【箱根への道】関東インカレで台頭した青学大・安島莉玖、黒田然ら新戦力に原監督が期待「今季は主力になる」

2025年5月23日(金)6時0分 スポーツ報知

関東学生対抗選手権の男子2部1万メートルに出場した青学大・黒田然(左)と安島莉玖

 関東の学生長距離ランナーにとって箱根駅伝と並ぶビッグイベントの関東学生陸上競技対校選手権(通称・関東インカレ)が8〜11日、相模原市の相模原ギオンスタジアムなどで行われた。今年1月の第101回箱根駅伝で連覇した青学大は安島(あんじま)莉玖、黒田然(ぜん、ともに2年)ら新戦力が台頭。同7位の創価大は1、2部を通じて最多得点を記録した。この2校に箱根2位の駒大、同3位の国学院大、同4位の早大、同5位の中大が今季も駅伝シーズンの中心となりそうだ。

 関東の大学長距離界では「関東インカレを制する者が箱根を制する」という格言がある。駅伝シーズンを占うレースで王者の青学大が強さを見せつけた。

 2部1万メートルで安島が28分19秒81で日本人トップの4位。日本人2位の5位に黒田然が28分24秒38で続いた。大阪マラソン(2月)で2時間6分5秒の日本学生新記録をマークした青学大のエースで主将の黒田朝日(4年)は関東インカレを回避した中で、昨季、学生3大駅伝で出番がなかった新戦力がライバル校の主力に競り勝った。「関東インカレで戦える選手は駅伝でも戦える。今季は主力になる」と原晋監督(58)は期待を込めて話した。

 自己ベストを約37秒も更新した安島は「100%の力を出すことができた」とうれし涙を流した。朝日の弟の然は「今季は兄と一緒に箱根を走って優勝に貢献します」と力強く話した。

 箱根Vメンバーは安定した力を発揮。2年連続8区区間賞の塩出翔太(4年)はハーフマラソンで6位、10区区間賞の小河原陽琉(ひかる、2年)は1500メートルで2位。駒大、国学院大など強豪がそろう2部で日本人選手の最多得点。昨季の箱根4区区間賞の太田蒼生(あおい)、5区区間新の若林宏樹、6区区間新の野村昭夢ら強力な世代が卒業したが、今季も戦力は充実している。

 3連覇がかかる第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)に向けて原監督は「駒大が優勝候補筆頭でしょう。国学院大、中大、早大、創価大も強い」とライバルの力を認める一方で「青学大も優勝のチャンスは十分にあります」と自信をのぞかせる。5月、確かな手応えを得た。鍛錬の夏を経て、勝負の駅伝シーズンに向かう。(竹内 達朗)

 ◆速さより強さ 着順勝負の対校戦

 関東インカレは1919年に第1回が行われ、今年が第104回。1920年に始まり、今年1月に第101回が行われた箱根駅伝より歴史は長い。例年5月に開催され、各種目1位8点、2位7点…8位1点が与えられ、対校戦で得点を競う。男子は16校の1部、それ以外の2部、大学院の3部に分けられる。1部と2部は短距離などを含めた総合力で決まるため、昨季の箱根上位3校の青学大、駒大、国学院大など駅伝をメーンに強化している大学は2部。長距離種目においては1部と2部の実力差はない。

 記録会と異なり、着順を争うため駆け引きがあり、ペースは変化する。「速さ」より「強さ」が求められる。大東大を4回の箱根優勝に導いた青葉昌幸(よしゆき)元監督(82)は関東インカレで入賞した選手を、そのシーズンの箱根メンバーに内定したという逸話が残る。

 ◆創価大W留学生圧倒青学大超え最多46点

 創価大はスティーブン・ムチーニ(3年)が2部5000メートル、1万メートルで2冠。ソロモン・ムトゥク(2年)が3000メートル障害で優勝。2人の留学生が24点を稼ぎ、1、2部を通じて最多の46点を獲得した。

 日本人選手も活躍。ハーフマラソンで野沢悠真(4年)が2位、山口翔輝(2年)が3位と表彰台に上がった。箱根で1年5区13位、2年4区15位、3年4区6位と3年連続で往路を担った野沢は最後の箱根路に向けて「2、4、5区、どこでも走る準備をしています」と頼もしい。大会運営によるコース誘導ミスで距離が400メートル短くなるアクシデントが発生したが、野沢は「おかしいと思いましたが、レースに集中した」。この冷静さも不確定要素が多い駅伝では強みになる。

 21年箱根は優勝に近づきながら2位惜敗。再度、頂点を目指す力を持っている。

スポーツ報知

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