マリンスタジアム移転、野球場以外に「ホテルやエンタメ施設の機能も」…幕張豊砂駅から徒歩6分に
2025年5月24日(土)9時0分 読売新聞
ZOZOマリンスタジアム(21日、千葉市美浜区で)
千葉市は22日、プロ野球・千葉ロッテマリーンズの本拠地「ZOZOマリンスタジアム」(千葉市美浜区)を約1キロ北にある幕張メッセの駐車場に移転する方針を正式に発表した。野球場以外の機能も備えた、日常的に楽しめるスタジアムに建て替え、幕張新都心をさらに発展させる起爆剤にしたい考えだ。(柴田洋希)
誰もが使いやすく
市が公表したスタジアム再整備の基本構想案の骨子によると、新スタジアムは幕張メッセの駐車場16・8ヘクタールのうち、北側の11ヘクタールに建設する。現在と同じ屋外型で、観客の収容人数を約1割増やして3万3000人程度とする。開業予定は2034年だ。
観客席の一部に屋根を設置し、試合を見ながら場内を一周できるコンコースを設ける。誰もが使いやすい施設を目指して車いす席やベビー休憩室も充実させる。
現スタジアムは1990年に完成した。東京湾からの塩害もあって雨漏りや腐食など劣化が進んでいた。
まちづくりの拠点
市が幕張メッセの駐車場への移転を決めたのは、現在地で建て替えるよりも幕張新都心全体の活性化につながると判断したためだ。
移転に伴い、最寄り駅はJR京葉線の海浜幕張駅から幕張豊砂駅に変わる。最寄り駅からの所要時間は徒歩6分で、現在より約10分短くなり利便性が向上する。同駅周辺に立地するショッピングモールや大型スーパーマーケットと連携し、若い世代を豊砂地区に呼び込む狙いもある。
市は新スタジアムを「新たなまちづくりの拠点」と位置付け、あらゆる人が日常的に訪れる場所を目指す。野球場やイベント会場の機能だけでなく、民間企業から投資を募り、ホテルや広場、エンターテインメント施設としての機能も持たせる方向で検討する。
渋滞懸念も
市によると、スタジアムの概算事業費は約600億円、周辺インフラ整備費を含めて約650億円。市が23年7月に公表したスタジアムの概算事業費の試算では256億〜312億円だったが、約2倍に膨らんだ。市幹部は「建設費が想像以上に高騰している」と説明。千葉ロッテを含む民間企業から費用を調達して市の負担軽減を図るという。
市はドーム型球場も検討したが、事業費が最大で800億〜1000億円になると見込まれるうえ、近隣の幕張メッセも屋内施設であることから、差別化を図るために屋外型を選択した。
懸念されるのが交通渋滞だ。豊砂地区の商業施設周辺は土日を中心に混雑しており、新施設ができると渋滞が悪化する恐れがある。
市は公共交通機関の利用を促すため、新施設の一般駐車場を最小限にする。歩車分離を図るための周遊デッキの整備や、多方面へのバス輸送なども検討する。
神谷俊一市長は22日の定例記者会見で、「新しいスタジアムを中心に多くの交流を生み出し、幕張新都心の活力を最大限に引き出していく」と述べた。
ロッテの高坂俊介・球団社長は「市と連携し、魅力的なスタジアムづくりを通して地域の未来に貢献できるよう協議・検討を重ねる」とコメントした。