農相更迭方針へと追い込まれた石破首相、求心力低下は必至…江藤氏の釈明ぶりに野党が態度硬化

2025年5月21日(水)5時0分 読売新聞

首相官邸に入る江藤農相(20日午前8時56分)=川口正峰撮影

 コメを巡る失言で批判を浴びていた江藤農相について、石破首相は野党の強硬姿勢を受け、一転して、更迭する方針転換に追い込まれた。6月の東京都議選や夏の参院選を前に、与野党で反発が広がっており、首相の求心力低下は必至だ。首相の政権運営が厳しさを増すのは確実で、打撃は避けられないとの指摘もある。(堀和彦、荒木香苗)

 「相当厳しい。農相の更迭もやむを得ない」

 自民党幹部は20日夜、読売新聞の取材にこう語り、江藤氏の更迭は不可避との見方を示した。

 首相は当初、江藤氏を続投させる方針だった。20日朝に首相官邸で記者団の取材に応じた首相は、「任命権者として責任は痛感している」として改めて陳謝しつつ、続投方針に変わりはないと説明した。

 江藤氏も同日の参院農水委員会で、「苦しくとも、批判を浴びても、歯を食いしばり、最後までやり遂げる」と述べ、職務継続に意欲を見せた。

 流れが変わったのは、20日夕に野党5党が更迭要求で一致し、江藤氏への不信任決議案提出も辞さない方針を確認してからだ。自民幹部は「野党が思ったより厳しい姿勢だ」と語り、情報収集に追われた。

 立憲民主党は当初、更迭要求には慎重だったが、発言後の釈明ぶりに態度を硬化させた。19日昼、江藤氏は記者団に「ウケを狙って強めに言った」などと弁明したほか、同日夜に首相から厳重注意を受けた直後には「辞職すべきだと言われればそうするつもりで官邸に来たが、『反省した上で職務に励め』と言われた」と述べた。20日の参院農水委では「『売るほどある』は(地元の)宮崎弁的な言い方」と語る場面もあった。

 立民の野田代表は同日の党会合で、「国民感情を逆なでする発言で、江藤氏はコメの価格形成や流通改善の仕事ができるのか。その任にあらずだ」と辞任を迫った。

 閣僚の不信任決議案が可決されたのは、1952年の池田勇人通産相の一例だけだ。衆院で過半数を占める野党が江藤氏の不信任決議案を提出すれば、可決する可能性が高い。さらなる打撃を避けるため、政府・自民としては「先手を打つ」(政府高官)必要があった。

 ただ、コメの価格高騰を巡る国民の不満は強い。読売新聞社が16〜18日に実施した全国世論調査では、政府の一連の対応を「評価しない」は78%だった。党三役経験者は「19日中に更迭すべきだった。対応が後手後手だ」と語った。

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