巨人・吉川 1号が逆転V弾!連敗4で止める大仕事3ラン 勝ち越された後の8回初球打ちに阿部監督も脱帽
2025年5月17日(土)5時30分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 巨人4—2中日(2025年5月16日 東京D)
巨人・吉川尚輝内野手(30)の一振りがチームを救った。16日の中日戦で1—2の8回2死から、逆転決勝となる起死回生の1号3ランを放った。勝率5割の4位転落となり、戻ってきた仕切り直しとなる本拠地での一戦で、今季最長だった連敗を4で止めた。4番・岡本和真内野手(28)の離脱後、漂う重たい空気を盟友が振り払い、1日で貯金1に浮上した。
こみ上げる思いを必死でこらえた。お立ち台に上がった吉川は、言葉に詰まる。「連敗中で、とても苦しい状況でしたし、僕もなかなかいい場面で打てないこともあったので…」。10秒間の沈黙。深く帽子をかぶり直すと、大歓声にうなずくのがやっとだった。
「何とかしたい」。その強い思いが、重い雰囲気を振り払った。1点を勝ち越された直後の8回2死一、二塁。4番手・斎藤の初球だった。肩口から入ってくる125キロスライダーに反応し、右翼席へ逆転3ラン。4連敗中と苦しい中で、頼みの大勢までまさかの失点。漂った重たい空気を一変させた。阿部監督が「あれは尚輝しか打てないんじゃないかな」と脱帽した厳しい一球。立役者は「覚えてない」と振り返るほど無我夢中だった。
主砲の分まで引っ張った。最高の場面での今季1号だ。中軸を担うが自ら「ホームランバッターではない」という。試合前のフリー打撃では、中堅から左方向への打球をひたすら繰り返す。開幕から岡本と3、4番を組み「和真につなげばいい」とチーム打撃に徹していた。強引になることがなく、亀井打撃コーチも「練習もほとんど逆方向。がっつかなくなったし、それをやると崩れると分かっている」と目を細めていた。不動の4番の離脱に「全員でカバーするしかない」と語っていた男が、ここぞの場面で強振した。
勝利が何よりの良薬だ。岡本が6日に負傷し、離脱後は試合前時点で7試合で2勝5敗。翌日から2試合は第92代4番に座ったが無安打だった。前日の広島戦では好機で2度凡退し「(力みも)多少あった」と責任を背負った。一発で連敗を止め「勝てて良かった」と安堵(あんど)。「今日1つ勝てたので明日も連勝できるように。チーム一丸となって頑張ります」。一振りでチームを救った背番号2が、先頭に立ち続ける。(小野寺 大)
≪逆転弾3本全てドラマ≫吉川(巨)の逆転弾は20年開幕戦の6月19日阪神戦(東京D)、22年4月6日広島戦(マツダ)に次ぎ3本目。全てシーズン1号&決勝弾で、本拠地では5年ぶりとなった。