阪神・中川 敬愛する朝倉未来復活の地でプロ初スタメン初安打!試合前に朝倉入場シーン見て東京ドーム入り
2025年5月7日(水)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神7—1巨人(2025年5月6日 東京D)
阪神・中川がプロ6打席目で待望の初安打を放った。5回1死からの第3打席。2番手左腕・石川のスクリューを三塁線へはじき返した。一塁へ懸命に走り、無我夢中でヘッドスライディング。ベンチに向かって拳を突き上げた。本職は捕手ながら左翼の守備では2度の好捕。先発が左投手の井上とあって、打撃低調の前川に代わって巡ってきたプロ初先発のチャンスを生かした。
「結果を出さないと(1軍に)残れない。必死にいこうと。記念球は親に渡したい」
中川の打撃センスは、誰もが認めている。同じ右打者の森下が「あの身長でもパンチがある」と舌を巻くほど。チーム内だけではない。日米通算250セーブを挙げたオリックス・平野とグラウンド上で初対面した際には、開口一番「バッティング本当にいいよね。見ているよ」と称えられた。しかし、当の本人は打撃に自信を持てていなかった。
「状態が悪くなると消極的になって球を見てしまったり。自分のスイングができなかったりしていた」
そんな弱気な自分に別れを告げることができた。「負けたら一週間ぐらい落ち込みます」と話すほど格闘家・朝倉未来の大ファン。敬愛するファイターの「自分が強くなっている思い込みは、勘違いでもその人を強くする」という言葉を知り、感銘を受けた。
「打席には“俺は強い”と思って入らないと。自分と戦っている場合じゃない。初球から相手を食うぐらいでいこう!」
プロ初ヒットは、その初球を思い切り引っ張って生まれた。くしくも、東京ドームは4日に朝倉が「RIZIN男祭り」で736日ぶり白星を挙げた地。当日はペイパービューを購入して勇姿を見届け、この日は朝倉の入場シーンをもう一度見直してから試合に入った。「未来さんと同じ舞台で打てた。本当にうれしい」。若虎の強気な笑顔が敵地に広がった。(松本 航亮)
◇中川 勇斗(なかがわ・はやと)2004年(平16)1月27日生まれ、愛知県出身の21歳。京都国際では3年の春夏連続で甲子園出場し、夏は4強。21年ドラフト7位で阪神入団。今季4月30日の中日戦(バンテリンドーム)7回に代打で1軍デビューした。1メートル72、75キロ。右投げ右打ち。