FRBの独立性揺らぎ「米国売り」、株式・債券・通貨の「トリプル安」に…投資家の資金は金に流入

2025年4月22日(火)20時59分 読売新聞

16日に開かれたイベントで発言するFRBのパウエル議長=AP

 【ニューヨーク=小林泰裕】トランプ米大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長に辞任や利下げを要求するなど圧力を強め、FRBの独立性が揺らいでいることを受け、再び「米国売り」が進んでいる。21日のニューヨーク市場は、米国の株式・債券・通貨がそろって下落する「トリプル安」となるなど、投資家の信認が低下しており、米国売りが当面続く可能性がある。

 トランプ氏は21日、自身のSNSでパウエル議長の政策を批判し、改めて早期の利下げを要求した。これを受けてダウ平均株価(30種)の21日の終値は前週末比971・82ドル安の3万8170・41ドルだった。値下がりは4営業日連続で、一時1300ドル超下落した。

 米国債も売られ、米長期金利が上昇した。通常であれば、株価下落など投資家のリスク回避姿勢が強まった際には安全資産とされる米国債が購入されるが、最近は米国債も同時に売られる傾向が強まっている。

 ドルを売る動きも広がっている。22日の東京外国為替市場の円相場は円買い・ドル売りが進み、1ドル=139円台まで上昇。昨年9月以来、約7か月ぶりの円高・ドル安水準だった。主要通貨に対するドルの総合的な強さを示す「ドル指数」も低下している。外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「FRBの独立性を脅かすことはドル売りの材料になる。しばらくは、ドルが上昇しづらい状態が続くのではないか」とみる。

 一方、米国株の大幅な下落にもかかわらず、22日の東京株式市場で日経平均株価(225種)は小幅安にとどまり、米国売りが際立つ形となった。

 投資家の資金は、安全資産とされる金に流入している。金の先物価格(中心限月)は22日に1トロイ・オンスあたり3500ドル(約31グラムあたり約49万円)を超え、過去最高値を更新した。

 元米財務長官のローレンス・サマーズ氏は21日、「キャピタル・フライト(資本の逃避)が再び始まった。大統領が過激で不安定な関税や中央銀行への攻撃といった政策を撤回しない限り、事態は永続的に改善しないだろう」とX(旧ツイッター)に投稿した。

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