「急いで駅に向かい、電車に駆け込む」は絶対ダメ…自律神経の専門家が勧めるイライラと無縁になる行動習慣

2025年2月25日(火)16時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

自律神経を整える習慣は何か。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「ストレスの原因とぶつかることは避けられないから、上手に受け流す方法を身につけるといい。そのためには自分を優先するのではなく、相手を優先して行動することだ」という——。

※本稿は、小林弘幸『自律神経の名医が教える究極の休み方』(宝島社)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/bee32
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■自己満足的な行動で心身をリセットする


SNSが盛んになり、誰でも情報発信が簡単にできるようになりました。趣味で絵を描いたり写真を撮ったりしている人は、SNSを使えば簡単に作品を発表できます。


そうなると、「どれだけ“いいね!”がつくか」「どれだけ好意的なコメントをしてもらえるか」が気になってくるかもしれません。


趣味は誰のためでもなく自分のためにやっているもので、自己満足で構わないはずです。むしろ自己満足であることを心がけたほうが、普段の忙しい毎日からの心身のリセットに役立ちます。“いいね!”やフォロワーの数などまったく気にする必要はないのです。


絵や写真だけではありません。たとえばスポーツや音楽が趣味なら、自分がどれだけ楽しめているのかを中心にして考えましょう。うまくなって他人から評価されるのもいいかもしれませんが、自分自身が満足できているかどうかを何よりも優先するべきなのです。


毎日の生活のなかに趣味を楽しむ時間をつくると、心身をうまくリセットできるようになります。仕事がうまくいってないときなどは、趣味によって意識的に軌道修正するようにしましょう。


周囲の評価を気にしない自己満足な行動をすることで
心身をリセットする

■ストレスフリーで疲れなくなる魔法の声かけ


日々、仕事などのために社会に出て活動すると、どうしてもストレスの原因になる物事と遭遇してしまいます。こちらが気をつけていてもストレスの原因はあちらからやってきます。ストレスの原因とぶつかることは避けられないのですから、上手に受け流す方法を身につけましょう。


日常生活のなかでストレスを感じやすいシチュエーションのひとつに、行列があります。銀行のATMや人気の飲食店などの行列に並んでいるとき、なかなか列が進まないとイライラしてきます。


写真=iStock.com/ablokhin
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前に並んでいる人がモタモタしていたら、さらにストレスを感じます。しかし、いくらイライラしたところで、列が早く進むことはありません。ストレスを感じても自分自身が損をするだけなのです。


こんなときこそ、心身をリラックスさせてストレスから自分自身を解放しましょう。深呼吸して、心のなかで「お先にどうぞ」と口にしてみてください。


もしあとから来た人がいたら自分の順番を譲ってもいいと考えることで、心のなかに余裕が生まれます。列がなかなか進まなくても、イライラすることはなくなるはずです。


■余裕がないと交感神経が優位になる


行列だけでなく、「お先にどうぞ」は生活のなかのいろいろなシチュエーションで使えます。自分を優先するのではなく、相手を優先して行動することで、緊張やプレッシャー、ストレスから自分自身を遠ざけることができるのです。


時間に追われる暮らしでは、どうしてもイライラを感じやすくなります。そうしたストレスから解放されるためにも、余裕を持った行動をすることを心がけましょう。


移動のために電車を利用するのであれば、1本乗り過ごしても問題ないスケジュールで行動するのです。時間に間に合わせるため、急いで駅に向かい、電車に駆け込んでいると交感神経が優位になってしまいます。


リラックスした状態をキープするためにも、交感神経を優位にしないようにします。「この電車は混んでいるから、次の電車に乗ろう」と予定を変更できるぐらい、余裕のあるスケジュールで行動するのです。


■パーソナルスペースに他人が近づき過ぎないように


混んでいる電車では、どうしても見知らぬ人と接触します。心理学では他者が自分に近づくことを許せる距離を「パーソナルスペース」と呼びます。誰かがパーソナルスペースに侵入してくると、どうしても不快感を覚えてしまうものなのです。


このパーソナルスペースの範囲は個人差がありますが、親しい人に対しては狭くなり、他人に対しては広くなる傾向があります。


つまり、「知らない人はできるだけ近寄らないでほしい」と考えるのは自然なことなのです。


満員電車ではパーソナルスペースに他人が近づきますから、ストレスを感じずにはいられません。日々のストレスを緩和するためにも、数本電車を遅らせて満員電車を避けるようにするといいでしょう。


相手に先を譲る心の余裕で
イライラとは無縁になれる

■ぐっすり気持ちよく眠るための寝る前の準備


仕事やプライベートのお出かけなど、翌日に何か用があるのなら、寝る前に出かける準備をしておきましょう。先回りして準備しておくことで、明日のことを気にせずぐっすりと気持ちよく眠ることができます。


まずは、改めて手帳やスマホなどで明日のスケジュールをチェックして、何が必要なのかを確認します。TPOに合わせた服装をあらかじめ選んでおくと、翌朝に余裕が生まれます。普段着ないようなフォーマルな格好をするのなら、その服装に合わせた靴も出しておきましょう。


写真=iStock.com/byryo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/byryo

カバンや財布の中身もチェックしておきます。カバンに必要なものが入っているかを確認します。「支払いのときに財布を開いたらお金が入ってない」ということがないように、財布に入っているお金もチェックしておいてください。


普段行かない場所が目的地なら、事前にネットの路線検索サービスを活用して、どの路線を使うのか、どの駅で乗り換えるのか、何時ごろに出発すればいいのかも調べておきます。


■安眠を妨げるスマホとの賢い付き合い方


しっかりと準備をしておけば、朝起きてから「あれがない」「これがない」と焦ってしまうトラブルとは無縁でいられます。リラックスした状態で朝を過ごせるので、自律神経も乱れません。


朝は自分のなかの能力が高まる時間帯ですが、前日の夜にしっかり準備をしておくことで、その能力を無駄にせずに済みます。事前の準備があって何をすればいいのかわかっているので、スムーズに一日をはじめられるのです。


用がある日の前日は、なるべく早く眠って、朝は余裕を持って行動できるようにしたいものです。ところが、そんなときに限ってなかなか寝つけないという経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。



小林弘幸『自律神経の名医が教える究極の休み方』(宝島社)

安眠を妨げる原因にはさまざまなものがありますが、スマホやパソコンの画面が出すブルーライトはよくないと指摘されています。ブルーライトを浴びると、体の活動性を高める交感神経が優位になってしまうので、深い睡眠に入りにくくなってしまうのです。


スマホやパソコンから頭のなかに入ってくる情報も、快眠にとってよくありません。たとえば、「寝る前にSNSを見て大好きなミュージシャンの最新情報を知った!」という場合、興奮状態になって、なかなかすぐには眠れなくなってしまいます。


スマホやパソコンは寝る30分前になったら触らないようにしましょう。スマホを近くに置いておくと、ついついチェックしてしまうかもしれないので、手の届かないところに置いて電源もオフにしてください。


前日の夜に準備をして
スマホに触らず安眠する

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小林 弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部教授
1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト”としても有名。近著に『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)、『名医が実践! 心と体の免疫力を高める最強習慣』『腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず 免疫力が10割』(ともにプレジデント社)『眠れなくなるほど面白い 図解 自律神経の話』(日本文芸社)。新型コロナウイルス感染症への適切な対応をサポートするために、感染・重症化リスクを判定する検査をエムスリー社と開発。
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(順天堂大学医学部教授 小林 弘幸)

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