「もし3度目の対戦があるならば…」井岡一翔、判定負けも試合内容を評価する声「年間最高試合候補にふさわしいものだった」
2025年5月14日(水)5時30分 ココカラネクスト

井岡が王座奪還を逃したものの、試合内用について高い評価を得ている(C)産経新聞社
5月11日、東京・大田区総合体育館で行われたプロボクシングWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチは、前王者で同級6位の井岡一翔(志成)が王者のフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)に12回判定(0-3)で敗れ、王座返り咲きはならなかった。だが、10か月ぶりの両者による再戦は最後まで激しい攻防が繰り広げられ、試合内容には高い評価が送られている。
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ラウンドごとにヒートアップしていったこの一戦では、終盤に大きなヤマ場が訪れた。試合開始からマルティネスのパンチを浴び劣勢と思われていた井岡が、王者からダウンを奪った場面だ。10ラウンド、接近戦での打ち合いから井岡の左フックが立て続けに相手の顔面をとらえると、マルティネスが腰から崩れダウン。この試合、唯一となるダウンカウントが数えられると、一気に勝負の行方は分からなくなった。
残りの2ラウンドでも、ともに試合を決めるべく最後の力を込めた壮絶な打撃戦が展開された末、判定でマルティネスが勝ち名乗りを受けた。井岡は執念を見せたものの再び敗れ、勝敗を決したジャッジも一方的なものに。しかし、両者のファイトには海外からも最大級の賛辞が贈られている。
米ボクシングサイト『BOXING247』がこの一戦をレポート。「アルゼンチンの戦士マルティネスは、昨年7月の初対決と同様に、今回も日本のスターであるカズト・イオカに判定勝ちを収めた。ただし今回は、“プーマ”ことマルティネスがダウンを奪われながらの勝利だった」などと報じている。
開始直後より打ち合いとなった展開に、「試合は序盤からアクションの連続だった。マルティネスは今回もハイペースでプレスをかけ、イオカは巧みなボディ攻撃で応戦した」と説きながら、試合前半を振り返り「フルラウンドまで持たないのではないかという空気もあった」などと綴っている。
また、相手の攻撃に耐える時間も多かった井岡の戦いぶりについては、「ストップ寸前かと思わせる場面もあったが、イオカは誇りをかけて見事なカウンターを返し、試合は続いた」と回想する。
さらに、10回のダウンシーンでは、「予想外にもイオカがマルティネスからダウンを奪った」と評している他、最終盤の攻防も、「ラストラウンドは、まさに全力のぶつかり合いだった」と伝えている。
同メディアは、この試合について改めて振り返り、「マルティネスはこれでイオカに対して2戦2勝となったが、もし3度目の対戦があるならば、ファンは確実に観戦するだろう。今日の素晴らしい一戦は、年間最高試合候補にふさわしいものだった」などと総括。激闘を演じた両者を称えている。
昨年7月の対戦から、年末の再戦が予定されていた中でのマルティネスのインフルエンザ感染による試合中止を経て、再び相まみえた両者の一戦。前回以上に白熱する内容となったことはもちろん、まさに多くのボクシングファンの胸に刻まれる名勝負が繰り広げられた。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]