中年女子、ノロウイルスにやられ、感染対策をおろそかにしたことを大後悔…。3キロ痩せてケガの功名?

2025年2月18日(火)12時0分 婦人公論.jp


ノロウイルスに感染後、病院で水分などの点滴中。両隣のベッドも感染者だった(写真提供:筆者 以下すべて)

世間から「大丈夫?」と思われがちな生涯独身、フリーランス、40代の小林久乃さんが綴る“雑”で“脱力”系のゆるーいエッセイ。「人生、少しでもサボりたい」と常々考える小林さんの体験談の数々は、読んでいるうちに心も気持ちも軽くなるかもしれません。第48回は「ノロウイルスにご用心」です。

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前回「商売繁盛一択で、毎年仕事始めにご祈祷を受ける。今年は吉方位の明治神宮にてご祈願したが、正座地獄が待っていた 」はこちら

ノロウイルス、感染


コロナ禍が落ち着いてから、1〜2年ほど経ったのだろうか。マスク、手洗い、消毒。この3セットでの感染対策を当然のように行なっていたけれど、最近はその様子も見られなくなっている。そのせいなのか、今冬はインフルエンザが大流行。年末年始をベッドで過ごした人もいるだろう。

空気が乾燥して、気温が下がる時期がまだまだ続く昨今。今度はノロウイルスが大流行しているのを知っているだろうか。不覚にも私、先日、あっさりと感染してしまい、とんでもなく苦しんでのたうちまわり、地獄を見た。おばさんには本当にキツかった。今回は読者のみなさまにもノロウイルスの脅威を知ってもらうためにも、当時苦しかったことを記録する。

改めて、寒さを感じるこの時期は3セットでの感染対策を奨励したい。ここしばらくは私もコロナ禍で張り詰めていた気が緩んで、ウイルス対策をすっかり失念。あっちで遊び、こっちで飲みとウイルスの溜まり場へ、躊躇なく足を踏み入れていた。

たらればになるけれどもし対策をしていたら、気が遠くなるような苦しさを味わうこともなかったのに……と、今でも後悔然り。

苦しさの序章


とある金曜日の夕方。まさにこの『婦人公論.jp』の編集長と、取材をどうしようかとメールでやり取りをしていた。

(……んんん? あれ、胃がムカムカする?)

突然の胃もたれがやってくる。昼に食べた蕎麦に何か入っていた? それとも今日変えた柔軟剤の匂いがキツかった? まあ少し横になれば回復するだろうと、デスクを離れてホットカーペットで横になった。

(寝れば大丈夫。だいたいなんでも回復する)

そんな想像も虚しく、胃もたれは時間経過とともに悪化。吐き気らしきもの、倦怠感、寒気(発熱はなし)がトリプルコンボで襲ってきた。これはまずい。何かが私の体内で起きている。映画『はたらく細胞』でたとえるなら、今頃体内は警報級の大騒ぎだ……と、初期段階なのでまだバカなことを考える余裕があった。どうしようもないので寝室に向かって洋服のままベッドで横になる。とはいえ、尋常ではない胃の気持ち悪さが一向におさまらず、まったく寝られない。「うう……」と唸りながら、やり過ごすだけだ。


友人がお見舞いに送ってきてくれたレトルト粥のおかげでなんとか生き延びる

夕方の発症からどっぷり日は暮れて、19時ごろになると胃の気持ち悪さに加えて、キリキリと痛む腹痛も勃発。どうやらここまでがノロウイルスの序章だったらしい。そしてほどなくしてトイレへ直行。ここから30分から1時間おきに、下痢と嘔吐の繰り返し。ムカムカするので水や胃薬を飲んでも、即座に体内から排出。

(これは……地獄の沙汰か……。最近、私は何をしたのか……)

痛みと吐き気とお尻のヒリヒリに襲われて、まともに寝られず朝を迎えた。もう途中からトイレと行き来することも面倒になり、毛布をトイレに持ち込んで寝ていた。

たまたま私は自宅で作業をしていたから良かったけれど、読者のみなさまは会社員が多いはず。突然、ノロウイルスの症状の嵐に社内、社外、通勤中などに襲われたら、ひとたまりもない。とにかく対策をしてウイルスから逃げるのだ。

薬も予防接種もなし


翌朝。症状に変化はなくノロウイルスとの一戦にKO負け状態。それでも明日は日曜、病院が休みになる前にと、近所の内科へ顔も洗わず、風呂も入らずに向かう。たった400メートルほどの距離が5キロくらいに感じた。医者は私の症状を聞き、内診を終えて、腹部に触れると一斉に喋り出した。

「あ〜、もうそれ、ノロウイルスだね。検便しなくてもビンゴだよ。すごいのよ、最近。まずとにかく菌を体内から出さなくちゃいけないから、とにかく出して。絶食。水を飲んでもいいけど結局出ちゃうから。月曜までは家から出ないでね、家族はいる? 独身? あ、じゃあ心配ないけど、そうだな水曜くらいまでは誰かと食事をしないでね。回復食もね、ほらよくポカリとかうどんとか言うじゃない。あれじゃなくて、とにかく味のしないね……」

患者が気分の悪さで朦朧としている最中、医者はまくし立てるように病名、対策を話してきた。丁寧なことはありがたいけれど、情報として確かに覚えているのは自分が「どこかに不治の病を抱えたのかもしれん」とまで考える苛烈な症状なのに、薬も予防接種もないことだった。処方してもらったのは胃薬と整腸剤のみ……。

点滴を打ってもらい、幾分か楽になった状態で帰宅。医者はいろいろ言っていたが、なんとなく欲求がわいて、inゼリーを一口飲んだ。めちゃくちゃうまかった。ただたった一袋を1日かけて飲むという程度の食欲。情けない。ちなみにこの夜から翌日までとんでもない胃痛が始まった。これが症状の終盤。


inインゼリー、ノロにかかるまでこんなにおいしいなんて知らなかったよ……

翌日は茶碗一杯ぶんの白飯を小鍋でおかゆにして、1日かけて食べた。その様子を客観視しながら、体力回復を実感。人間ってすごい。

左党卒業?


結局、4日間はほぼベッドで過ごす。お粥を見ても、食べても胃が「ムカッ」とする期間を超えて、なんとか人並みに戻る。本当につらかった。30代半ばで急性胃腸炎を起こしたときには、苦しかったけど当日の夜にはうどんを平気で食べるほど、あっさり回復していたのに……。冒頭の文章に戻るが、3セットでの感染対策をしていたら4日間も寝たきりにならなかった、と何度悔やんでも時すでに遅し。

ただ怪我の功名のようだけれど、いいこともある。体重が3キロも減った。人生最高体重を更新し続けていたので、そろそろ減量をせねばと考えていたが、良くも悪くもクラウチングスタートになったかもしれない。ついでに酒をまったく飲んでいない。365日欠かさず飲んでいたのに、まったく飲む気がなくなった。こうなって気づくのは、浮腫みがまったくなくなること、前頭葉がクリアになったのか(?)仕事の消化量が増えたこと。心なしか更年期障害の症状もおさまっている。まあ、飲み会も控えているので左党卒業は考え難いが、ひとつの意識改革になればと願わんばかり。

とはいえ、上記はあくまでもおまけ。ノロウイルスなんて字面は野呂佳代みたいでなんだか可愛いけど、実際は生活リズムを完膚なきまでに叩き壊してくる強敵だ。命に関わることだってあるのだから、流行中のこの時期はみなさま、ご注意のほど。

婦人公論.jp

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