3月5日から暖かい日が増える『啓蟄』。細かく自律神経の調整が行われるこの時期に悩まされるアレルギー症状を改善するには?二十四節気別<暮らし方><養生><旬のもの>

2024年3月3日(日)14時35分 婦人公論.jp


啓蟄(3/5〜3/20頃)<『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』より>

「二十四節気」とは中国で誕生した旧暦(太陰太陽暦)で、1年を約15日ごとに24等分した季節の名称のこと。この連載ではその二十四節気に沿った過ごし方や備え方、旬の食材を、漢方コンサルタントの櫻井大典さんが紹介します。「二十四節気は不調を防ぎ、日々をより豊かに過ごすための“知恵”の結晶」と語る櫻井さん。今回紹介する季節は「啓蟄(3/5〜3/20頃)」です。

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啓蟄(けいちつ) 3/5〜3/20頃


うららかな春の陽気に誘われて、冬ごもりをしていた虫(=蟄)たちが目覚め、地中から出てきて(=啓)、活動を始めます。

暖かい日が増え、体感的にも春を感じられるでしょう。

とはいえ、朝夕はまだまだ冷えるので、気温差から心身ともに負担がかかりがちです。

この時期は花粉症に悩まされる人も。

不調をやわらげるためには、身体に陰と血(けつ)(注1)(潤い、水分、血液)を補い、五臓(注2)の「肝」の働きを助ける養生をしていきましょう。

(注1)中医学において「血」は、身体に栄養と潤いを運び、メンタルの安定にも作用する液体です。

(注2)中医学の考えで、「五行論」に基づく「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたります。

中医学的 啓蟄の暮らしかた


・心と身体の状態

暖かさを感じる日が増えていきますが、そのぶん朝夕の気温差も激しく、その変化に対応するため、心身ともに負担がかかる時期でもあります。

人間の身体は、たとえば気温に合わせて毛穴を広げたり閉じたりと、細かく自律神経の調整をくり返しますが、気温差が激しかったり、大きなストレスがかかったりすると、その調整に混乱が生じてしまいます。

結果として、それらのコントロールを司る肝や肺に大きな負担がかかり、肝や肺の弱りからくる症状——イライラ・ソワソワ・憂うつ・倦怠感など——に見舞われやすくなるでしょう。


『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』(著:櫻井大典・土居香桜里/ワニブックス)

・起こりやすい不調

肝が弱る影響で肺が弱るので、花粉症などのアレルギー症状に悩まされる人が多い時期。

中医学では、身体の表面にある「衛気(えき)」と呼ばれるバリア機能が不足すると、花粉症などのアレルギー症状が悪化すると考えます。

また、元気がない・疲れやすい・声が小さくなる・汗をかきやすいなども、同じく「衛気」の不足が原因で見られる症状です。

そして、鼻水、涙などの分泌物がたくさん出るという人は、甘いもの、冷たいもの、水分などの摂りすぎが原因かもしれません。冬にこれらを食べすぎた人は、この時期、花粉症がひどくなる可能性もあります。

養生


啓蟄の養生のポイントは、肝と肺の働きを助ける「滋陰(じいん)」と「補血(ほけつ)」。食べ物から、身体に潤い、水分、血液を、しっかりとチャージしていきましょう。

花粉症の人は、炎症を鎮めるためにも、ぜひ、“苦味”を多く摂るようにしてください。

「春の皿には苦味を盛れ」という食養生のことわざがありますが、レタスやセロリ、ミョウガなど、少し苦味のある野菜がとくにおすすめです。

甘いものや冷たいもの、あるいは乳製品などの摂りすぎは、「湿」と呼ばれる分泌物を溜めやすくなり、鼻水や涙が出やすくなりますので、くれぐれもひかえましょう。

また、この時期、気軽にできる養生がティータイム。

ぜひ、少し苦味のある緑茶、菊花茶、ミントティーなどを飲みましょう。緑茶にミントを混ぜるなど、お茶をブレンドして楽しむのもいいですね。

そして、花粉症などの炎症を緩和するためには、少しでも休むこと。

ゆっくりすることは中医学的にも春の大切な養生ポイントですから、休みの日はしっかり休むようにしてください。

なかなか休めないという人は、スマホやテレビから離れ、静かに目を瞑って深呼吸を。

また、睡眠もとても大事なので、悩みなど一切の“考え”を寝室に持ち込まないよう、努めましょう。

中医学的 啓蟄の旬のもの


・旬の食材1 うずらの卵

もろもろ補給したいこの時期にピッタリなのが、うずらの卵。うずらの卵は、五臓すべてを補い、気と血をチャージする、スーパー食材です。

アンチエイジングにも効果的で、その栄養価は鶏卵より優れているとされるほど! 脇役のイメージが強いかもしれませんが、効能を期待する場合は、1食5〜6個を目安に、こまめに摂ってみてください。

うずらの卵を主役にした1品なら、「小松菜とうずらの卵の炒めもの」がイチオシ。うずらの卵の水煮と小松菜を一緒に炒め、醤油で味をととのえたら、鰹節をぱらりと乗せて出来上がりです。

・旬の食材2 ほうれん草

ほうれん草は、血を増やす「補血」食材。内臓の働きを助け、血のめぐりをスムーズにしてくれます。

また、赤い根の部分には、潤いを補い、便通を良くする力があります。根の部分に十字に切れ目を入れて、10分ほど水に浸けておくと、きれいに土が取れます。

必要なものを補い、不要なものを出してくれるという優秀な食材ですので、ぜひ、根まで捨てずに食べましょう。

・旬の食材3 黒ごま

黒ごまも「補血」作用があり、身体を元気にして、潤してくれます。

そこで、ほうれん草と黒ごまを、肝に良いとされる酢で和えた「ほうれん草のごま酢和え」はいかが?

黒ごまがなければ、白ごまでもかまいません。白ごまは、潤いを補う「滋陰」作用があります。1日大さじ1杯を目安に摂るといいでしょう。

※本稿は、『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

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