頼れる先輩のバットを“力”に…燕の快足27歳、直近4試合で打率は「4割超え」打撃向上で飛躍へ
2025年5月9日(金)11時0分 ココカラネクスト

岩田が打撃でチームに貢献する(C)産経新聞社
限られた試合数の中で、ヤクルトの4年目・岩田幸宏が着実に結果を残している。
2021年の育成1位指名でヤクルトに入団した岩田は、快足が持ち味の27歳。昨季の開幕直後に支配下登録され、81試合に出場し、打率.228、1本塁打、7打点の成績を残した。今季は打撃向上を目指し、1軍で飛躍のシーズンにしたい。
【動画】育成から這い上がった男 岩田幸宏のプロ初安打シーン
「自分の役割というものがあると思うので、守備であったり走塁であったり、できることをしていれば、いつかチャンスは来る」
チームは主力に負傷者が続出している。だが、岩田にとってそれは大きなチャンスだ。ここまで20試合の出場だが、打率は.323、スタメン出場した直近4試合ですべて安打を放ち、打率.429とバットでアピールしている。
5月7日の広島戦(神宮)では左前適時打に加え、持ち味の足を生かして遊撃への内野安打で出塁。マルチ安打をマークした。
試合後「チャンスだと思って頑張るだけです。状況であったり、いろいろ整理しながら、自分に何ができるかというのを考えながらやっています」と、自分の役割を意識し、チームの勝利に貢献したいという思いを口にした。
そんな独立リーグ出身の27歳は、必死で牙を研いできた。試合前の練習から入念に準備を進める。ティー打撃で使用しているのは、チームメイトであり、先輩である西川遥輝からもらったバットだ。
プロ15年目33歳の西川が試合で使用しているバットは「長くて重たい」と話し、「ティー(打撃)で使って、スイングスピードや力がつけられれば」と、練習で使用して試合に備えている。
昨季終了後、オフに西川と自主トレを共にした岩田は「遥輝さんは何かあれば言ってきてくれる。僕から聞くこともある。話しやすいし、いろんな面でお世話になっています。気づいたらパッと言ってくれる」と、西川を頼れる先輩と慕っている。
西川も「チームなので、助け合いだと思っている。みんな活躍するのが一番いいと思う」と、岩田は同じ外野の“ライバル”でもあるが、助言を惜しまない。
先輩のバットを“力”に変え、岩田には巡って来たチャンスを一緒につかみたい仲間もいる。同じ独立リーグの信濃グランセローズ出身で、共に育成から這い上がって来た赤羽由紘だ。
岩田は3つ歳下の赤羽について「一緒のところからプロに入って、立場、状況が同じで、今も同じように1軍にいられてる。負けたくないという思いはありますけど、一緒に頑張れたらな」と、切磋琢磨しながら、共にチームの主軸として活躍する姿を思い描いているようだった。
「もう少しチャンスを広げたり、つくれたり、ものにできたり、そういうバッティングができたらと思います」
苦しいチーム状況の中、打撃でチームに貢献するために、課題にも全力で取り組む姿勢がある。背番号「64」は懸命にバットを振り続ける。
[文:別府勉]