トヨタ・豊田章男氏の役員報酬は16億円、では日産ホンダは…平均年収が高い「自動車業界」ランキング2024
2025年4月15日(火)9時15分 プレジデント社
■自動車業界1位はトヨタの899.8万円
プレジデントオンラインは、「自動車業界」の社員平均年収ランキング(2024年版)を作成した。対象は、自動車や自動車部品企業の多くが含まれる東証33業種の「輸送用機器」に分類される企業89社だ。
基にしたデータは直近の年次決算期における有価証券報告書(2023年10月期〜2024年9月期)。データ抽出では、経済・金融データサービスの株式会社アイ・エヌ情報センターの協力を得た。
今回調査した輸送用機器業に属する企業のうち、トップ10社の従業員平均年収額は830.5万円、89位までの従業員平均年収額は638.9万円だった。ちなみに全国平均(3744社)は652.2万円となっている。
■豊田章男氏の役員報酬は16億円超
輸送用機器業を営む企業の「給料トップ」はトヨタ自動車。2025年3月末時点の時価総額は41.3兆円で、2位の三菱UFJフィナンシャル・グループ(24.3兆円)を大きく引き離し、名実ともに「日本のトップ企業」だ。平均年収は1000万円台に届いていないものの、従業員数は7万224人と非常にすそ野が広い。
写真提供=DPA/共同通信イメージズ
技術見本市CESで講演するトヨタ自動車の豊田章男社長=2025年1月6日、アメリカ、ラスベガス - 写真提供=DPA/共同通信イメージズ
2位は日産自動車で、前年から26.2万円増加して877.1万円だった。経営統合で大きく話題を呼んだ相手である本田技研工業は平均年収が831.1万円(前年比9.0万円増)で輸送用機器業界としては5位だった。両社の経営統合は一時「破談」となったものの、日産自動車のトップ交代劇によって再度機運が高まっている。
トヨタ・日産・ホンダの自動車業界トップ3で社長(当時)の役員報酬を比較すると、平均年収順に並んだ。最も多いのはトヨタの豊田章男氏で16億2200万円。2位の日産・内田誠氏の6億5700万円にダブルスコア以上を付けている。ホンダの三部敏宏氏は4億3800万円だった。
■トヨタ日産ホンダに割り込んだ意外な会社
業界内ランキングに目を戻すと、3位はシマノがランクインした。1921年に島野鐵工所として創業し、自転車部品のうち「フリーホイール」と呼ばれる部品の製造をルーツに持つ。現在は自転車部品の他に釣り具なども手掛け、売り上げの大半を海外が占める。2023年度の平均年収は846.8万円で、トップ10入りした企業のうち唯一前年比で減少している(25.5万円減)。同年度は減収減益となったことも影響していそうだ。
4位はデンソーで、平均年収は839.0万円。前年からの増加幅は27.7万円だった。デンソーのルーツはトヨタ自動車工業(当時)の電装部で、1949年に日本電装として分離独立し、現在も同グループに属している。豊田自動織機、アイシンと合わせて「グループ御三家」と呼ばれ、そのうち平均年収が最も高かった。
トヨタグループ御三家で次に平均年収が高かったのは、豊田自動織機だ。業界内では6位に位置し、前年から21.8万円増加した結果、814.6万円だった。
アイシンは御三家の中でも後塵を拝し、トップ10からも外れた。業界内では20位で、平均年収は698.8万円だった(前年比11.2万円増)。
■ヤマハとカワサキの二輪対決
全体の7位はヤマハ発動機。前年比16.8万円増の812.2万円だった。2023年度は連結売上が2兆4148億円、営業利益は2507億円でともに過去最高を叩き出したことが影響しているのだろう。ちなみに2024年度の連結売上が2兆5762億円(前年比6.7%増)、営業利益は1815億円(25.6%減)となっている。
8位も二輪に強みを持つ企業が続き、川崎重工業(809.6万円、前年比73.1万円)がランクイン。2023年度は売上収益が伸びたものの航空機エンジン「PW1100G-JM」のトラブル対応で大規模な損失を計上するとともに、円安進行で海外子会社の固定費が増加した。
これが影響して、売上総利益・事業利益ともにマイナス成長となった。一方、平均年収の増加幅はトップ10企業の中で最も大きい。広報によれば「従来算定対象ではなかった60歳以上の従業員を加えたため」と話す。同社は、2023年度から定年を65歳に引き上げるとともに、年齢要素を廃止し、役割や成果に応じた処遇を一層強める処遇体系へと移行している。この変更が影響したという。
9位はいすゞ自動車。前年から11.6万円増加し、平均年収は788.6万円だ。商用車とディーゼルエンジンの開発・生産・販売を事業としている。2023年度はグローバル販売台数が前年比14%減となったものの、円安進行を追い風にするとともに原価低減などの工夫で増収増益を果たしている。
10位は三菱自動車工業だった(786.3万円、前年比42.6万円増)。筆頭株主が日産であり、日産・ホンダ間の経営統合騒動では、三菱自動車の動向にも注目が集まった。直近では台湾の鴻海精密工業と協業を検討していると報じられている。
■100万円年収アップしたワケ
輸送用機器業で今回最も前年から平均年収が伸びたのは小田原機器(34位)だ。1950年に、富士写真フイルム(当時)のメンテナンス目的で設立した有限会社をルーツに持ち、路線バスがワンマン化へ移行するのを商機と捉えて関連機器の開発へと事業の軸足を移してきた。
2023年度は運賃収受機器事業が新札特需の追い風を受けるなどして利益率が改善。減収増益で、平均年収は全89社のうち唯一「3ケタ増」の101.3万円増加で658.5万円となった。
反対に最も平均年収が減ったのは48位のデイトナだった。二輪関連用品の卸売を中心に手掛けている。2023年度はコロナ特需の反動なども影響して減収減益に直面。平均年収は58.3万円減少し、619.0万円となった。
(プレジデントオンライン編集部 図版作成=大橋昭一)