大宮アルディージャがレッドブルに買収されて変わったこと、社長が明かす「半端じゃない徹底ぶり」とは
2025年5月20日(火)10時0分 読売新聞
大宮サポーター(2月15日、NACK5スタジアム大宮で)
J2・RB大宮アルディージャの原博実社長が、読売新聞ポッドキャスト「ピッチサイド 日本サッカーここだけの話」に出演した。大宮は昨年、国際的な飲料メーカー「レッドブル」に買収された。レッドブル以後のアルディージャについて、番組MCで元日本代表の槙野智章さんが直撃した。
買収後、好スタート
昨年J3で優勝した大宮は、レッドブルに買収されることを発表した。今季は19日現在、J2で2位に位置している。
レッドブルグループのサッカークラブは、RBライプチヒ(ドイツ)、レッドブル・ザルツブルク(オーストリア)、ニューヨーク・レッドブルズ(アメリカ)など。レッドブルに経営権が移り、クラブに起きた変化は?
「去年までとは雰囲気が変わってきた。スタジアムは平均1万人を超えてます。開幕戦では(元リバプール監督で、レッドブルグローバルサッカー部門責任者の)ユルゲン・クロップさんが来てくれた。チームカラーもネイビーが主体になって、雰囲気は随分と変わった。それにレッドブルグループは(サポーターへの)見せ方とか、盛り上げ方とか、やっぱり上手なんで、相乗効果で勢いは増してると感じます」
「アジアでは日本人選手が突出していい選手が多いから、大宮になったって聞いてる。いい関係でスタートできてると思います」
レッドブル流のスピード感
サポーターにとってはクラブの買収によって、それまで積み上げてきた伝統や文化がないがしろにされるのではないかという不安もあった。レッドブル側にとっても、そういったサポーターとの余計な「摩擦」はプラスにはならない。
「(レッドブルは)クラブを買収して、うまくいったこともあればうまくいかなかった経験もある。だから、クラブの特徴や文化を大事にしたいという思いがすごくある。大宮がどういう街で、どういう育成や施設があるか、それをまず知りたいという感じで、こまめに来日している。一緒にやっていく仲間だという感じがある」
「決断が早いですよ。レッドブルグループとして迷ったらやってみようみたいなビジョンがあるので、チャレンジするマインドがある」
「監督してた方が楽」
選手育成でもレッドブルグループのノウハウがチームにもたらされている。
「レッドブルのアナリストが、この部分はトップだけど、ここは改善できるとかデータを示してくる。授業を受けてるみたい。ライプチヒやザルツブルクなどのチームに属さない試合分析のアナリストが分析している。(選手の動きを記録する)GPSみたいなのも去年新しく変えたんだけど、(レッドブルグループと)同じのを使うから全部また買い替えた」
シーズン開幕前の選手のデータ収集も、グループの専門家が機材とともに来日して測定したという。それをトップチームからアカデミーまで行ったという。
「徹底ぶりが半端じゃない。特に出場しなかった選手のコンディションを上げておくとか、次の試合に向けての準備をやるように言われる」
新しくなった大宮の社長として、原さんは日々奮闘している。
「監督してた方が楽。こういう立場って、ちょっとやって『はい、やめた』というわけにいかない。現場で監督やってる方が楽かもしれない」
プロフィル
原博実(はら・ひろみ)
RB大宮アルディージャ社長。元日本代表FW。早稲田大学卒業後、三菱重工に入社。同社サッカー部(現・浦和レッズ)でプレー。国際Aマッチ37ゴールは本田圭佑さんと並んで日本歴代4位。指導者としては浦和レッズ、FC東京で監督。日本サッカー協会技術委員長だった2010年には、日本代表の監督代行として2試合限定で指揮を執った。1958年生まれ、栃木県出身。