ヤン・シュヴァンクマイエル最新作『蟲』ほか2作 8月9日公開
2025年5月26日(月)16時0分 シネマカフェ
『蟲』© Athanor Ltd.
1988年の『アリス』以来、『ファウスト』『悦楽共犯者』『オテサーネク』『ルナシー』『サヴァイヴィング ライフ』と、これまで6本の長編を発表してきたチェコのアニメーション&映画作家ヤン・シュヴァンクマイエル(現在90歳)。
『蟲』は、ヤン・シュヴァンクマイエルが「最後の長編劇映画」と宣言し、2018年に完成させた作品。チェコの国民的作家チャペック兄弟の戯曲「虫の生活」に取り組む、小さな町のアマチュア劇団の物語だ。劇の展開と役者たちの行動が交錯し、舞台に惨劇が訪れるという内容で、ヤン・シュヴァンクマイエルのアニメーション技法が存分に味わえる作品である。
製作時には資金を補うためのクラウドファンディングが行われ、ヤン・シュヴァンクマイエルを師と仰ぐクエイ兄弟やギレルモ・デル・トロも大々的に協力、日本のファンも含め世界中から多くの出資が得られて完成した。ヤン・シュヴァンクマイエルの、シュルレアリストとしてのアプローチが極まった集大成的な一作となっている。
また、ヤン・ダン&アダム・オルハ監督によるドキュメンタリー『錬金炉アタノール』と、ヤン・シュヴァンクマイエル自身の奇怪なコレクションを映し出す記録映画『クンストカメラ』も同時公開される。
『錬金炉アタノール』は、創作上のパートナーでもあった亡き妻エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーの想い出、長年、製作を支えてきたプロデューサー、ヤロミール・カリスタとの愛憎入り交じる関係、怪しげな呪物や作品の制作風景、そして日常生活をおくる姿など、ヤン・シュヴァンクマイエルのあらゆる側面が赤裸々に映し出される。過去作品の抜粋や記録映像もインサートされ、彼の全貌を把握する「入門編」とも言える1本。
『クンストカメラ』は、チェコのホルニー・スタニコフにあるヤン・シュヴァンクマイエルのコレクションを映し出す作品で、一般の価値基準とは無縁の不思議なコレクションがヴィヴァルディの「四季」に乗って映し出される。
解禁された虫を模したコラージュが大胆に配置されたポスタービジュアルは、ファッションから映画、音楽、書籍まで幅広く活躍するコラージュアーティスト Q-TA氏によるもの。
予告編では、「虫嫌いの方はご注意ください」との警告とともに虫の羽音が聞こえると、コオロギやフンコロガシなどに扮した役者たちが登場。独特の世界観で物語が展開していく。また、『蟲』以外の2作品の映像も垣間見ることができる。
特典付き前売り券も販売中で、チェコ版ビジュアルのポストカード付き1回券とミニポスター付き3回券が用意されている。
『蟲』『錬金炉アタノール』『クンストカメラ』は8月9日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。