「razr 60シリーズ」を発表したモトローラのスマホがカラフルでファッショナブルな理由とは
2025年5月7日(水)16時45分 マイナビニュース
最近のスマートフォンは背面処理にこだわった、様々なデザインのモデルが出てきています。それらの中でもモトローラの製品は他社と大きな差別化が図られています。本体のカラバリだけではなく新しい素材を積極的に導入し、他メーカーの製品と差別化した製品を出し続けているのです。モトローラはなぜこのような製品展開を進めているのでしょうか?
2025年4月24日にモトローラは新型スマートフォン「razr 60」シリーズと「edge 60」シリーズを発表しました。razr 60シリーズは縦に折りたたむスタイリッシュな製品で、上位モデルの「razr 60 Ultra」と標準モデルの「razr 60」の2機種展開となっています。本体を閉じても使えるアウトディスプレイの採用で、スマートフォンの活用シーンを広げてくれると共に、AI機能も強化された製品です。モトローラの折りたたみモデルはこれまでも日本で発売になっており、このrazr 60シリーズもいずれ日本に投入されるでしょう。
どちらのモデルも4色ずつのカラバリがあり、そのいずれもが鮮やかなカラーリングに仕上げられています。スマートフォンの標準色ともいえる白や黒のカラバリは無く、さらに本体の素材も様々です。どのモデルもケースを付けずにそのまま使いたくなるような、そんな外観です。こうして並べてみると、スマートフォンというよりも何かのアクセサリかコスメ製品のようにも見えてきます。
ニューヨークで行われたこれら新モデルの発表会では、razr 60シリーズは「Make it Iconic」のキャッチコピーで紹介されました。意訳すると「自分だけの唯一無二を手に入れよう」といった感じでしょうか。確かにこの代表カラーの2色を見ても、他のスマートフォンと違う存在であることがわかります。折りたたみスマートフォンそのものが特徴的な形状ですが、razr 60シリーズは大胆なカラーリングで目を惹きつけてくれるのです。
発表会ではモトローラの社長であるSrgio Buniac氏が同社の製品の開発理念として「アイコニックなデザインと最新技術を融合させ、ユーザーの個性を際立たせるパーソナルな存在となる製品を追求している」と述べました。同社のスマートフォンのデザインを見ればそれは明らかで、モトローラのスマートフォンは65%がユニークなカラーを採用していると言います。日本でこれまで発表された同社のスマートフォンを振り返ってみても、確かにカラフルなモデルが多く登場しました。
razr 60シリーズと同時に発表された「edge 60」シリーズを見ても、一般的なストレート形状のスマートフォンながら、本体カラーは平凡ではありません。すべてのモデルそれぞれに個性を感じさせてくれるのです。持ちやすさを考えたクワッドカーブデザインや、防水防塵への対応など使い勝手もしっかりと高めたモデルです。
デザイン・ブランド・カスタマーエクスペリエンス部門を統括するRuben Castanoバイスプレジデントは「デバイスのデザイン、色、素材、仕上げが個人の選択にますます影響を与えている」とし、さらに「服や靴、バッグや財布などのアクセサリーは、すべて個人のパーソナルブランドを形作っている。ならばスマートフォンもその一部になるべき」と説明しました。
モトローラはスマートフォンを単なるテクノロジーやソフトウェア体験を超えたものとしてデザインし、アパレルや家具、ファッションのトレンドを取り入れ、消費者のライフスタイル要素をデザインに統合しているのです。パントーンなどと提携し、トレンドをユーザーに届けている理由もそのためです。
同氏はさらに「毎日使うスマートフォンには堅牢さも求められるが、だからといって美しさを損なうことなく、スタイリッシュでありながら耐久性のある製品を提供している」と説明しました。さらにメーカーとしての社会的責任であるサステナビリティに関しては、リサイクルや地球環境を考えた素材の使用を進めています。razr 60 Ultraでは人工レザーであるアルカンターラや、持続可能な森林管理を認証した木材や製品に与えられる国際認証である「FSC認証」を受けた木材を背面に採用しています。
またrazr 60にはアセテート樹脂を採用したモデルもあります。アセテート樹脂は木材パルプなど天然由来のセルロースを主原料としており、石油由来で製造される樹脂よりサステナブルな素材です。メガネフレームに使われるなど軽量かつ高い強度を保つ素材でもあり、スマートフォンの背面素材に適しています。
実はこの素材、すでに日本のモデルで採用されています。2024年12月に日本限定で発表された「razr 50d」で初採用されたのです。razr 60シリーズの前モデルとなる「razr 50」シリーズの日本発表は2024年9月、それから3か月後にシリーズのバリエーションモデルとして投入されたのがrazr 50dでした。
razr 50dがアセテート樹脂を採用したのは前述した理由だけではなく、加工段階で大理石な模様が自然に生まれ、さらに原料の混ざり具合により異なるパターンが現れます。つまりどれ1つとして同じ背面パターンを持った製品は存在しません。アセテート素材の採用は個性を表す唯一無二のデザインを実現できるというわけです。razr 50dはNTTドコモ限定の販売ですが、ドコモにとって約18年ぶりのモトローラ製品ということもあり、グローバルにはない日本だけの製品として仕上げたのでしょう。
機能面を見ると、モトローラのスマートフォンはAI機能も強化されており個人の生活をサポートするアシスタントとして24時間手放せない存在になります。AI機能は今ではスマートフォンのイチオシ機能であり、単純なネット検索では得られない情報を提供してくれる新しいサービスともいえます。毎日使う製品だからこそ、これからは素材やカラーにこだわり個性を重視した製品がより求められる存在になるでしょう。モトローラはその点に早くから注目していたわけです。
スマートフォンだけに限らず、ワイヤレスイヤホン「moto buds loop」ではスワロフスキーとのコラボモデルも発表しています。耳に挟む大胆なデザインも特徴的で、装着しているだけで存在感をアピールできる製品です。スマートな生活空間に個性を与えてくれるモトローラは、これからも魅力ある製品を次々と送り出してくれるでしょう。
富永彩乃+山根康宏 富永彩乃(とみなが あやの) ITジャーナリスト/自撮り端末研究家。日本や海外各国のIT事情、特に海外の最新スマートフォンやビデオコンテンツサービスに精通。海外展示会の取材も積極的にこなし、現地からライブ配信によるレポートや動画撮影・編集も自身で行っている。スマートフォン複数台を常に使いこなし、TVやメディアへの出演も多数。 山根康宏(やまねやすひろ) 香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。 この著者の記事一覧はこちら