「戦力外のようなビリ」「ちょっと意地張って」「人生で......彼女以上」【SF Mix Voices第2戦】

2025年3月12日(水)11時47分 AUTOSPORT web


 3月9日、全日本スーパーフォーミュラ選手権は三重県の鈴鹿サーキットで2025年シーズンの第2戦が行われ、新フォーマットを活用して1周目からピットイン義務を消化するマシンが出るなか、後半までピット作業を引っ張った牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が勝利を飾った。


 レース後にトップ3を除く全ドライバーが参加して行われる“メディアミックスゾーン”でのコメントから、第2戦の予選・決勝に関するコメントを中心にお届けする。


■サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S) 予選11番手/決勝16位



 スーパーフォーミュラに復帰後初レースウイークを迎えたフェネストラズ。日本のレースに帰ってきたということで、ピットウォークでも多くのファンがサインを求めにきていた。フェネストラズ自身も「たくさん“おかえり!”と言ってもらえて、すごく嬉しかった!」と笑顔を見せていた。


 しかし、復帰初戦のレースはなかなかうまくいかず、金曜日のフリー走行2回目では走行データがロストしてしまうトラブルが発生。その影響もあり土曜日の第1戦は苦戦気味で予選Q1でスピンを喫して最後尾グリッドからスタートし、決勝は11位でフィニッシュとなった。


 続く日曜日の第2戦ではQ2進出を果たし、11番手からスタート。「もちろん、改善しなければいけないところはたくさんあるが、少なくとも前日より進歩できた」とフェネストラズ。決勝では5周目にピットインを済ませる戦略を採ったが、思うように順位を上げられず、最終的に16位でチェッカーを受けた。


「今回のストラテジーが思っていたほど良い方向に働いてくれなかったけど、ポジティブな部分もあったし、昨日(第1戦)悩まされたデグラデーションも改善された」と前日からの進歩を強調していた。


 さらにフェネストラズは今後の目標のひとつとして“セットアップ”を挙げ「今の(チーム内の)2台は、すごくかけ離れたセットアップになっているけど、それを今後は近づけていきたいし、坪井選手のセットアップにトライしていくことも始めていきたい。それが次のもてぎでの目標だ」とコメントしていた。


サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)/2025スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦鈴鹿

■平良響(KDDI TGMGP TGR-DC) 予選18番手/決勝17位


 今季から新体制での活動を開始したKDDI TGMGP TGR-DCとともに、初のフルシーズン参戦をスタートさせた平良。ピットウインドウのない新フォーマットで行われた第2戦は、予選結果から1ポジションアップの17位チェッカーとなり、ミックスゾーンでは開口一番に「パフォーマンス不足。スピードがなかったです」と悔しさを露わにした。


「予選、決勝ともに(スピードがなかった)。とくに決勝の作戦などは、パフォーマンスがあってのものだと思うので、(新フォーマットで)作戦の幅は増えましたけど、どの作戦を採っても順位はこの辺なんだろうなっていう感じです」


 マシンの手応えが足りないなか、決勝で平良はピットインを遅らせる作戦で“オモテ”の1台として走行。その一方で、チームメイトの小高一斗は2周目の終わりにピットインして“ウラ”にまわった。そして18周目終わりに平良はピットインし、後半にニュータイヤで追い上げていくなかで小高に追いつき接近。Astemoシケインでサイド・バイ・サイドのバトルを展開した。その一幕について振り返る。


「あの時は(小高)一斗も必要以上というか、かなり僕を意識して守ってきたので、結構狭いスペースに飛び込みました」


「結果的には、ちゃんと抜くことができたので良かったですが、本当は僕もちょっと我慢して、(次の)ホームストレートで抜くとかもできたのかなっていう感じです」と、接触NGながらも負けられないチームメイトとのバトルを話す。


 しかし、「前にいるトムス(フェネストラズ/16位)とかセルモ(阪口晴南/15位)も抜けるぐらいのスピードがあれば」と言葉を続け、パフォーマンス不足への苦心が止まない様子だ。


 最後に平良は4月の第3&4戦もてぎへ向けて、「(マシンセットは)一気に大きくガラッと変えたり、目つぶってフルスイングするような変更はせずに、まずはしっかりと積み重ねていきたいです」と着実な速さの向上を誓った。


平良響(KDDI TGMGP TGR-DC)/2025スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦鈴鹿

小林可夢偉(Kids com Team KCMG) 予選15番手/決勝9位


「流れはあまり良くなかったんですけど、スピードは多分悪くなかった」とシングルフィニッシュを果たした可夢偉。第1スティントでは山下健太(KONDO RACING)、タイヤ交換後は大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)の背後につく形となり、前車を抜きあぐねる時間が長かったという。


「もうちょっと戦略面でうまくできていたら、もっと前でゴールできていたかも」と可夢偉は悔しがる。


 可夢偉は12周目でのピットインを選択したが、今回のレースでは規則によるピットウインドウの制限はなく、1周目からタイヤ交換義務を果たすことができた。スペックが変更されたタイヤでのロングラン性能と戦略の幅について尋ねられた可夢偉は、それらの要素よりも「クリーンエア(前にマシンがいない状態)で走れるかどうか」の重要性を口にした。


「(ラップタイムが)1秒差であっても(空力を失うことで)タイヤをやってしまうし、抜けないというところが、戦略面だけではレースを面白くしにくのかな、というのが本音です。要するに、戦略を変えても、前に遅いクルマがいるとそこにスタックする状態になってしまう」


 なお可夢偉の7号車陣営では、オフの間の怪我により、2月のテストに続いてレースエンジニアのコシュモ・プリシアーノ氏の来日はかなわず、今回もリモートでエンジニアリング業務を務めていた。チャットやテレビ電話等を駆使してイタリアとの連絡を取り合う週末となったが、その頻度について聞くと「もう人生で……彼女以上ですね(笑)。3日間で、これだけ同じ人と連絡を取り合ったのは」と冗談を交えて答えた。さすがにレース中の戦略判断については、関口雄飛チームコーディネーターが務めたという。


 タフなシチュエーションで開幕ラウンドを戦った可夢偉は、「これで逆にうまく行ったら、世界中の優秀なエンジニアにリモートで依頼できるわけだから、それはそれで面白いですよね」とレース・エンジニアリングの“新たな可能性”も感じたようだった。


小林可夢偉(Kids com Team KCMG)/2025スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦鈴鹿

■大嶋和也(docomo business ROOKIE) 予選10番手/決勝10位


 大嶋が2023年の第7戦もてぎ以来、2年ぶりの入賞を果たした。第2戦Q1B組で挑んだ予選では4番手タイムをマークしてQ2に進出、10番グリッドからレースでは1周目にピットインする戦略を選ぶも、一時ポイント圏外に。それでも11番手をキープし、最後は上位ドライバーのペナルティもあり、10位で貴重な1ポイントを稼いだ。


「今週は走り始めからちょっとパワステにトラブルがあって、金曜日の走行でも全然まともに走れていない状況だったのですけど、エンジニアといろいろ相談して作ってきた持ち込みのセットが結構決まっていて、パワステのトラブルも戻ったら予選でもいい走りができて、本当に久しぶりにグリップを感じながら、楽しく予選を走れました」


「決勝に関しては、やっぱりもうちょっとペースが足りなかったかなというのもあるし、 1 周目でピット入った戦略が思ったよりも当たらなかった。毎回、後にタイヤ交換して前に出てくるクルマを抜くのに1秒、2秒と、どんどんロスしていたので。タイヤもレース後半はちょっと低速コーナーは辛かったです」


「ただコンディション変化もあるだろうけど、高速コーナーはタレずにどんどん速く走れていった感じですね。ひさびさのポイント獲得、最後は(上位ドライバーのペナルティで)だいぶラッキーな雰囲気でしたけど(苦笑)、途中、山下(健太)選手も後ろから来ていて、(大嶋より後のピットインで)タイヤのライフに差があるなか、ちょっと意地張って抑えられてよかったかなと思います。ここ最近、なかなかいいレースができなかったですし、もうちょっと前に行きたいですけど、今日は満足のいくレースだったかなと思います」


大嶋和也(docomo business ROOKIE)/2025スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦鈴鹿

■高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL) 予選22番手/決勝20位


 スーパーGT500クラスではニッサンのエースのひとりとして優勝を何度も飾っている高星(32歳)。これまでスポットで参戦することがあったものの、スーパーフォーミュラではまだまだルーキー枠(決勝レース出走4戦未満)で、今季はITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPULからオールドルーキーとしてレギュラー参戦することになったが、その初戦イベントは第1戦12位、第2戦は20位と厳しい結果になってしまった。


「なんて言えばいいんですかね……レースに参加できてない感がすごくあるなと、正直思ってます。戦える状況にない。(実質的に)ビリでも、戦えてるビリじゃなくて、戦力外のようなビリで、同じレースで戦っているとは感じていません。そこはやっぱり、いろいろ見直していかなきゃいけないなと思っています。あまりにも遅すぎて、何から手をつけていいかちょっとわからないですけど、一歩一歩、そのステップを踏めるようにやっていきたいなと思ってます」


 経験豊富な高星でも苦労させられる現在のスーパーフォーミュラ。第2戦の予選ではQ1A組で大きく離される最下位で、タイヤのグリップをまったく機能させられていないことが伺えた。


「究極としてはタイヤをどう使うか、どう入力を掛けていくかというところになるのですけど、なんでそれができないのか、できるのか・できないのかというところを含めて、見つけていかなきゃいけないと思うし、セットアップの方向だけでなく、個人的にもドライビングはもうちょっと見つめ直さなきゃいけないんだろうと思います。そこをもっともっと合わせられるように向上させて、頑張ります」


高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)/2025スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦鈴鹿

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