いざ“リベンジの年”。王座奪還へ、キーワードは「安定」【SF全チーム情報2025/TEAM MUGEN】
2025年3月5日(水)11時50分 AUTOSPORT web

3月7〜9日に、三重県の鈴鹿サーキットで開幕を迎える全日本スーパーフォーミュラ選手権の2025シーズン。昨年、タイトルを獲得した坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)がカーナンバー『1』を付け連覇に挑む年となるが、注目の海外ドライバーやルーキー、新チームもひしめく、見どころの多いシーズンとなりそうだ。
2025年は一部レースフォーマットも変更され、1ウイーク2レースのイベントも増加。また、タイヤのスペックが変更されるなか、2月に行われた公式テストは雪のため日程短縮と、どの陣営も充分に走り込めていない状況で、開幕からいきなりの土日連戦を迎えるため、その勢力図も気になるところ。
ここでは公式テスト前日の『メディアデー』でのドライバー・監督らの発言を中心に、今季体制の変更点や注目ポイントなどをチームごとにまとめ、連載していく。
今回は“王座奪還”に燃えるTEAM MUGENだ。
■TEAM MUGEN 2025年スーパーフォーミュラ参戦体制
・ドライバー:岩佐歩夢(No.15)/野尻智紀(No.16)
・監督:田中洋克
・アドバイザー:武藤英紀
・チーフエンジニア:小池智彦(No.15)/田口顕人(No.16)
・エンジン:ホンダ/M-TEC HR-417E


■ここ数年では初めてとなる両ドライバー継続
今回はマシンのカラーリングも大幅に変更され、心機一転のTEAM MUGEN。16号車は在籍7年目となる野尻智紀で変わらず、15号車も岩佐歩夢を継続起用することとなった。実は15号車に関しては、毎年のようにドライバーが変わっていたが、ここ数年では初めてとなるドライバー・トラックエンジニアともに体制継続となる。
これについては田中洋克監督も「15号車は毎年ドライバーが変わって苦労するところもありましたけど、今年は継続2年目となります。16号車も変わらず野尻ということで、またチャンピオン奪還に向けて、より安定した戦いができるのではないかなと思っています」と今季の展望を語る。
参戦2年目となる岩佐は「昨年よりも気合いが入っていますし、自分としては昨年から目標にしていたチャンピオンと優勝というところ(目標達成)ができなかったので、それを成し遂げる“リベンジの年”になるのではないかなと。本当に開幕戦から各レースで優勝目指して頑張っていきたいと思います」と気合充分。昨シーズンはポールポジションを獲得し決勝での最上位は2位とパフォーマンスの高い走りをみせていたものの、苦戦を強いられたレースもあった。
「自分自身の力が足りなかったところはあると思いますが、昨年はチャンピオンを獲りに行けるポテンシャルはあったと思います。それをしっかりまとめ上げてレースウイークで結果として出すことができなかったというのが一番大きいというふうに感じています」と岩佐。
その上で「今シーズンのキーポイントは、どれだけ自分たちのパフォーマンスをそのまま結果として出すことが大事になってくるので、自分たちの100%もしくはそれに限りなく近い力を常に出し続けることが大事かなと思っています」と今年に向けた改善項目も明確になっている様子だ。
一方、昨年もチャンピオン争いに加わるも最終戦を前に脱落し、ランキング2位となった野尻。「昨年は“惜しくも”というか……けっこう差をつけられてチャンピオンを獲れなかったので、目標はチャンピオンというところで頑張りたいと思います。チームの面々も新しいメンバーもいますから、そのメンバーとともに優勝してチャンピオンの喜びを分かち合えるように必死に頑張りたいと思います」と意気込みを語る。
今季の16号車の大きなトピックは、一瀬俊浩エンジニアが離れ、田口顕人氏が新たにトラックエンジニアに就任したことである。
これについては「一瀬エンジニアが素晴らしい能力を持ったエンジニアのひとりであるとは思っています。ただ、今年一緒にやる田口エンジニアにも“彼にしかない良さ”は必ずあると思います。そこから新しいクルマだったりチームを作っていければいいなと思っています」と野尻。
「ただ、実際に(一瀬エンジニアが)いなくなってみると苦労する部分は必ずあると思うので、そこは実戦を通して補いながら、強く戦いたいなと思います」と、ひとつひとつ足場固めをしながら、シーズンに臨んでいこうという考えのようだ。
その重要な機会となるはずだった開幕前のテストは、雪の影響で2日目のセッションがキャンセル。充分な走り込みができないまま開幕を迎えるが、2023年以来となるチームタイトル、そして2022年以来遠ざかっているドライバー部門での王座奪還を狙うTEAM MUGENが開幕戦でどのようなパフォーマンスを見せるのか、注目だ。