ダムカード、財政難で増刷危機!? 三重県がクラウドファンディング実施

2018年6月7日(木)20時0分 Jタウンネット

インフラに強い興味があるわけではなく、たまに「タモリ倶楽部」などで暗渠などを眺めるだけでも十分満足できる記者だが、「ダムカード」の存在は把握している。というか、結構欲しいのだが、なかなか「ダムカード貰いにダム旅行行こう」などと家人に言いだせず、黒部ダムカードを持つにとどまっている。


そんなダムカードの増刷を行うため、三重県が2018年5月30日からクラウドファンディングを行っているのだ。地元紙などでは予算不足のためとも報じられているが、一体どのような状況なのだろうか。


ダムカードは優れた広報ツール


三重県の公式サイトを確認してみると、県土整備部・防災砂防課・ダム班からのお知らせとして、確かに「ダムカードを通じてダムへの理解を広げたい!」とのお知らせが発表されている。


「ダムをPRするためのダムカードを作成することにご賛同いただける方から、クラウドファンディングにより寄付金を募集します」とされ、対象となるのは「宮川ダム」「君ヶ野ダム」の2か所。それぞれ20万円が目標金額だ。


期間は9月30日までとなっており、寄付は千円単位で1000円から。同県の「三重県『ふるさと応援寄附金(ふるさと納税)』」ページを通じて、クレジットカードやコンビニなどから寄付できる。さらに、寄付の特典としてダムカードの使用される写真を3点から選ぶ、投票を行うことができる。


取り組みはユニークだが、金額的に見ればさほど大きい目標金額ではない。いくら予算が不足しているとはいえ、用意できない規模ではないようにも思える。Jタウンネットが防災砂防課・ダム班に取材を行ったところ、担当者は「三重県の財政状況は危機的です」と答えてくれた。


「財源が不足しており、ダムカードの増刷分も確保するのが難しい状況でした。これまでも限られた予算の中で何とか増刷を続けてきましたが、それも厳しくなり、今回新たな財源として、ふるさと納税を利用したクラウドファンディングを実施することにしたのです」

三重県が公表している「三重県の財政状況」や、これまでの新聞報道などを確認すると、確かに危機的状況のようで、数年をかけて大幅な財政調整、特に人件費の削減などに取り組んでいるとのこと。わずか20万とはいえ、好きに使えるという状況ではなさそうだ。


それほど厳しいのであれば、いっそ一時中止といった形を取る方法もあると思えるが、担当者は次のように話す。


「ダムカードは全国約650か所のダムで配布されていますが、いずれのダムでも好評で収集しているコレクターの方も多く、高い効果のある広報PRツールだと認識されています。今回寄付を募っている宮川ダムも年間1000人、君ヶ野ダムも年間1200〜1300人の方がダムカードを求めていらしており、予算がないからやめるというのは、来ていただく方々にも申し訳ないと考えました」

ダムカードが広報ツールとしてそこまで優秀だったとは思わなかった。クラウドファンディングであれば、ネット上で告知する必要があり、県のダム事業を広くPRする機会にもなると考えたことも、今回実施した理由のひとつだという。


これまでは約2年分の在庫を少しずつ増刷して確保してきたが、目標金額の20万円は5〜6年分の在庫にあたる、5〜6000枚が増刷できる金額。目標金額に達成したかどうかに関係なく、集まった寄付を元に増刷を行う予定だ。


また、20万円に達した時点で寄付の受け付けは終了するので、目標金額を突破した場合の特典などは用意されていない。6月4日現在の寄付総額は宮川ダムが5万2000円、君ヶ野ダムが1万1000円で、両ダムとも全国から寄付が集まっているようだ。


ところで、三重県内で同県管理下にありダムカードが配布されているダムは6か所ある。今回のクラウドファンディングが成功すれば、他のダムでも同様の取り組みが行われる、ということもあるのだろうか。


「縦割りとのお叱りを受けるかもしれませんが、県土整備部の管轄は6か所中3か所で、残りは異なる部署の管轄になります。県土整備部のダムについては、成功した場合は継続もあるかと思われますが、他のダムについてはわかりません」

ダムカード盛り上げに一役買いそうなクラウドファンディング、是非とも他のダムでも導入してみると、面白いと思うのだが。

Jタウンネット

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