大物続々出場!?WBC出場に歓喜のパイレーツ右腕スキーンズがもたらす米国代表への好影響
2025年5月26日(月)8時0分 スポーツニッポン
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の出場にこれほど情熱的な米国人選手は珍しく、特に投手となるとほとんど初めてではないか。5月13日、パイレーツのポール・スキーンズ投手はMLBネットワークの番組内で来春のWBC出場を表明。その後、メッツ戦のために訪れたシティー・フィールドでメディア対応した際の表情は終始輝いていた。
「特別なことだ。これほど大きな舞台はない。12歳の時と、カレッジの代表チームでプレーしたが、今回は最高の選手たち同士の対戦だ。これ以上に素晴らしい米国代表チームは他にない」
23年ドラフトの全体1位でパイレーツ入団。昨季は11勝3敗、防御率1.96で新人王に選ばれ、早くも「球界のエース」となった。高校時代は空軍士官学校に通ったという背景もあり、もともと「USA」を背負うことへの情熱は大きかったのだろう。
「(出場オファーがあったのは)3週間前、クリーブランドでの先発の準備をしているときだ。(デローサ監督から)電話があって、イエスといった。何年も前から、WBCのことを知った時から出場を決めていた」
ヤングエースがこれほどの熱意でWBC参加にコミットしたことは、来春に向けたチームづくりにも好影響を及ぼすのではないか。
米国でのWBCの地位は徐々に上がり、2023年の前大会では打線には豪華メンバーがそろっていた。選手たちの中には「WBCはオープン戦よりも遥かにエキサイティングで楽しい」という共通認識が生まれた様子。2026年の第6回大会を前にすでにヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手のキャプテン就任も決まり、少なくとも野手に関しては次回もスーパースター軍団となることだろう。
一方、課題は常に投手陣の整備だ。「先発ピッチャーにはかなり大きな負担がかかる」というジャイアンツのジャスティン・バーランダー投手の言葉通り、3月半ばという早い時期に緊張感にあふれたプレーをすることには大きなリスクが伴う。2023年もマイルズ・マイコラス、メリル・ケリーらが中心となった先発陣は、お世辞にも最高レベルには見えなかった。そんな背景があるからこそ、スキーンズ出場の意味は大きいのだろう。
米国投手陣には1本の大きな柱が生まれ、相乗効果にも期待がかかる。今後、他の選手をリクルートする可能性を問われ、スキーンズは「優勝を勝ち取るためにやるべきことは何でもやる」と明言。同時に、気になる言葉も付け加えていた。
「私は参加するし、(調整に関しては)全く心配していない。そして、私が聞いたところによると、他の投手も参加するようだ」
スキーンズが特筆するくらいだから、彼が耳にしたという「他の投手」とはエース格のピッチャーなのだろう。タイガースのタリク・スクバル、フィリーズのザック・ウィーラー、Dバックスのコービン・バーンズ、レッズのハンター・グリーンのような大物たちが続々と出てくるとすれば…。まだ少々気の早い話だが、スキーンズが先頭になったムーブメントに注目しておきたい。米国がベストメンバーになれば、日本の連覇の難易度は上がる。それでも王国が真のドリームチームに近い陣容をそろえてくれるなら、ファンにとっても喜ぶべきことに違いないはずだ。(記者コラム・杉浦 大介通信員)