ポールウォーキング、転倒を防ぎ姿勢良く歩く…腕を振って全身運動にも

2025年5月10日(土)19時13分 読売新聞

ポールの長さは、まっすぐ立った姿勢で肘を直角に曲げ、ポールのグリップの上に小指が乗るようにして調節する(神奈川県秦野市内で)

 新緑を眺めながら歩くのが楽しい季節になった。両手に専用ポールを持って歩く「ポールウォーキング」は、足腰に不安があるシニア世代に注目されている。姿勢良く歩くことができて、全身の筋肉を鍛えられる。基本のフォームや注意点を押さえて挑戦してみたい。(矢子奈穂)

 4月上旬、神奈川県秦野市内の公園「秦野市カルチャーパーク」で開かれた「ポールウォーキング講座」に、60〜80代の男女35人が集まった。

 普及団体「日本ポールウォーキング協会」が認定する講師の村上政司さんらの指導のもと、参加者たちは体力別に三つの班に分かれて約1・5〜3キロ・メートルを歩いた。

 7年ほど前から講座に参加する女性(84)は「ポールがあるおかげで安定してたくさん歩ける。できるだけ長く自分の足で歩き続けたい」と笑顔を見せる。

 ポールウォーキングは20年ほど前から広がった運動法だ。足腰が弱く、転倒を心配する高齢者にとっては、ポールを使うことで体のバランスが取りやすく、転倒防止にもなる。

 年を重ねて背中が曲がるなど姿勢が悪くなると、股関節の可動域が狭くなり、歩幅も小さくなっていく傾向がある。ポールがあれば、背筋を伸ばし、股関節を大きく動かして歩幅を広げて歩きやすくなる。腕を振って、肩甲骨まわりの筋肉など上半身も使うので全身運動にもなる。

 村上さんと、ポールウォーキングを考案した整形外科医の安藤邦彦さんに、ポイントを教わった。

 まずは準備から。歩きやすい運動靴を履き、動きやすい服装を選ぶ。体温が調節しやすいように重ね着にするとよい。

 専用ポールは、スポーツ用品店などで数千円程度で購入できる。各地で開かれている講座によっては貸してくれるところもある。

 ポールは伸縮タイプがほとんどなので、使用する際に自分に合う長さに調節することが必要だ。まっすぐ立った姿勢で肘を直角に曲げ、ポールのグリップの上に小指がのるようにする。

 次に基本のフォーム。あごを引き、目線は目の高さで遠くを見て、普段よりも半歩広い歩幅で歩く。前に出した足の土踏まずからかかと辺りの位置に、両手に持ったポールの先を地面に「ポン」と触れる程度に置く。

 つえのようにポールに体重をかけたり、前傾姿勢で歩いたりはしない。

 「グリップは軽く握り、おへそ辺りから足が伸びる長い足をイメージすると、正しい歩き方になる」と村上さん。

 転倒やけがを防ぐために、足の運び方にも注意したい。かかとから地面に着地した後、足の裏全体を使って体重を支えるように意識しよう。

 歩く場所は、公園内などの舗装された平らな道から始めるとよい。慣れてきたら緩やかな坂や階段にも挑戦してみよう。

 安藤さんは「自分の足で歩けることは介護予防になり、健康寿命を延ばすことができる。ポールを使わずに正しい姿勢で歩くことを目標に、気軽に挑戦してほしい」と語る。

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