斎藤元彦知事、第三者委の「結論」今回も真っ向から「否定」…停滞と混乱続く兵庫県政

2025年5月27日(火)23時44分 読売新聞

 兵庫県の斎藤元彦知事に関する内部告発問題を巡り、三つの第三者委員会の結論が出そろった。27日に公表された報告書は、私的情報の漏えいに斎藤氏らの指示があった可能性が高いと認定したが、斎藤氏はこれまでと同様、正面から受け止める姿勢は見せなかった。

 27日午後4時半、県が設置した第三者委の報告を受けて県庁で取材に応じた斎藤氏は「責任を感じている。県民の皆さんにおわび申し上げる」と神妙な表情を見せた。

 この日の報告書は、斎藤氏の疑惑を告発した前県西播磨県民局長の男性職員(昨年7月に死亡)の公用パソコン内にあった私的情報について、井ノ本知明・前総務部長(57)が議員に漏えいしたと認定。「知事や前副知事の指示で行われた可能性が高い」と結論付けた。

 しかし、斎藤氏は「指示していない認識は変わらない」と真っ向から否定。自身の処分に言及したが、理由はあくまで「漏えいが起こった組織の長としての責任」だと強調し、内部告発を巡る自身や県の一連の対応については「適切だった」と従来の見解を繰り返した。

 神妙な姿勢を示しながら外部からの指摘を受け入れない斎藤氏の姿勢は、これまで何度も見られてきた。

 別の第三者委が3月19日に公表した報告書は、告発した男性職員を特定して懲戒処分した斎藤氏や県の対応は公益通報者保護法に違反すると認定。斎藤氏が調査を指示し、処分の決定に関わったのは「極めて不当」だと批判した。また、斎藤氏に10件のパワハラ行為があったとも認定していた。

 斎藤氏はパワハラ行為については謝罪したが、公益通報に関する指摘については「(文書は)誹謗ひぼう中傷性が高いという認識は変わらない。指摘は受け止めるが、一つの意見があれば、別の意見もある」と退けた。

 通報者への不利な取り扱いを防ぐための体制不備についても指摘されたが、斎藤氏は3月の記者会見で「内部通報に限定されるという考え方もある」などと発言。これに対し、公益通報者保護制度を所管する消費者庁から4月、「公式見解とは異なる」との指摘を受けた。斎藤氏は「重く受け止めている」と話したものの、具体的な対応はまだ見えていない。

 私的情報がSNSに流出した問題などについて調査した第三者委の報告書が今月13日に公表された際も、「県職員が漏えいさせた可能性が極めて高い」とする指摘に対し、「重く受け止めなければならない」と話していた。

 斎藤氏は27日、「県政をしっかり前に進めていくことが私の役割だ」と述べ、辞職の考えを改めて否定した。しかし、三つの第三者委の報告書が出そろったことで、斎藤氏の責任を問う声が強まる可能性がある。

 ある県議は斎藤氏の辞職が必要だと指摘した上で「最終的には議会が再び不信任決議を突きつけることも検討すべきだ」と強調した。

副知事は空席・退職100人超に

 兵庫県政は昨年3月に内部告発問題が発覚して以降、停滞と混乱が続いている。

 2人いる副知事のうち、斎藤元彦知事の最側近だった片山安孝前副知事は、告発した男性職員が死亡した責任を取り、昨年7月に辞職。後任が決まっていない。

 有力視された県幹部は、今年3月末で任期を終えて出向元の総務省に戻り、6月議会で副知事人事が提案される見通しは立っていない。斎藤氏は後任選びを続けているが、幹部の一人は「県政が混乱する中で、『火中の栗』を拾う人はいない」と話す。

 県職員の退職も相次いでいる。2024年度に知事部局の一般行政職員103人が、定年を待たずに自己都合退職した。23年度の74人から大幅に増え、100人を超えたのは07年度(115人)以来となった。

 県は、退職者が増えた理由に転職市場の活性化を挙げるが、ある幹部は「将来的に県庁の中枢を担う優秀な職員が去っている。組織が見限られている」と危機感を強めている。

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