【リーグワン】入れ替え戦でレアな兄弟GM対決 2部2位花園と1部11位三重が24日激突
2025年5月23日(金)15時13分 スポーツニッポン
ラグビーリーグワンの1部と2部の入れ替え戦第1戦が24日に各地で行われる。2部2位の花園は1部11位の三重と、2部1位の愛知は1部12位の浦安と激突。入れ替え戦はホスト&ビジターの2試合の勝ち点によって争われ、第2戦は30、31日に行われる。
2部の最終節があった5月10日。花園は愛知を38—7で下して2部2位を確定させ、1部との入れ替え戦出場を決めた。シーズン序盤は苦しみながら、怒とうの7連勝でつかんだ入れ替え戦出場の権利。試合後、安堵の笑みを浮かべた花園の前田隆介ゼネラルマネジャー(GM、50)の携帯電話に1通のLINEが届いた。
「2位おめでとう。入れ替え戦はよろしくね」
送り主は、前田隆介GMの1歳上の兄で、三重でGMを務める前田芳人さんから。すぐさま返信した。
「こちらこそ、よろしくお願いします。お手柔らかに」
兄弟がそれぞれGMを務めるチーム同士が1部と2部の入れ替え戦で戦う。極めてまれなケースだろう。運命的ともいえる巡り合わせに、前田隆介GMは「不思議な感じ」と笑った。きっと、兄も同じように複雑な心境だろう。レギュラーシーズンが深まるごとに、互いのチームの順位を気にしながら「ひょっとしたら…」という予感もあったというが、現実のものになった。2人に近い関係者からは“兄弟GM対決”とちゃかされたいう。
「兄とは昔からラグビースクールで一緒にやっていましたし、高校時代に対戦したこともあります。兄弟でラグビーをやっている日本のラガーマンたちは私たちに限らず、数試合くらいは兄弟対決というのを経験していると思います。ただ、2人ともリーグワンのチームのGMという立場になってお互いのチームが対戦するのは、ちょっと不思議な感じがしますね。私もGMとして、このタイミングでチームに戻ることは全然想定していませんでしたから」
兄は新田高、法大の出身。弟は天理高から早大に進学した。2人ともポジションはSHだった。兄は現役引退後、マネジャーやチームディレクターなどを歴任した後、18年からGMを務める。近鉄時代に5シーズンで監督を務めた弟はいったんラグビーから離れたものの、24年6月にチームに戻り、GMの要職に就いた。強化や編成などチーム運営のすべての責任者として長く重責を担ってきた兄を、弟はリスペクトしている。
「兄はラグビーにずっと携わりつつ、GMも長く経験しています。以前はマネジャーもやっていましたし、裏方としてチーム運営に長く携わってきた。縁の下の力持ちとしての役割を長きにわたってやってきているので、やはり尊敬しますよね」
22日は両チームの登録メンバー23人が発表された。花園は今季限りで退団するSHウィル・ゲニア(37)、SOクウェイド・クーパー(37)が先発に名を連ねた。元オーストラリア代表の世界的名手2人を軸にゲームを組み立て、勝機を見いだしたい。ホームで迎える第1戦は絶対に落とせない。前田隆介GMは言葉に力を込めた。
「ゲニアとクーパーがしっかりゲームをつくってくれる。もちろん、2人だけでなく、他の選手も彼らと連動して準備してきたラグビーを出してくれれば。目の前で起こるシチュエーションにチームとして共鳴できれば、良い方向に向かうんじゃないかなと思います。試合中、私は何もできないので、選手がやってくれると信じるしかないですね」
兄か弟か、第1戦の軍配はどちらに?24日午後2時30分、東大阪市花園ラグビー場で運命のキックオフを迎える。