大の里が史上最速13場所での横綱昇進確実 自己最長13連勝で「こんなに早く優勝するとは」 琴桜との大関対決制し2場所連続V

2025年5月24日(土)5時0分 スポーツ報知

大相撲夏場所13日目、琴桜を寄り切りで破り優勝を決めた大の里(カメラ・池内 雅彦)

◆大相撲 ▽夏場所13日目(23日、東京・両国国技館)

 大関・大の里(24)=二所ノ関=が2場所連続、4度目の優勝を決め、横綱昇進を確実にした。大関・琴桜(27)=佐渡ケ嶽=を寄り切り、自己最長を更新する無傷の13連勝。2023年夏場所の幕下10枚目格付け出し初土俵から、所要13場所での昇進は最速となる。日本出身としては、17年初場所後に昇進した師匠でもある横綱・稀勢の里(現二所ノ関親方)以来。名古屋場所(7月13日初日・IGアリーナ)は豊昇龍と2横綱で迎える。

 乾いた唇を舌で湿らせると大の里は、勝ち名乗りを受けながら大きく息を吐いた。2場所連続4度目の優勝で、第75代横綱の座を手中に収めた。「素直にうれしい」。表情は緩めなかったが、喜びが口をついて出た。「こんなに早く優勝するとは予想していなかった」。初の綱取りの重圧をはねのけ13日目での賜杯。初土俵からまだ2年、所要13場所での最速昇進を確実にした。

 大関対決で“横綱”の強さを見せつけた。立ち合いで踏み込めず突き放されるが、素早く反応して前進。右を差すと左おっつけで一気に琴桜を寄り切った。「(勝てば優勝は)頭に入っていたが、全体的に落ち着いていた」。13戦全勝という数字に、持ち味の馬力を生かした文句なしの内容。八角理事長(元横綱・北勝海)も「これはすごいわ」と驚嘆した。

 日体大ではアマチュア横綱を含め13冠に輝き、二所ノ関部屋に入門。将来の横綱候補と言われたが、本人が「1回もない」と否定するように、横綱への思いを口にしたことはない。「(横綱と)言わないのは、やるべきことがたくさんあるから。まずは目の前のことをやらないといけない」。エリートと見られるが、父・中村知幸さん(49)いわく「雑草」。大の里も「小中高と結果を残せず、大学ではちょこっと成績を残しただけ」。大器は謙虚に、足元を見つめながら、出世街道をひた走ってきた。

 現状に甘えることなく、常にアップデートしてきた。昨年夏場所は、得意の右差しで初優勝。相手に対策を練られると「ワンパターンではいけない」と左おっつけを磨き、同秋場所で2度目の優勝を飾った。大関昇進後、2場所連続で優勝争いに絡めずにいると師匠・二所ノ関親方から「もう(稽古の)貯金はないぞ!」と活を入れられ、相撲を取る稽古を増やして馬力を復活させた。三役経験のある現役力士が「アマ相撲の癖で立ち合いに隙があったが消えた。手がつけられない」と脱帽するほど圧倒的な強さを身につけた。

 ここで気は緩めない。「まだ終わっていない。残り2日を終えていい報告が聞けたらいい」。目指すのは12年秋場所の日馬富士以来となる全勝での横綱昇進だ。「全勝優勝をやってみたい」。大関昇進伝達式の口上で用いたのは「唯一無二の力士」。最高の形で夏場所を締め、24歳の逸材は大横綱への道を歩んでいく。(山田 豊)

 ◆大の里 泰輝(おおのさと・だいき)本名は中村泰輝。2000年6月7日、石川・津幡町生まれ。24歳。小1から相撲を始め、新潟・能生(のう)中、同・海洋高を経て日体大。2年連続のアマチュア横綱に輝いた。二所ノ関部屋に入門し、一昨年夏場所で幕下10枚目格付け出しでデビュー。昨年夏場所で最速となる初土俵から所要7場所でのV。秋場所後には昭和以降で最速となる所要9場所で大関昇進。得意は突き、押し、右四つ、寄り。192センチ、191キロ。家族は両親と妹。

 ◆大の里の主な記録(横綱に昇進したときの記録も含む)

 ▽13日目の優勝 2015年初場所の横綱・白鵬以来。日本出身では96年秋場所の同・貴乃花以来。

 ▽初土俵からスピード横綱昇進 所要13場所の今場所後に横綱へ昇進すれば昭和以降では羽黒山、照国の初土俵から所要16場所を抜く。年6場所制となった58年以降での横綱昇進は輪島の初土俵から所要21場所を上回る。

 ▽新入幕からスピード横綱昇進 58年以降では大鵬の11場所を抜く所要9場所。

 ▽石川出身の横綱 73年夏場所後の輪島以来。

 ▽初土俵から全場所勝ち越し 横綱昇進は58年以降初。

 ▽大卒での横綱昇進 日大の輪島以来2人目。

 ▽二所ノ関部屋 元横綱・稀勢の里の現師匠が21年8月に荒磯部屋(同年12月に現部屋名に改称)を創設後初。

 ▽現役最多V 4度の優勝は現役最多。

スポーツ報知

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