DeNA・蝦名が涙のお立ち台 35歳の若さで急逝、天国の兄に贈った3安打&好守「兄の分まで」
2025年5月23日(金)5時30分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ DeNA4−0中日(2025年5月22日 横浜)
亡き兄への思いがプレーに宿った。DeNA・蝦名が「6番・右翼」で先発出場。打って、守って、走って、石田裕の1安打完封勝利を援護し、チームには8カード負け越しなしを呼び込んだ。
その石田裕と上がったお立ち台。目を潤ませ、思わず声を詰まらせた。「先日、兄貴を亡くしてしまって…。突然だったので。兄の分までやらなきゃいけないと思っているので、思い切ってやりました」。11日に8歳年上の兄が、35歳の若さで急逝。出場選手登録は抹消せず、故郷・青森に駆けつけて悲しい別れをしてきた。そして5日の中日戦以来、兄の他界後初のスタメン出場で、あふれる思いを胸に躍動した。
1点を先制した初回2死一、二塁で、左前適時打するなど4打数3安打1打点。守っては2回に大飛球を右翼フェンスに激突しながら好捕し、4回も右中間のライナーをダイビングキャッチした。6回は二塁走者として好判断で3点目のホームイン。「喜んでもらえてると思う」。天国へ届けるプレーだった。
3人兄姉の末っ子の蝦名にとって、母校・青森商の野球部の先輩でもある兄は「野球をやる原点だった」という。子供の頃、キャッチボールして、兄の試合を見て、プレーをまねた。プロ入り後、時間があれば横浜スタジアムに来て応援してくれた。登場曲は、兄が好きだったEXILEの「Yell」。蝦名は力強く言った。
「これを続けることが大事。まだレギュラーにはなれていないので。兄もそれを期待している」。兄への思いを胸に、レギュラーの座に挑み続ける。(秋村 誠人)