米当局が宣言した大谷翔平の“潔白”に米記者も持論 渦巻いた陰謀論に疑念「有罪になることを望む人は奇妙で呆れる」
2024年4月12日(金)16時0分 ココカラネクスト

捜査期間中も懸命にプレーに取り組んできた大谷。その胸中がどれだけ複雑だったかは想像に難くない。(C)Getty Images
「正直ショックという言葉が正しいとは思わないですし、それ以上の、うまく言葉では表せないような感覚で1週間過ごしてきた。うまく言葉にするのは難しいなと思っています」
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これは去る3月25日に開かれた声明発表会見における大谷翔平(ドジャース)の“独白”だ。稀代の天才は、この5日前まで専属通訳だった水原一平氏が違法賭博に関与したために球団を解雇されるというスキャンダルを受け、質疑応答がない異例の会見で表情を強張らせながら発信した。今にして思えば、「野球に集中したい」という相当な覚悟と、信頼していた“盟友”に裏切られた複雑な胸中が入り混じっていたものだったのではないかと思えてくる。
この時の大谷の複雑な胸の内をより想像させるのは、米連邦捜査局などの調査によって新たに明るみになった事実だ。現地時間4月11日にIRS(内国歳入庁)と国土安全保証省、司法省は記者会見を実施。大谷翔平(ドジャース)の元専属通訳であった水原一平氏を、銀行への詐欺罪で起訴したと正式に発表した。
驚くべき全容が浮かび上がった。水原氏がアクセス権を持っていたとされる大谷の銀行口座から違法賭博のブックメーカーに送金された額はなんと1600万ドル(約24億5000万円)に上る。さらに検察側からの37ページに渡る告訴状によると、2021年の12月からスキャンダルが明るみになる直前の24年1月までの約2年間での水原氏の総損失額は1億8290万ドル(約279億8370万円)と判明。勝った額を差し引いても、純損失4070万ドル(約62億2710万円)に上るとされ、すべてが想像を絶するスケールで賭博を進められていたことが分かる。
今回の発表によって大谷の潔白が改めて立証される形となった。会見に登場したカリフォルニア州中部地区連邦検事のE・マーティン・エストラーダ氏は「ミズハラはスポーツ賭博への飽くなき欲求を満たすため、オオタニから信頼を得ていた立場を悪用した」と指摘した。
一連のあらましが発覚して間もなかった先述の声明発表会見時には、スキャンダルの焦点は、水原氏がいかに大谷の口座にアクセスしたのか、なぜ大谷や周囲の関係者が巨額の送金に気付かなかったなどに集中。会見で「僕自身は何かに賭けたり、誰かに代わってスポーツイベントに賭けたり、またそれを頼んだことはない」と強調していた大谷にも小さくない疑義も生じていた。
しかし、「この件に関して、オオタニは被害者であると強調したい」(エストラーダ氏談)とも発表により、疑いを持っていた者に対するハレーションも広まっている。
MLBの公式ネットワーク局『MLB Network』の番組などで解説を務めているアラナ・リゾ記者は、自身のXで「誰がここまで(事態を)暴走させたのか? ショウヘイ・オオタニはこの事件の被害者であり、ミズハラは“友”を裏切ったことを長い間、刑務所の中で考え続けることになる」と手厳しく指摘した。
また、米スポーツ局『NESN』でポッドキャスト番組のホストを務めているジャレッド・カラビス記者も自らのXで「連邦捜査機関がショウヘイ・オオタニは完全に無実だと言っているにもかかわらず、この期に及んで、彼が何らかの不正行為で有罪になることを望んでいる人の多さは、奇妙で呆れるばかりだ」と指摘。そのうえで「なぜそういう意見を後押しするかがわからない」と、いまだにSNSで噴出している陰謀論に疑問を投げかけている。
日本ハム時代から縁を結び信頼してきた水原氏の“裏切り”。その衝撃の内容に、大谷が発した「正直ショックという言葉が正しいとは思わない」という言葉の重みは増すばかりだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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