加速する東京の「無電柱化」 「さみしい」の声もあるけれど...どんなイイコトがあるの?
2021年11月10日(水)11時0分 Jタウンネット
かつては、街を歩けばいたるところで電柱の姿を目にした。空を見上げれば電線が張り巡らされていて、そこに鳥たちが止まっているのを見て「楽譜みたいだな」と思ったことがある人もいるかもしれない。
しかし、今、全国で道路上の電線類を地中に埋め、電柱を撤去する「無電柱化」の取り組みが進んでいることをご存じだろうか。

例えば東京都では、17年に「東京都無電柱化推進条例」を制定し、「東京2020」に向けた取り組みとして、積極的に無電柱化を推進してきた。
その結果19年度末には「センター・コア・エリア」(概ね首都高速中央環状線の内側エリア)の都道で整備がおおむね完了。21年には「無電柱化加速化戦略」を策定し、電柱のないエリアのさらなる拡大を目指している
この無電柱化の目的の一つに「良好な都市景観の創出」がある。視線を遮る電柱や電線をなくし、見通しをよくする、ということだ。
ただ、慣れ親しんだ光景がなくなっていくことについて、SNS上では、こんな声も上がっている。
「個人的には電柱電線のある景色大好きなので無電柱化は寂しいかぎり」
「電柱電線はやはり日本の風景だよね」
「電柱なくそうとする動きがあるらしいけど電柱のある風景好きだからちょっとイヤ」
その存在の消滅を寂しがる人も少なくない、電柱。なくなると、一体どんな良いことがあると言うのだろうか?
無電柱で「安心」「安全」な街になる?

結論から言うと、電柱がなくなれば、より「安全」で「安心」な街になるそうだ。
東京都が2021年11月4日に発表した報道用資料によると、東京では戦後、急増する電力・通信需要に対応するため多くの電柱がたてられた。
それが、大規模地震や大型台風などの自然災害で倒壊し、道路閉塞を引き起こして避難や救助活動の支障になったり、断線等によって停電や通信障害も生じたりしているとのこと。

例えば、18年9月上旬に上陸した台風21号では、関西で約1300本の電柱がおれ、大規模停電に繋がった。
19年9月上旬に首都圏を襲った台風15号でも、千葉県を中心に2000本以上の電柱が倒壊し、93万戸以上が停電。全面復旧まで2週間以上を要したのは記憶に新しい。
東京都の資料によれば、無電柱化が進めば電柱が倒れて道路がふさがることを防げる上、電線類の被災が軽減し、ライフラインの安定供給を確保できるという。
電柱の「ない風景」「ある風景」を写真で
また、災害が起こっていない平時でも、無電柱化のメリットはある。
歩道内の電柱がなくなり、道幅が広くなることで、歩行者や車いす利用者、ベビーカーなどが移動しやすくなるそうだ。

とはいえ、見慣れた景色が変わっていくことを寂しく感じるのは、当然のことだろう。
東京都では2021年9月7日〜10 月13 日の期間に「無電柱化の日」フォトコンテストを開催していた。
ツイッターやインスタグラムでの応募も行っており「#無電柱化の日」「#東京の無電柱化」を検索すれば、参加したSNSユーザーたちが撮影した「電柱と電線がある風景」「電柱と電線のない風景」を見ることができる。
「懐かしい風景」と「新しい風景」にどんな違いがあるのか、皆さんも覗いてみてはいかがだろうか。
なお、コンテストの結果は11/10(無電柱化の日)に発表され、入賞作品は、 東京都公式動画チャンネル「東京動画」で公開される予定。