鎌田實×荻原博子 5キロやせたら寿命が1年延びるうえ100万円トクする?荻原「年金の繰り下げ受給をするなら長生きしないとソンしてしまうので…」
2025年3月3日(月)6時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が公表する「令和3年度 医療保険に関する基礎資料」によると、1人が生涯にかかる総医療費は約2800万円(自己負担は最大3割)だったそうです。お金の不安がなく、健康なシニアライフを送るにはどうすればよいのでしょうか?今回は<健康のプロ>医師・鎌田實さんと<お金のプロ>経済ジャーナリスト・荻原博子さんによる共著『お金が貯まる健康習慣』から一部を、お二人の対談形式でお届けします。
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5キロやせたら寿命が1年延びて、100万円の得?
荻原 鎌田先生はいつ頃から長野にお住まいなのですか?
鎌田 ぼくは東京都杉並区で育ったのですが、医師になってすぐ長野県の諏訪中央病院に赴任しました。以来ずっと長野在住で、地域医療にかかわり続けています。
荻原 私は長野県の出身なんです。先生は東京に生まれて長野で働き、私は長野に生まれて東京で働いている。ちょうど逆ですね。
鎌田 そうですね、偶然です。長野は住みやすくて、いい場所です。ぼくが住んでいる茅野は蓼科という避暑地の近くなんですが、湿度が低くて暮らしやすいですよ。
荻原 うらやましいです。とくにここ数年は夏が暑いし長いし……。長野なら日中どんなに暑くても、朝晩はさわやかで気持ちがいいですよね。東京では、朝5時半なのに30度もあるんですよ! わが家の犬は散歩に行くのを嫌がるんです、犬なのに。毛皮を着ているから、暑いのも仕方がないとは思いますけどね(笑)。
1時間に3分は体を動かす
鎌田 あはは、お気の毒に。でも荻原さんはお元気そうですよね。テレビで拝見していても、いつもはつらつとしていらっしゃる。
荻原 ありがとうございます。でも私、5年ほど前にひどい腰痛に悩まされた時期があったんです。椅子から立ち上がろうとした瞬間に、腰がハンマーで殴られたみたいに痛くなって悲鳴を上げてしまいました。人生であんなに痛い思いをしたことはないっていうくらいです。
『お金が貯まる健康習慣』(著:鎌田實、荻原博子/主婦の友社)
鎌田 それは大変だ。原因は?
荻原 初期の座骨神経痛でした。座り仕事ばかりで、運動不足が原因です。私は1日8時間、忙しいときには12時間以上もパソコンに向かっているんです。仕事でなくてもパソコンで映画を見たり……。運動なんて朝晩の犬の散歩くらいだったんです。
鎌田 確かに腰に負担がかかりそうな生活ですね。1時間に3分でいいから、体を動かすようにしたほうがいいんだけどね。
「食べないダイエット」は長続きしない
荻原 おっしゃるとおりです。でも原因はもうひとつあって、体重が増えたことで腰に負担をかけているとも言われました。医者が「まずは5キロやせましょう。それだけで寿命が1年延びますよ」って。
鎌田 正解です。体重が重すぎていいことは何もない。
荻原 やはりそうなんですね。調べてみると、アメリカでは平均寿命より早く亡くなる人の5人に1人は太りすぎだそうです。それで「やせよう!」って決めたんです。
鎌田 それは立派ですね。何歳のとき?
荻原 68歳のときです。実を言えば、50代のときには鍼(はり)と断食で20キロやせた経験があるんです。でも結局、「食べないダイエット」は長続きしないんですよね。それで今回は、「夕食は夜8時までに食べ終えて、翌朝10時までは何も食べない」「食事は野菜中心にして、主食は玄米」「間食はなるべくしない」という3つを実践しました。
鎌田 いいですね。厳しい食事制限をしちゃうと、ストレスもたまるし、生きる楽しみがなくなっちゃうからね。
荻原 そうなんですよ。だから今回は少しゆるめにしてみたんです。それでもちゃんとやせたんです。
鎌田 ぼくも60代後半のときに80キロになって、72キロまで体重を落としたことがあったんです。軽い脊柱管狭窄症があって腰痛にも苦しみました。ぼくの場合、筋肉を鍛えることで改善したし、体重も落ちたんですよ。
「5キロやせたら100万円」の計算式
荻原 体調をくずすと、あらためて「健康こそ財産」「健康こそ節約」と思いますね。私はそれで『5キロ痩せたら100万円 「健康」は最高の節約』(PHP新書)という本を書いたくらいです(笑)。
鎌田 5キロやせたら100万円? それはどういう計算式なの?
荻原 国民年金は、もらう時期を1カ月先延ばしするごとに、支給額が0.7%ずつ増額されます。「繰り下げ受給」っていうんですけど、仮に65歳でもらえる年金が月額6万円だった場合、70歳からもらうと8万5200円に増えます。1年間だと約102万円になる。
でもこれは死んだらもらえません。繰り下げ受給をする場合、長生きしないと損しちゃうんです。だから、私がもし5キロやせて寿命が1年延びたら、102万円もらえる期間も延びる、ということです。「5キロやせたら100万円!」そう思ったら、ちょっとやる気が出てきました(笑)。
鎌田 そういうことか! いい考えですね。
荻原 やせたのは5キロ弱ですが、1年前と比べて健康診断の数値がすごくよくなりました。「危険水域ですよ」と言われていた血圧も、標準値に戻ったんです。
鎌田 大成功ですね。
※本稿は、『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。
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