美女の歯を抜かせ”性の玩具”に…北朝鮮「赤い貴族」の鬼畜行為

2025年5月29日(木)5時6分 デイリーNKジャパン

先月、韓国の北朝鮮ウォッチャーの間であるレポートが話題になった。韓国国会立法調査処(立調処)が4月10日に発表した、「北朝鮮エリート内権力構造の変化と示唆点——崔龍海非公式組織の公式組織掌握を中心に」と題する報告書だ。


その内容をざっくり説明すると、北朝鮮で近年、高官に対する粛清が見られないのは、崔龍海(チェ・リョンヘ)最高人民会議常任委員長を中心とする「後見体制」が、有力者たちの人事と利権を調整しており、金正恩総書記がそれを黙認しているからだというものだ。


最悪の「醜聞」


北朝鮮で閣僚級の高官が処刑されたのは、2015年4月に玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長が公開銃殺されたのが最後と見られる。玄永哲氏の前には、2012年12月に、張成沢(チャン・ソンテク)朝鮮労働党行政部長が処刑された。張氏は金正恩氏の叔父として、政権発足当初から後見役を務めていただけに、処刑の情報は世界に衝撃を与えた。


最高指導者の権威を絶対視する北朝鮮の体制は、権力の「ナンバー2」の存在を許容しない。それなのに、張成沢氏は権威が強くなりすぎたために粛清された。では、崔龍海氏の「後見説」が事実ならば、彼はなぜ粛清されないのか。報告書の説明は、かんたんに言えば「張成沢は経済利権を独り占めしたが、崔龍海は控えめにやっている」ということだ。


報告書は、北朝鮮の高官人事の動きを丹念に分析しており、なるほどと思わせる部分も少なくない。しかし、脱北者たちの評価は一様に低い。その第一の理由は、北朝鮮のおける独裁者の権威の絶対化は、そんなに甘いものではなく、崔龍海がどんなに控えめにやろうが、情実人事をやっていれば必ず排除されるといものだ。


そして第二に、崔龍海に対する評価の低さだ。


現在でこそ、肩書上は「序列2位」とされているが、金正日政権時代から問題を指摘されることが多く、農村や炭鉱などでの「革命化教育」に一度ならず追いやられている。


崔龍海の醜聞の中でも最悪なのが、次のエピソードだ。


1990年代前半、朝鮮社会主義労働青年同盟(現在の社会主義愛国青年同盟)委員長だった崔龍海は、「社労青中央宣伝隊」を組織し全国から美貌の女性を選抜した。対外的には青年同盟の女性宣伝隊とされたが、実際は自身の性的欲求を満たすための「喜び組」であり「性の玩具」だった。


崔龍海の性的な逸脱は度を越して行き、その変態的欲求を満たすため宣伝隊所属のある女性に対し歯を全て抜くよう要求。巨額の代価を提示し、歯を全て抜けば入れ歯も準備すると約束した。実際にこの女性は歯を全て抜き、崔龍海からの「口腔行為」の要求に応じた。この女性には、そうするよりほかに選択肢がなかったであろうことは想像に難くない。



崔龍海はこうした醜聞とともに、違法な外貨所持がバレて社労青委員長を解任され、革命化に送られた。しかしその後は権力機構に復帰し、現在の地位に上り詰めた。


崔龍海がそんな人生を歩むことができた最大の理由は、故金日成主席の抗日パルチザン時代の隊員で同志だった崔賢(チェ・ヒョン=1907〜1982)の息子だからだ。崔賢は金日成の側近グループの中で、真っ先に金正日の後継を主張し、金日成・正日親子からの信任が厚かった。


抗日パルチザン出身者の家系は北朝鮮の階級社会で最上位にあり、「赤い貴族」とも呼ばれる。崔龍海のような「やりたい放題」の醜聞はほかからも聞こえてくる。そんな悪事をかばい合うことで、崔龍海の影響力が守られている側面は確かにあるかもしれない。

デイリーNKジャパン

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