「ゼロから見直すべき」 角界の「令和の怪物」を蘇らせた横綱のアドバイス

2025年5月17日(土)5時0分 スポーツ報知

伯桜鵬(奥)が寄り切りで宇良を破る(カメラ・安藤 篤志)

◆大相撲 ▽夏場所第6日(16日、東京・両国国技館)

 東前頭7枚目・伯桜鵬が、幕内では自己最長となる無傷の6連勝とした。新入幕だった23年名古屋場所でいきなり優勝争い。一世を風びした「令和の怪物」が、けがでの幕下転落や部屋の転籍を経験し、さらに成長した姿を帰ってきた幕内の舞台で見せている。横綱・豊昇龍は東前頭3枚目・玉鷲を押し出し。綱取りの大関・大の里は西前頭2枚目・豪ノ山を押し出して6連勝とし、全勝は大の里と伯桜鵬の2人となった。

 伯桜鵬の速攻に館内がどよめいた。業師・宇良との一番は、立ち合いから互いに胸を合わせた左四つ。我慢しながら頭をつけて密着し、嫌がった相手の引きに乗じて一気に寄り切った。「立ち合いは良くなかったが、土俵際を丁寧にいけた」と冷静に振り返った。自己最長となる初日から6連勝で、平幕で唯一の無傷。「その日の準備を全力でできている。その結果が今の結果。明日も集中していきたい」と気を引き締めた。

 横綱の金言で進化を遂げた。史上初の所要1場所で十両昇進を果たすなどし「令和の怪物」と呼ばれたホープも、昨年はけがに苦しみ多くの時間を十両で過ごした。昨年4月には師匠の宮城野親方(元横綱・白鵬)とともに伊勢ケ浜部屋への転籍も経験。転籍先の部屋付き、照ノ富士親方(元横綱)から「稽古量をこなして、体の鍛え方や考え方をゼロから見直して鍛えていくべき」と助言を受け、基礎から見つめ直した。1日10番が限界だった稽古量も、けがの回復に伴い30番以上をこすように。「苦しかったが、相撲力や体の軸が安定してきた。全てがパワーアップしている。信じてやってきて良かった」と手応えを口にする。同親方も「立ち合いでの馬力も増してきている」と成長を認め、年内の三役昇進にも「頑張り次第であるのではないか」と期待を寄せた。

 上位陣との対戦を夢見る。八角理事長(元横綱・北勝海)も「力強い。腹から力が出ている感じがある。新入幕だった頃よりいい」と、21歳の成長に目を見張った。伯桜鵬は場所前から「上位の人たちとやりたい」と対戦を熱望。さらに白星を伸ばせば、取組が組まれる可能性もある。春場所後には地元の鳥取・倉吉市に帰郷。しこ名の由来にもなった満開の桜を見たといい、「やっぱり土俵上で桜を咲かせたいという思いがある」と気持ちを新たにした。再び輝きを放ち始めた「令和の怪物」が、初夏の両国で満開の桜を咲かせる。(大西 健太)

 ◆新入幕後の伯桜鵬 新入幕だった23年名古屋場所でいきなり優勝争い。場所後に左肩関節亜脱臼で手術し、2場所連続で全休。24年初場所に幕下復帰し、翌春場所に再十両。4月には宮城野部屋から伊勢ケ浜部屋に転籍。再十両後も肩のけがなどに苦しみながら、25年初場所再入幕。初場所で10勝、春場所で9勝と勝ち越し、今場所は自己最高位の東前頭7枚目に番付を上げた。

 ◆伯桜鵬 哲也(はくおうほう・てつや)本名・落合哲也。2003年8月22日、鳥取・倉吉市生まれ。23年初場所で初土俵、史上初の所要1場所で十両昇進。故郷の旧地名から「伯」、小学校時代に出場した相撲大会「桜ずもう」から「桜」、師匠・白鵬から「鵬」をもらい、しこ名に。181センチ、162キロ。

スポーツ報知

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