日本の決勝の相手、カタール代表について知っておきたい7つのこと
2019年2月1日(金)13時16分 サッカーキング
AFCアジアカップUAE2019・決勝で、日本代表はカタール代表と対戦する。初の決勝進出を果たした同代表について、ここでは7つの情報を紹介する。
■国交断絶で“孤立無援”
カタールは1971年にイギリスから独立。ペルシャ湾の中央に突き出した半島にあり、大きさは秋田県とほぼ同じ。人口は約270万人(外国人居住者を含む)で、京都府とほとんど変わらない。首都は1993年のアメリカW杯アジア最終予選の最終戦、日本対イラク戦で名前が知れ渡った“ドーハ”だ。アジアカップの開催国であるUAEとは海を隔てて東側で向かい合っている。ただ各メディアで報じられているとおり、カタールはUAEを始めとする中東7カ国と断交状態にあり、カタールからUAEへの入国は原則禁止されている。そのため、今回が初の決勝進出となるが、ほぼ“孤立無援”の状態で今大会を戦っているという。
■過去の対戦成績は全くの五分
日本とカタールは過去に8度対戦し、2勝4分2敗。さらに得点「10」、失点「10」と全く互角の成績となっている。最後に対戦したのは2011年1月21日。カタールで行われたアジアカップ準々決勝で、日本が3−2の勝利を収めた。同試合では吉田麻也が2枚の警告を受けて退場処分に。数的不利となった日本だが、試合終了間際に伊野波雅彦が決勝点を挙げて、土壇場で逆転したゲームだった。それ故、今回も激闘が繰り広げられる可能性は十分にある。なお、両国は6月に開幕するコパ・アメリカに招待国として参加する予定。グループステージでは別組となったが、“アジア代表”に相応しい2チームだろう。
■通算10度目で初の決勝進出
カタールのFIFAランキングは93位。オマーン代表(82位)よりも低い順位だが、アジアカップ通算10度目の出場で初の決勝進出を果たした(過去最高成績はベスト8)。今大会の成績は申し分ない。グループステージは3戦全勝で首位通過し、決勝トーナメントではイラク代表、韓国代表、UAE代表を破って決勝に進出。大会最多16得点を挙げながら、全試合完封と堅守を誇っている。
■快進撃を支える育成機関
ここまでの快進撃の要因として挙げられるのが、国家支援のスポーツ育成機関「アスパイア・アカデミー」の存在だ。サッカーだけに限らないアスリートの養成所として、2004年に設立。その後、カタールが2022年のW杯開催地に決定したことから、サッカー選手の育成に力を注ぐようになった。2006年にレアル・ソシエダで監督を務めたこともあるロベルト・オラベ氏を育成部門のトップに据えると、スペイン人を筆頭に世界中から優秀な指導者を“輸入”。急速なレベルアップを図った。すると2014年には、同アカデミー出身者で構成された代表チームがAFC U−19選手権で初優勝。今大会得点ランキングトップに立つアルモエズ・アリやアクラム・アフィフはその優勝メンバーであり、彼ら黄金世代がA代表の中核を担っている。なお同アカデミーは、豊川雄太が所属するベルギーのオイペンや井手口陽介が昨季まで在籍したスペインのクルトゥラル・レオネサの経営権を取得して、アカデミーの卒業生を武者修行に送り込むという“荒業”も披露。一方で、施設内に学校を併設して、選手たちに語学教育を行うなど万全のサポート体制を構築している。
■バルサ流を知る指揮官
カタールを率いるのは、スペイン出身のフェリックス・サンチェス監督。1975年生まれの43歳だ。バルセロナのユースで指導者キャリアをスタートさせ、同クラブで育ったセルジ・ロベルトやジャラール・デウロフェウは教え子にあたる。2006年に「アスパイア・アカデミー」に引き抜かれると、2013年からU−19カタール代表監督に就任。翌年のAFC U−19選手権で初のアジア制覇を成し遂げた後はU−20、U−23とエスカレーター式に昇進を果たし、2017年8月からA代表の指揮を託されている。欧州トップレベルでの指揮経験はないものの、カタールサッカーの礎を作ってきた人物と言っても過言ではなく、自ら天塩に育ててきた選手たちと共に“アジア制覇”を狙っている。
■モウリーニョ氏も絶賛したエース
“フェリックス・チルドレン”と呼ばれる指揮官の教え子たちの中でも、最も注目を集めているのがFWアルモエズ・アリだ。今大会ここまで8ゴールは単独トップ。1月29日の準決勝・UAE代表戦で挙げた1ゴールによって、1996年・UAE大会で元イラン代表FWアリ・ダエイ氏が残した1大会における最多得点記録にも並んだ。あのジョゼ・モウリーニョ氏も、カタールメディア『beIN Sports』のテレビ放送で同選手を絶賛。「とてもスピードがあって、ゴール前での動きは機敏。欧州のリーグでもプレーできる」とコメントした。もっとも、彼はすでにヨーロッパを経験済み。「アスパイア・アカデミー」で育ったあと、オイペンやオーストリアのLASKリンツ、さらにクルトゥラル・レオネサに在籍。現在はカタールのアル・ドゥハイルに所属しているが、22歳にして欧州複数国でのプレー経験を持っている。“アジア得点王”のタイトルを手に、再び欧州に旅立つのは間違いない。
■多様なルーツを持つ選手たち
カタール代表の特徴の一つが、“外国人選手”の多さかもしれない。実はアリもカタール生まれではなく、出生地はアフリカのスーダン。幼少期にカタールに移住して現在に至る。彼のような選手は他にも存在しており、DFペドロ・コレイラはポルトガル、DFバッサム・アルラウィはイラク、MFカリム・ブディアフはフランス、MFブーアッラーム・フーヒーはアルジェリアが出身国となる。また、カタールで生まれながらもルーツはアフリカという選手も複数存在している。一方で“純カタール人”は、DFリーダーのタリク・サルマンや10番で主将を務めるハッサン・アル・ハイドゥースら数えるほど。そもそもカタールの産業は200万人とも言われる外国人労働者に依存しており、代表チームもそうした国の状況を反映していると言える。
(記事/Footmedia)
■国交断絶で“孤立無援”
カタールは1971年にイギリスから独立。ペルシャ湾の中央に突き出した半島にあり、大きさは秋田県とほぼ同じ。人口は約270万人(外国人居住者を含む)で、京都府とほとんど変わらない。首都は1993年のアメリカW杯アジア最終予選の最終戦、日本対イラク戦で名前が知れ渡った“ドーハ”だ。アジアカップの開催国であるUAEとは海を隔てて東側で向かい合っている。ただ各メディアで報じられているとおり、カタールはUAEを始めとする中東7カ国と断交状態にあり、カタールからUAEへの入国は原則禁止されている。そのため、今回が初の決勝進出となるが、ほぼ“孤立無援”の状態で今大会を戦っているという。
■過去の対戦成績は全くの五分
日本とカタールは過去に8度対戦し、2勝4分2敗。さらに得点「10」、失点「10」と全く互角の成績となっている。最後に対戦したのは2011年1月21日。カタールで行われたアジアカップ準々決勝で、日本が3−2の勝利を収めた。同試合では吉田麻也が2枚の警告を受けて退場処分に。数的不利となった日本だが、試合終了間際に伊野波雅彦が決勝点を挙げて、土壇場で逆転したゲームだった。それ故、今回も激闘が繰り広げられる可能性は十分にある。なお、両国は6月に開幕するコパ・アメリカに招待国として参加する予定。グループステージでは別組となったが、“アジア代表”に相応しい2チームだろう。
■通算10度目で初の決勝進出
カタールのFIFAランキングは93位。オマーン代表(82位)よりも低い順位だが、アジアカップ通算10度目の出場で初の決勝進出を果たした(過去最高成績はベスト8)。今大会の成績は申し分ない。グループステージは3戦全勝で首位通過し、決勝トーナメントではイラク代表、韓国代表、UAE代表を破って決勝に進出。大会最多16得点を挙げながら、全試合完封と堅守を誇っている。
■快進撃を支える育成機関
ここまでの快進撃の要因として挙げられるのが、国家支援のスポーツ育成機関「アスパイア・アカデミー」の存在だ。サッカーだけに限らないアスリートの養成所として、2004年に設立。その後、カタールが2022年のW杯開催地に決定したことから、サッカー選手の育成に力を注ぐようになった。2006年にレアル・ソシエダで監督を務めたこともあるロベルト・オラベ氏を育成部門のトップに据えると、スペイン人を筆頭に世界中から優秀な指導者を“輸入”。急速なレベルアップを図った。すると2014年には、同アカデミー出身者で構成された代表チームがAFC U−19選手権で初優勝。今大会得点ランキングトップに立つアルモエズ・アリやアクラム・アフィフはその優勝メンバーであり、彼ら黄金世代がA代表の中核を担っている。なお同アカデミーは、豊川雄太が所属するベルギーのオイペンや井手口陽介が昨季まで在籍したスペインのクルトゥラル・レオネサの経営権を取得して、アカデミーの卒業生を武者修行に送り込むという“荒業”も披露。一方で、施設内に学校を併設して、選手たちに語学教育を行うなど万全のサポート体制を構築している。
■バルサ流を知る指揮官
カタールを率いるのは、スペイン出身のフェリックス・サンチェス監督。1975年生まれの43歳だ。バルセロナのユースで指導者キャリアをスタートさせ、同クラブで育ったセルジ・ロベルトやジャラール・デウロフェウは教え子にあたる。2006年に「アスパイア・アカデミー」に引き抜かれると、2013年からU−19カタール代表監督に就任。翌年のAFC U−19選手権で初のアジア制覇を成し遂げた後はU−20、U−23とエスカレーター式に昇進を果たし、2017年8月からA代表の指揮を託されている。欧州トップレベルでの指揮経験はないものの、カタールサッカーの礎を作ってきた人物と言っても過言ではなく、自ら天塩に育ててきた選手たちと共に“アジア制覇”を狙っている。
■モウリーニョ氏も絶賛したエース
“フェリックス・チルドレン”と呼ばれる指揮官の教え子たちの中でも、最も注目を集めているのがFWアルモエズ・アリだ。今大会ここまで8ゴールは単独トップ。1月29日の準決勝・UAE代表戦で挙げた1ゴールによって、1996年・UAE大会で元イラン代表FWアリ・ダエイ氏が残した1大会における最多得点記録にも並んだ。あのジョゼ・モウリーニョ氏も、カタールメディア『beIN Sports』のテレビ放送で同選手を絶賛。「とてもスピードがあって、ゴール前での動きは機敏。欧州のリーグでもプレーできる」とコメントした。もっとも、彼はすでにヨーロッパを経験済み。「アスパイア・アカデミー」で育ったあと、オイペンやオーストリアのLASKリンツ、さらにクルトゥラル・レオネサに在籍。現在はカタールのアル・ドゥハイルに所属しているが、22歳にして欧州複数国でのプレー経験を持っている。“アジア得点王”のタイトルを手に、再び欧州に旅立つのは間違いない。
■多様なルーツを持つ選手たち
カタール代表の特徴の一つが、“外国人選手”の多さかもしれない。実はアリもカタール生まれではなく、出生地はアフリカのスーダン。幼少期にカタールに移住して現在に至る。彼のような選手は他にも存在しており、DFペドロ・コレイラはポルトガル、DFバッサム・アルラウィはイラク、MFカリム・ブディアフはフランス、MFブーアッラーム・フーヒーはアルジェリアが出身国となる。また、カタールで生まれながらもルーツはアフリカという選手も複数存在している。一方で“純カタール人”は、DFリーダーのタリク・サルマンや10番で主将を務めるハッサン・アル・ハイドゥースら数えるほど。そもそもカタールの産業は200万人とも言われる外国人労働者に依存しており、代表チームもそうした国の状況を反映していると言える。
(記事/Footmedia)