レッドブルはフロア改良に注力。ニューウェイの指揮のもとで最強マシンになったRB19/2023年F1開発まとめ(7)
2023年のF1は、前年に導入された新しい技術規則によりグラウンドエフェクトカーが復活して2年目のシーズンとなった。今年も各チームが特色のあるマシンを投入し、シーズンが進むにつれて徐々に進化を遂げていった。そんな2023年型マシンのアップデートを振り返ってく今回の企画、最終回はコンストラクターズ選手権1位のオラクル・レッドブル・レーシングだ。
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▼オラクル・レッドブル・レーシング(RB19)
F1マシンは、フォーミュラ(規格)1に定められた技術レギュレーション(規則)に則って設計されなければならない。2022年に新しく導入された技術レギュレーションの特徴は、グラウンドエフェクトカーの導入だった。これにより、F1マシンはフロア(床)下を流れる空気を利用してダウンフォースが増加したが、ストレート上でマシンが上下に飛び跳ねるポーパシングというグラウンドエフェクトカー特有の現象に悩まされた。
そのため、国際自動車連盟(FIA)は2023年に向けて、ポーパシング現象を抑制するため、リヤタイヤ前のフロア外縁の高さを15mm、ディフューザーを10mm高くするよう技術レギュレーションを改訂した。
2022年にグラウンドエフェクトカーでダブルタイトルに輝いたレッドブルが、2023年に向けて最もこだわったのが、このフロア部分のアップデートだった。
開幕2連勝して、フロアに関するレギュレーションにおいて、ライバル勢に対して一定のアドバンテージを確認したレッドブルは、3戦目のオーストラリアGPでフロントウイングをアップデートしてきた。
開幕2戦はトラクション重視のサーキットでリヤタイヤの摩耗が厳しいサーキットだが、オーストラリアGPの舞台であるアルバートパーク・サーキットは逆にアンダーステアだと速く走ることができない。そのため、フロントウイングのアッパーフラップが山型に変更し、フロントの回頭性を向上させたものと考えられる。
その後も勝ち続けたレッドブルは、ヨーロッパラウンドに入ると、フロアのアップデートを再開する。第8戦スペインGPでは開幕戦から設けていたミニウイング(写真1の青矢印)の後ろに小さなトンネル(写真1の赤矢印)を設けた。
開幕10連勝で迎えた第12戦ハンガリーGPでは、開口部が薄くなったアグレッシブな形状のサイドポンツーンを投入してきた。暑いハンガリーであえて開口部を狭くしたサイドポンツーンを使用することで、直後のベルギーGPをはじめ、高速サーキットでのドラッグを軽減し、さらにストレートスピードを向上させる意図があったと考えられる。
第16戦シンガポールGPでは再びフロアをアップデートしてきた。ミニウイング(写真2の青矢印)の後ろに設けた小さなトンネル(写真2の赤矢印)の後ろに、さらにもう1つ小さなトンネル(写真2の黄矢印)を追加してきた。
フロア下を流れる空気によって得られるダウンフォースは、空気抵抗が少なく、前後のウイングで得られるダウンフォースよりも効率がいいと言われる。そういう意味では、レッドブルのRB19は、空力の天才と言われるエイドリアン・ニューウェイ(チーフテクニカルオフィサー)らしい開発とアップデートによって、最強のマシンへと進化したともいえる。
1988年にレイトンハウスのデザイナーだったニューウェイは、マクラーレンとホンダ・エンジンに一度も勝てずに16戦15勝を許した。35年後の2023年、ニューウェイはホンダとともに22戦21勝を挙げて、勝率でマクラーレン・ホンダの記録の打ち破った。
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