「鳥谷以降は誰もいない」拙守だけじゃない名手・木浪聖也の“不振” 阪神が苦悩する「遊撃手問題」に解決策はあるか
2025年4月20日(日)11時0分 ココカラネクスト

攻守で精彩を欠き、プレーの流れも芳しくない木浪。(C)産経新聞社
甲子園を埋め尽くした虎党からもたまらずにため息が漏れた。4月19日に行われた広島戦で、阪神の遊撃手である木浪聖也が1試合3失策。堅実さが売りの名手の“守乱”は、今季3度目となる完封負けに繋がった。
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2回だった。ジャッグルと、適時失策となる悪送球で1イニング2失策を犯した木浪の守備からペースが乱れた阪神は広島打線に付け込まれて3失点。さらに9回無死一塁の局面では、中村奨成のやや二塁ベース寄りに放たれた打球を止められずに足元を抜かれると、これも失策となった。
この日は打線もからっきしだった阪神は2連敗。開幕からホーム戦4カード連続負け越しは、藤本定義監督体制下にあった1968年以来の不名誉な結果となった。
一体どうしてしまったのか。昨季は出場116試合で8個しかなく、捕逸に至ってはゼロだった木浪だが、今季は直近3試合だけで4失策と明らかに良くない。開幕から小幡竜平との競争を強いてきた藤川球児監督も流石に見逃せない状況ではないか。
もっとも、今季の木浪において懸念されるのは守備面だけではない。打撃に関しても芳しくないのだ。打率.220の低調さに加え、三振率も25.0%を記録。これは下位打線の起用による影響は少なからずあるにせよ、打者が平均よりもどれだけ得点を創出したかを表す指標『XR+』は「−0.79」とマイナス数値となっている。
データが全てではないにしろ、ここまでの木浪が精彩を欠いているのは明白ではある。となれば、「じゃあ代役を——」と思うが、筆頭候補となる小幡も打率.182、OPS.468と自慢の攻撃力を発揮できず……。1軍に帯同し、二軍では遊撃手を守っていた髙寺望夢は、出場5試合のスモールサンプルながら打率.000と心もとない。
ふと二軍を見れば、昨秋のドラフト5位で、現在打率.367と好調の佐野太陽に加え、高卒2年目の山田脩也、さらに高卒3年目の戸井零士と言った遊撃手で起用可能な有望株はいる。しかし、今の重圧のかかる状況下で経験値の低い彼らを抜擢するリスクを球団が取れるかどうかは不透明。そうなると、やはりベテランの域に入っている木浪自身にどうにか踏ん張ってもらうしかないか。
歴史的に多くの名手たちが彩ってきた阪神の遊撃手。それだけにどうにも不安定な現状にはXをはじめとするSNS上でも「何度も同じことを繰り返している」や「いい加減に誰か据えたい」「鳥谷以降は誰もいない」といった批判は小さくない。そんな世間の耳目を集める花形とも言えるポジションを誰がどう担っていくのか。捲土重来を期する藤川阪神にとって小さくない課題となっていきそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]