母の日に考える 「親の老後」と「自分の将来」のお金の話
2025年5月11日(日)10時0分 マイナビニュース
5月の第2日曜日、母の日。感謝を伝えるために花やプレゼントを贈った方も多いのではないでしょうか。ふと母の姿を見つめながら、「この先、もし介護が必要になったらどうなるんだろう」「親の老後資金って足りているのかな」そんな思いがよぎることもあるかもしれません。親の将来と自分の将来が、重なるように感じられてくる年齢でもあります。「ありがとう」を伝えるこのタイミングは、親の老後についてそっと話を始める、いいきっかけにしてみましょう!
親の老後に必要なお金、どのくらい?
親が元気なうちは、老後のお金の話はつい後回しになりがち。けれど、介護や医療の備えとして、現実には相応の費用がかかってきます。
たとえば厚生労働省の「介護給付費等実態調査」によれば、在宅サービス利用者1人あたりの月額費用は約15万円。自己負担が1割なら、月1.5万円前後が目安です(※1)。
これが数年にわたって続けば、家計への影響も無視できません。
さらに施設介護になると、負担はさらに増えます。厚労省のデータによれば、特別養護老人ホーム(ユニット型個室)などを利用した場合、居住費・食費・日常生活費を含めた自己負担は月8万〜10万円程度になることもあります(※2)。
また、同省の「国民生活基礎調査」では、要介護者を介護している期間は平均で約5年(60カ月)というデータも(※3)。仮に月8万円の負担が5年続けば、総額は480万円。
「うちは大丈夫」と思っていても、いざという時に備えておくことは決して無駄ではありません。
話しにくいときは「自分のこと」から
「老後のお金、大丈夫?」
いきなり親にそう聞くのは、誰でも躊躇してしまいますよね。
そんなときは、まずは自分の話をすることから始めてみましょう。
たとえば、
「最近、会社の人が親の介護で大変だったって話してて…」
「自分も老後に向けて貯蓄とか考えないとなあと思ってさ」
こんなふうに、あくまで“自分のこと”として切り出せば、相手も構えずに受け止めてくれるはずです。そこから少しずつ「お母さんはどう思ってる?」と会話の糸口を広げていきましょう。
親の老後を考えることは、自分の未来につながる
親の老後を考え始めると、自分自身の将来にも自然と目向いてきます。
年金だけで生活できるか?
住まいはどうするか?
誰が介護を担うのか?
これらはすべて、「親が直面する現実」でもあり、「いずれ自分に訪れる未来」でもあります。親の今を見て、「こうしておきたい」「こうならないように準備したい」と感じることこそ、ライフプランのヒントになります。
まとめ:ありがとうの言葉に、未来への一歩を添えて
母の日は、感謝を伝える日。けれど同時に、「これから」の話をそっと始めるのにもぴったりのタイミングです。「うちはまだ元気だから大丈夫」そう思っているうちに、ある日突然、準備が必要になるかもしれません。だからこそ今、ほんの少しでも、将来のことを共有する時間を持ってみてください。感謝の言葉に「これからも一緒に考えていこう」という気持ちを添えて。母の日を、家族の未来をつくる“きっかけの日”にしてみませんか?
【出典一覧】
※1:厚生労働省「介護給付費等実態調査 月報(令和4年4月審査分)
※2:厚生労働省 介護保険の解説「サービスにかかる利用料」
※3:厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況」
○この記事を執筆したファイナンシャルプランナー紹介
小峰一真(こみねかずま)
MILIZE みらいず AIとITと金融工学の力を駆使し、お金の計画・管理・運用まで完結できる次世代の金融ウェブサービスを手掛けている。個人の方向けには、専属FPにオンライン相談・メール相談ができるサービス『TAMARU』や、お金の情報について動画で分かりやすく解説する『MILIZEチャンネル(YouTube)』など、"金融商品を売らない"完全中立的な金融サービスを提供している。 この監修者の記事一覧はこちら