びていきましたが、肝心の予測の精度が上がらず試行錯誤を繰り返していました。

 その頃のJESEAの地震予測の精度は予測の3要素である「時期」、「場所」、「規模」の内、「時期」の精度が悪く、数週間から数ヶ月という大まかなものでした。当時のJESEAにとっては「時期」の精度を上げることが喫緊の課題でした。

 そんな中、2016年4月に最大震度7の「熊本地震」が起きたのです。残念ながらこの地震を予測することはできませんでした。

 私たちは精度を上げるために様々な前兆を捉える研究に没頭していきました。あらゆる可能性を排除せず、民間人の研究家の方々からの情報にも耳を傾け、その方法の有効性なども確認していました。ある大阪の研究家と村井先生による共同研究で特許を取得したこともあります。

 様々な地震予測方法の開発は進みましたが、実用化までには至らず、私たちは自信を失いかけていました。

 2018年頃、中国の大学教授・郭広猛博士からメールが度々届くようになりました。そのメールには彼が解析した日本国内の地震予測も含まれていました。彼はアメリカの科学雑誌ネイチャーが選んだ「世界の研究機関」で1位を11年連続獲得している「中国科学院」で地震予測を研究していた、災害リモートセンシングの専門家でした。彼が送ってきた日本の地震予測は、その的中率がとても高く、スタッフ全員驚きました。私は郭博士にとても強い関心を抱き、いつしか一緒に地震予測研究がしたいと願いました。

郭広猛博士がJESEAに合流、「一か月以内の地震予測方法」の実用化に成功

写真左:村井俊治東京大学名誉教授 JESEA現名誉会長 右:郭広猛博士 現CTO

 2020年11月、私の願いが叶い、郭広猛博士は来日しJESEAの主席研究員となりました。そこから、「1か月以内の地震予測」の実用化に向けての研究が、村井俊治東京大学名誉教授と郭博士によって始まりました。

 地震の前兆には様々なものがありますが、そのほとんどにノイズやエラーデータが混じります。したがって1つのメソッドに頼ると精度が低くなるのです。

 研究開発を続けた結果、JESEAでは6件の特許を取得し、9種類の地震予測方法を確立しました。新しい地震予測は、ノイズをできるだけキャンセルし、信頼度の高いデータを優先採用して9種の方法を複合的に解析し地震を予測するものです。その方法を更にブラッシュアップして2021年7月、遂に一か月以内の地震予測方法の実用化に成功しました。

ピンポイント予測の実例と的中率

ピンポイント予測の誕生、「地震予知」が「天気予報」のように当たり前になる日を目指して

会議風景 (写真中央:橘田寿宏CEO 左:郭広猛博士CTO  右:谷川俊彦常務)

 私たちはその地震予測に「ピンポイント予測」と名付けました。

 その的中率は高く、2022年では21件予測して15件的中の71.4%*、2023年では18件予測して14件的中の77.8%*です。それでも予測できなかった地震はまだまだあります。地震予測は奥深く、挑戦は続きます。村井先生はJESEAの名誉会長となった今も、精力的に研究を続けています。郭広猛博士はCTO(最高技術責任者)となって更に予測精度を上げるための日々研究を続けています。他のスタッフも前兆を察知すべく日々データを見ながら奮闘しています。

 いつしか、「地震予知」が「天気予報」のように当たり前になる日を目指して、私たちの挑戦は続きます。

*的中の定義:予測の「時期」、「地域」、「規模」がすべて当たれば的中とし、下記の誤差は許容範囲と見做し「的中扱い」とする。

・許容範囲とは「時期」…一週間以内、「地域」…囲まれたラインから30km以内、「規模」…マグニチュード0.5以内

【MEGA地震予測】

サービス形態:Webサービス、スマホアプリ、メルマガ

配信:毎週水曜日午後4時頃 (適宜号外も配信)

料金:月額税込380円

JESEA公式ホームページ

https://www.jesea.co.jp/

 


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