1967年から物流業界の変化を体験し続けてきた「東京流通センター」。敷地内物流施設の再開発を経て見えてきた新たなニーズと差別化戦略とは。
2023年12月21日(木)9時32分 PR TIMES STORY
“『人×街×物流』新たな価値 創造の場”を企業理念に掲げる株式会社東京流通センターは、1967年から50年以上に亘り東京・平和島にて物流施設(総延床面積:約12万坪)を運営・管理してきました。2010年代より敷地内物流施設の再開発を進めており、その第1弾として「物流ビルB棟」が2017年に竣工、続いて第2弾として地上7階建(1〜6階:倉庫+屋上駐車場)・免震構造のマルチテナント型物流施設「物流ビルA棟」が2023年8月に竣工しました。
今回は、物流ビルA棟再開発プロジェクトの取りまとめ役を担った当社A棟再開発室の小澤理絵より、舞台裏や物流ビルA棟にかける想いについてお伝えいたします。
約50年に亘り首都圏物流を支えた物流ビルA棟の建替え
1960年代から、高度経済成長にともなう首都圏への人口集中と、自動車の驚異的増加による交通渋滞などが原因となり、都心部周辺の流通事情は著しく悪化しました。
このような情勢に対応して、政府は流通機構の整備を国家的施策として取り上げる方途を定め、1966年「流通業務市街地の整備に関する法律」を制定し、これを受け東京都は大田区平和島を「南部流通業務団地」に決定、首都東京を中心とする巨大な消費圏をまかなう、流通基地のひとつとする方針が確立されました。
この「南部流通業務団地」における一大流通センター施設の運営を目的として1967年に行政や経済界の支持を受けて当社が設立、1971年には物流ビル旧A棟が当社物流施設として初めて竣工しました。物流ビル旧A棟は地上6階のマルチテナント型物流倉庫で、自走式で6階までトラックが乗り入れることができる竣工当時としては先進的な物流施設であったものの、車両の高さ制限が3.4m、車両の大きさは4トン車までという入構制限があり、世の中の流れとして輸送効率アップを狙い10トン以上のトラックも増える中、対応が難しくなってくる面もありました。建替え直前でも9割の入居率をキープしており、多くのテナントに利用されていましたが、入居するテナントの安全、安心を考慮し、次の50年も見据えた物流ニーズの変化にも対応すべく建替えを決断しました。
新型コロナウイルスによるパンデミックの発生
2019年に物流ビルA棟再開発プロジェクトの推進組織であるA棟再開発室が組成され、2020年3月に向け施工会社の選定を進めていく中でプロジェクトが本格化していきました。まさに新型コロナウイルスが国内で流行するタイミングと重なり、当社でも感染抑制の観点から出社を抑制し、テレワークを行っている時期でした。
私はこの物流ビルA棟で初めて開発業務を担うこととなったのですが、文系出身である私にとっては建築や電気等の専門用語が頻繁に飛び交うただでさえ難しい会議が、リモートで行われることによってより一層難しいものとなりました。双方不慣れなリモート会議では進行も想定通りにいかず、どうしても声が聞こえにくくなり、認識齟齬が発生してしまう等とても苦労しました。
そのような環境下ではありましたが、リモート会議マニュアルを作成する等私もできる限りのこと行いました。また、設計・施工会社である鹿島建設の皆様や技術系社員を中心とした当社プロジェクトメンバーにも会議終了後に補足説明していただく等支えていただき、プロジェクトを進めていくことができました。
物流施設建設ラッシュ下における差別化戦略の模索
物流ビルA棟再開発はまさに国内で物流施設の建設が急激に増加するタイミングとも重なりました。当社施設のある東京・平和島は首都高速と環状7号線に囲まれ羽田空港へも近接している物流拠点として最適かつ希少立地と言えます。そのような立地特性を踏まえて当社物流施設を選んでいただけるお客様は非常に多く、そのようなお客様に満足してご利用いただける仕様・設計とすることが当社にとっての命題であり、2017年に先だって再開発を完了させた物流ビルB棟を運営管理する中で得たお客様のニーズを踏まえて物流ビルA棟の設計・開発を進めました。
物流ビルA棟の大きな特徴の1つである貸付面積については、物流ビルB棟のリーシングを進める中で、少量保管を行う企業やスタートアップ企業等に小さな区画のニーズが根強いということと一大商圏至近の立地特性を活かしたラストワンマイル拠点構築のニーズがあることを反映し、標準区画約435坪、最小区画約144坪と都心エリアの物流施設において最小クラスの面積帯から1フロア約7,800坪まで幅広い面積帯を取り揃えることとしました。
また、東京都心、首都高速ICに近接、東京モノレール「流通センター」駅徒歩1分という立地特性から商材や資機材を保管する倉庫としてだけではなく、オフィス、ショールーム、メンテナンス機能等を合わせ持った「倉庫+α」の拠点として活用していただくことを想定し、面積に応じた豊富な電源容量、給排水・給排気対応を備えることとしました。小割区画エリアである1〜3階は屋外歩廊を設置して歩行者・車両の動線を分離することで安全かつ快適に専有部へアクセスすることが可能な設計としたことに加え、建物内にコンビニエンスストアを誘致、屋上アメニティスペースやオールジェンダートイレを設置すること等により、快適に利用できるよう努めました。
メンバーの支えと竣工への想いで乗り越えた、過酷な真夏の施主検査
再開発プロジェクトが順調に進み、物流ビルA棟の引渡しを受ける前段階として実施した施主検査は、まさに猛暑真っ盛りであった今年の7月下旬から始まりました。連日少なくとも2~3時間、長い時で朝から晩まで長袖・長ズボン・ヘルメットを被って実施し、エレベーターが利用できるまではランプウェイ(トラックが各階に上がるための傾斜路)で高さ50m以上の建物内をくまなく1階から屋上階まで行き来する必要がありました。デスクワークの経験しかなかった身としては非常に過酷に感じられましたが、それと同時に連日現場で工事に携わって下さっている皆さまへ感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。
そのような過酷な状況であったこともあり、毎日クタクタで自宅に帰宅しておりましたが、体調を崩すことなく完遂することができたのは、ひとえにプロジェクトを共に進めるメンバーに恵まれたこと、そして予定していた8月31日までに竣工させ、一日でも早く物流ビルA棟をお客様にお届けしたいという想いによるものだと思っています。
2024年問題等物流課題への取り組みと、多様化する物流ニーズにマッチするサービスの提供に向けて
8月28日に竣工式を終え、無事8月31日に竣工を迎えられたときはホッとしたと同時に、お客様にご入居、ご利用いただくこれからがまさにスタートだと感じ、改めて身が引き締まる思いでした。
まさに今、物流業界全体では2024年問題への対応が大きな社会課題となっております。2024年よりトラックドライバーの勤務形態に残業規制がかかるようになります。
高度成長期の物流危機を設立契機とし、50年以上に亘り物流業界の変化を体験し続けてきた当社として、2024年問題を中心とした物流課題への取り組みは使命であると考えております。アクセス面で優れた物流ビルA棟を都内へ運送する拠点としてご利用いただければ、都心まで郊外であれば1日1往復しかできないところを複数回往復することができ、残業規制を遵守していただきながら生産性を維持・向上させていただくことも可能と考えております。
また、当社では物流ビルA棟と同敷地内に物流TECHショールーム”TRC LODGE“を運営しており、ロボティクスやAI領域など様々なテック企業と連携しております。物流テック企業と当社テナント各社をはじめとした物流業界関係者をマッチングするサービスを提供しており、その点においても物流課題解決や多様化・変化していく物流ニーズに対しても貢献することができると自負しております。
本執筆時点においてもお客様ご入居にあたっての工事の調整等まだまだ慌ただしい日々が続いておりますが、お客様にご満足いただけるよう社員一丸となって取り組むとともに、物流施設の運営管理等を通じて次の50年の物流も支えられる会社であるよう私も日々精進を続けていきたいと思います。
■物流ビルA棟竣工リリース
https://www.trc-inc.co.jp/wp-content/uploads/2023/08/230831_trc-Ashunko.pdf
■物流ビルA棟特設サイト
https://www.trc-logistics-building-a.jp/
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