観客の死亡事故から2週間 いまだ球場が使えず釜山ロッテの本拠地でNCがホームゲーム開催
2025年4月15日(火)12時3分 スポーツニッポン
【室井昌也コラム 月に2回は韓情移入】3月29日の球場内設置物の落下事故で観客1人が死亡した韓国南部にある昌原(チャンウォン)NCパーク。事故から2週間以上経過したが、その後試合は行われていない。同球場が本拠地のNCダイノスはビジターゲームが続いていた。
そんな中、4月11日からのロッテジャイアンツとの3連戦は日程通り、NCのホームゲームが行われた。開催場所は昌原ではなく昌原の東約40キロに位置する釜山(プサン)の社稷(サジク)球場。対戦相手ロッテのホーム球場だ。日本に置き換えるなら「神宮でDeNA主催のヤクルト戦が行われた」といったところか。
試合前の練習は前のカードも釜山で試合を行った「ビジター」のロッテが先。ロッテはベンチも使い慣れた一塁側に陣取り、「違うのはユニフォームと先攻であることくらい」とロッテの金泰亨(キム・テヒョン)監督は話した。
「ホーム」NCの李昊俊(イ・ホジュン)監督も「普段のロッテ戦とあまり変わらず、選手もいつも通り」と答えるも、「球団スタッフはとても大変だった」と言って感謝の言葉を口にした。
予定外の釜山遠征でNCは常宿を確保できず、関係者は新たにホテルを探すなど対応に追われた。またダッグアウト周辺のフェンスには、3連戦のためだけに球団ロゴや親会社の広告のラッピングを施工。大型ビジョンの映像演出や音響効果もNC仕様にし、場内通路にはNCグッズの販売コーナーも設けられた。
その一方でチケット販売は座席区分の特異性などから、ロッテ球団が主導しロッテの販売システムで行われた。ロッテのホームゲームと異なる点は、ロッテのファンクラブ会員へのチケット購入時のポイントが付与されないといったことぐらいだった。
ちなみにKBOリーグは入場券収入のうち経費を除いた28%がビジターチームにも分配される。ロッテはビジターであっても観客が増えることにメリットはある。
3連戦の観客数は1試合平均1万6651人。直前の球場変更ということもあり昨年の同カードの2万人台に比べて少なかったが、普段は劣勢のNC側の応援席は本拠地さながらの盛り上がりを見せていた。
昌原NCパークの事故後の安全点検は終了。再発防止策や被害者遺族への対応、事故目撃者などへの心理カウンセリングも行われている。一方で警察をはじめとした関係各所での報告書の確認などは継続中だ。今週15日からのNCと斗山(トゥサン)ベアーズの3連戦は中止が決まっている