危険な踏切に「斜め上にも開く」新ゲート、農作業用の車は「手で押しながら通行可能」…JR西が設置

2025年5月2日(金)12時59分 読売新聞

JR宇部線に設置された新型ゲート(JR西日本提供)

 遮断機と警報機のない「第4種踏切」について、JR西日本は農作業などに使う小型特殊自動車も通行しやすい「踏切ゲート—Lite+ライトプラス」を開発した。新型ゲートは、バーが斜め上方向に開くため、運転手が手で押しながら通行できるのが特徴。同社は今年度末までに山口県内25か所に設置する。(谷口善祐)

 山口県内には第4種踏切が中国5県で最多の133か所ある。同社によると、同踏切での事故の発生原因は、列車が通過する直前に渡る「直前横断」が約9割を占める。

 通行者に一時停止と左右確認を促すため同社は2021年度から、横断時以外は常時遮断している「踏切ゲート」を、23年度からは踏切ゲートより安価で取り付けも容易な「踏切ゲート—Lite」の設置を進めてきた。しかし、トラクターなどの小型特殊自動車が通る場所では、通行者の利便性の問題などから設置できないままになっていた。

 新型ゲートは、バーの素材に軽量の強化プラスチックを採用。横断時は上に持ち上げることができるほか、進行方向の斜め上にも開くため、運転手が車両から降りることなく手で押しながら通行することが可能という。横断後、バーは自動的に元の位置に戻る。

 山口県内では既に山口市阿知須の宇部線・下野踏切に設置されており、同社は今年度中に残りの24か所を整備するという。

 第4種踏切を巡っては、20年10月に光市の山陽線で80、50歳代の母娘が貨物列車にはねられて死亡する事故が起きており、直近では山陽小野田市の小野田線で自転車と列車が接触する事故が発生した。同社は抜本的な対策として踏切の廃止や遮断機と警報機のある第1種踏切化を進めているが、通行者に迂回うかいさせたり警報機の騒音が生じたりするといった課題がある。

 4月の記者会見で広岡研二・広島支社長は「山口県は非常に第4種踏切が多い。安全性を高めるため、道路管理者や地元住民らと協議を進めてしっかりと対策を講じていきたい」と述べた。

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