「仕事なんだから嫌なことがあって当たり前」は大間違い…幸せになるために今すぐ捨てたほうがいいもの
2025年4月19日(土)16時15分 プレジデント社
※本稿は、杉田隆史『「なんだか生きづらい」がスーッとなくなる本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo
■「新聞を読まないなんて、大人じゃない」は本当か
私が小さい頃は、まだテレビが一家に一台の時代だったので、「チャンネル争い」ってものが存在しました。今考えると、なんか笑っちゃいますね。
私の家族でも時々、父と子供たちの間で「チャンネル争い」が起きましたが、そんな時、父はいつもこう言うんです。「大人はニュースを見なきゃダメだ」って。
今にして思えば、父は子供たちの見たいアニメなんかにまったく興味がなく、もっともらしい理由をつけて、自分の見たい番組を正当化したかったんだろうと思います。
でも、こういう言葉を繰り返し聞くことで、「思い込み」って生まれますよね。「あっ、大人になったら、ニュースを見なきゃいけないんだ」って。
それと似たようなことで、父は他にも「新聞を読まないなんて、大人じゃない」なんてこともよく言っていました。
だから私は、父から直接、「ニュースを見ろ!」とか、「新聞を読め!」とか言われてはいないのに、やっぱり大人になったら、「それぐらいしなきゃダメなんだな」って思うようになっていたんです。
■殺人事件のニュースを繰り返しみて気分が悪くなったら
でも、ニュースや新聞って、本当にすべての人に必要なんでしょうか?
そりゃ社会人なら、新聞は読んだほうがいいと思うんですけど、でも本人が、「特にその情報が必要ではない」、しかも「読んでも楽しくない」と思っているのに、それでも「新聞を読まなきゃいけない」って思っているのって、なんかヘンですよね。本人に全然メリットがない。
それから、テレビのニュースに関しても、「最近の暗いニュースとか見てると、なんか不安になっちゃうんです」なんて言いながら、「とりあえずニュースだから見なきゃ」とか思っている人もいたりします。
たしかに世の中の出来事を知るのは大切かもしれないけれど、たとえば、殺人事件のニュースを何度も繰り返し見たり、犯人の詳細を知るのって、そんなに必要なのでしょうか。もしそれで不安になったり、気分が悪くなったりするくらいなら、見ないほうがいいですよね。
■「当たり前の押し売り」に負けない
ということで、ここまでは、「大人はニュースを見なければいけない。新聞を読まなければいけない」という「思い込み」についてお話ししましたけど、他にも、世間ではそうするのが当たり前のように思われているけれど、じつは自分にとってマイナスなのに、それに気づかずにやってしまって苦しんでいる、そんな「思い込み」って結構あると思うんです。
たとえば、英語が必要でもないし、好きでもない人が、なぜか「英語くらい話せなきゃ」なんて思い込んでいることってありませんか。そういう人は、当然モチベーションが低いですから、英語の勉強を始めても続きませんし、何度も挫折しては、できない自分を責めたりします。
写真=iStock.com/Chainarong Prasertthai
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Chainarong Prasertthai
また、「みんなと仲良くしないといけない」なんて思い込んでいる人もいます。
たしかにみんなと仲良くしたほうがいいとは思います。ただ「人それぞれ」という前提が正しいのなら、自分が「仲良くできる人」と、「仲良くできない人」がいても不思議ではないですよね。
それなのに、「仲良くできない人」がいると、一方的に「自分が悪い」と思って、自分を責める人がいます。こういうのも自分を不幸にする一つの「思い込み」ではないでしょうか。
そんな自分を不幸にする「思い込み」の中で、私が最も苦しんだのは、「仕事」に関する「思い込み」でした。
■いくら正しくても、自分に「合わない」ことってある
高度経済成長期を生き抜いた父は、けっして悪気があって言ったわけではないと思います。でもこんな父の言葉から、私は、「そうか、仕事って自分がイヤなことをガマンしてやるもんなんだ。楽しいことやっちゃダメなんだ」って思ったんですね。
ところがどうも私は、仕事をガマンして続けていく能力がなくて、辞め続けてしまいました。
私は今でも父の言っていた、「給料はガマン料だ」、「仕事はイヤなことやってナンボだ」ということは、ある意味、正しいと思います。
でも、いくら正しくても、自分に「合わない」ことってあるんですね。どんなに健康に良い食べ物でも、自分が嫌いだと食べられないように。
そんな私も、立ち直っていく過程で、自分を不幸にする「思い込み」に気づいていったんでしょう。「アレ? イヤなことをガマンするだけが仕事じゃないのかも……」と思って行動し始めたら、なんだか楽になって、気がつけば今の仕事をしていました。
もしあのまま、「仕事はイヤなことやってナンボだ」と思い込んでいたら、今でも仕事を辞め続けていたと思います。
でもこれは、「だからあなたもイヤな仕事は辞めて、好きなことやっちゃいなよ!」とかオススメしているわけではありません。
これはあくまでも私の中にあった、自分を不幸にする「思い込み」を捨てたというだけで、あなたを不幸にする「思い込み」は、また違うと思います。自分を不幸にする思い込みは、人それぞれ違うんです。
■思い込みを「手放す」シンプルな問い
今の私は、自分のやっていることに、どこか違和感を感じる時は、シンプルにこう質問してみます。
「~することで、私は幸せになれるのか?」
あまりにシンプルすぎるがゆえに、こういう質問、ふだんなかなかできないんですよね。
たとえばこんな感じです。
「ニュースを見ることで、私は幸せになれるのか?」
「新聞を読むことで、私は幸せになれるのか?」
「イヤな仕事をガマンすることで、私は幸せになれるのか?」
杉田隆史『「なんだか生きづらい」がスーッとなくなる本』(三笠書房)
この質問の答えは、人それぞれ違います。
ニュースを見たほうが幸せになれる人もいるし、見ないほうが幸せになれる人もいる。
新聞を読んだほうが幸せになれる人もいるし、読まないほうが幸せになれる人もいる。
イヤな仕事をガマンしたほうが幸せになれる人もいるし、ガマンしないほうが幸せになれる人もいる。
今あなたが毎日やっていることで、どこか違和感があることはありませんか?
そして、それをすることは、本当にあなたを幸せにしていますか?
──「あなたが幸せになれるか」がすべて。
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杉田 隆史(すぎた・たかし)
心理セラピスト、メンタルトラベル代表
1970年東京都生まれ。高校の頃から漠然とした生きづらさに悩み、「心の病気じゃないけどツライ」という状態を20年間続けて、引きこもりも経験。2006年に心理セラピーと出会い、初めて生きづらさから解放されたことをきっかけに、日本における第一人者たちからさまざまな心理セラピーの技法を学ぶ。自らの経験から、「心の病気じゃないけどツライ」という人の受け皿の必要性を感じ、「悩んでいない人の悩み相談」という看板を掲げて、心理セラピーの個人セッション、ワークショップを開催。クライアントは日本国内はもちろん、海外からも訪れ、これまで5000人以上の悩みを聴き、セラピーを行なってきた。
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(心理セラピスト、メンタルトラベル代表 杉田 隆史)
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