がん克服したドジャース・ロバーツ監督 朗希ら若手に金言「逆境に直面した時こそ、チャンス」
2025年5月28日(水)6時0分 スポーツニッポン
【教えて!ロバーツ監督】 ドジャースのデーブ・ロバーツ監督(52)の月1回の連載「教えて、ロバーツ監督」の今季第2回は、15年前に襲ったリンパ系のがん「ホジキンリンパ腫」との闘病について聞いた。また、右肩のインピンジメント症候群で負傷者リスト入りした佐々木朗希投手(23)や、30日(日本時間31日)からに迫る昨季ワールドシリーズ再戦のヤンキース3連戦についても語った。 (聞き手・奥田秀樹通信員)
——09年にジャイアンツで現役引退後、パドレスの特別補佐を務めていた10年3月にホジキンリンパ腫と診断された。リンパ系のがん(悪性リンパ腫)で、全身のリンパ組織に腫瘍を形成する。
「現役引退してからは、子供を育てて、妻と一緒に過ごしていきたいと思っていたのに…。息子は10歳で、娘は6歳。どうやってこの子たちに伝えればいいのか。そればかりが頭にあった。この知らせを聞いたとき、本当に打ちのめされた」
——2週間ごとの化学療法だけでなく、体に負担の大きい治療が必要だった。
「がんと聞けば、誰だって“死”を連想する。でも私は治療を全て受けた。化学療法も放射線治療も。そしてその間も仕事を続けた。それが自分を強くしてくれたと思う。がんを克服したことで、“これで何でも乗り越えられる”と感じるようになった。そして、人生に対する感謝の気持ちが凄く強くなった。仕事ができること、健康でいられること、野球ができること、それは本当にありがたいこと。選手たちにも理解してもらいたい」
——その経験は監督として成功する上で、大きな要因になっていると思うか?
「そう思う。特に野球はシーズンが長く、浮き沈みもある。常にポジティブに選手を支える監督がいることは、選手たちにとって大事だと思っている」
——右肩痛で離脱した佐々木も逆境に直面している。若い選手が壁にぶつかったとき、どう助言するのか?
「若い選手の多くは、これまで順調に来た選手が多い。才能があるから、野球が簡単に感じられたのではないか。でも、逆境に直面した時こそ、実は成長のチャンスなんだ。朗希もきっともっと強くなる。メジャーの打者をどう抑えるか、しっかり理解していくはず。そして、逆境を経験すると、自分の中に何があるのか、内面が試されることになる」
——大谷もエンゼルス時代の20年は逆境にいた。投打とも振るわず、米メディアは「二刀流の実験は終わった」とも決めつけた。
「逆境には自分を変え、進化させる力がある。翔平はそれを実践したんだと思う。周囲が何と言おうと、メジャーで二刀流を成功させるという強い決意を持っていた。打撃でも投球でも、体づくりや試合への準備でも、あらゆる面で調整が必要だと理解していた。実際に進化していった」
——30日(日本時間31日)からはワールドシリーズで対戦したヤンキースと3連戦が待つ。両軍の対戦はどんな意味を持つか?
「世界で一番注目される2チームが戦う、野球界で最高の舞台だと思っている。特に昨年のワールドシリーズは、私にとっても本当にワクワクするものだった。そして勝てて、とても満足している。また、倒しますよ」