米再上陸の井上尚弥への批判は「不公平」 米興行関係者が訴えた“価値”「偉大な選手の基準は高すぎる。彼は全員倒している」
2025年4月24日(木)12時0分 ココカラネクスト

いかなる敵もなぎ倒してきた井上。その強さを米興行大手関係者が声高に語った。(C)Lemino/SECOND CAREER
自身の価値を証明する一戦に向け、“モンスター”は万全を期している。
来る5月4日(現地時間)に米ラスベガスのT-モバイルアリーナでWBA世界スーパーバンタム級1位ラモン・カルデナス(米国)との防衛戦を控えるボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者の井上尚弥(大橋)は、日本時間の23日に渡米。米ロサンゼルスに到着してすぐに同市内のジムで公開練習を実施。その後に興行主となる米プロモート大手『Top Rank』が用意したプライベートジェットでラスベガスへ移動した。
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軽めの練習をこなす姿に充実ぶりが伺える。米専門サイト『Boxing Scene』などが公開した動画で、井上はトレーナーとのミット打ちをはじめ、シャドーボクシング、重めのサンドバッグ打ちを消化。移動による疲労も感じさせずに鋭く、力強いパンチを繰り出した。
ファイトマネーが100万ドル(約1億4500万円)以上とも報じられている今回の一戦は、業界屈指のビッグマッチが組まれるメキシコの記念日「シンコ・デ・マヨ」の一週間に当たる。そのため、21年6月以来のラスベガス上陸を果たす井上に対する関心は高まっており、タイトルの防衛だけでなく、“モンスター”の真価が問われてもいる。
一部で“格下”と見られる相手との連戦を批判されもする井上。だが、関係者は日本ボクシング界の偉才に対する“逆風”を「全く不当な批判だ」と断じている。『Top Rank』のトッド・デュボフ社長は、『Boxing Scene』で「負傷したドヘニーや、出場を望まなかったピカソを指すのはフェアではない」と持論を展開した。
「イノウエは、どんな相手でも、わざわざ『俺はやる。やるよ』と言うんだ。彼は『自分がタイトルを持っているから標的になるのは仕方がない』と考えながら、自分を守ろうとする唯一の男だ。まるでロマチェンコのようで、誰に対しても引かないんだ」
北京、ロンドン五輪の金メダリストで、世界最速の世界3階級制覇王者でもある名手ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)を引き合いに出し、井上のメンタリティを評したデュボフ社長は、「シュガー・レイ・レナード(米国/元世界5階級制覇王者)や、マービン・ハグラー(米国/元ミドル級3団体統一王者)も立て続けにビッグマッチと言われる試合をしたわけではない。その間に試合をしなければならないし、タイミングも大事になる」と指摘。大物だからこそのマッチメイクの難しさを強調している。
「偉大な選手の基準は高すぎるんだ。パウンド・フォー・パウンドで注目を集める男ともなって大きな魅力があれば、誰もが賞金首になるが、常にふさわしいファイターがいるわけではない。そうなると選択肢は2つだ。
ただ座って待つか、イノウエのように積極的に活動して『誰であろうといい。アメリカでも、日本でも、サウジアラビアでも、どこでもいいから…活動の場を広げて応戦する。次のタイトル獲得ファイターが空いたら、準備万端だ』と言うか、だ。だったら、戦わないよりは戦わせたほうがいい」
そして、「イノウエは逃げているわけじゃない」と語るデュボフ社長は「誰もが『あいつは俺を避けている』『逃げている』と叫んで、おしゃべりをしている。だが、ああいうのは全部デタラメだ。彼らはもっと金が欲しいだけだ」とキッパリ。「彼は全員を倒している。批判されるのは不公平だよ。イノウエは最もアクティブな王者だからね。パウンド・フォー・パウンドのランキングで、平均して年間3試合以上を戦っている彼に匹敵する選手はいるか?」と説いた。
陣営からも偉才ぶりに太鼓判を押された井上。5月4日の大一番は、世界中から熱視線を向けられるだけに、その戦いぶりに注目だ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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