「竹島海鮮カレー」が人気、島根県庁の食堂「スワン」閉店へ…新規出店者を募集

2025年4月29日(火)11時15分 読売新聞

 島根県庁地下1階で60年以上営業する食堂「スワン」が10月以降に閉店する。県庁職員だけでなく、一般客も多く利用するが、コロナ禍や物価高騰で悪化した収支の改善が見込めないためだ。運営する地方職員共済組合県支部は、食堂と、8月以降に閉店する隣の売店を運営する事業者を公募している。(小松夕夏)

 県福利厚生室によると、昼食で利用する職員らの負担を減らせるよう、食堂と売店の閉店の時期をずらした。新たな事業者による営業は、食堂が来年1月、売店が今年10月から始まる予定だ。

 現在の食堂では、いずれも日替わりで野菜が豊富な「スワンランチ」と栄養バランスを考えた「美食ランチ」など、600〜1650円のメニュー約15種類を用意。また2年前から、県条例で定める「竹島の日」(2月22日)に合わせて、隠岐の島町産の海産物を使い、竹島を模したご飯が盛られた「竹島海鮮カレー」を提供しており、一般客も食べに来る人気メニューだった。

 ただ、県支部が運営する食堂は県庁だけで、経営の合理化を図ることが難しく、以前から赤字が続いていた。コロナ禍では、感染対策で118席あった座席を40席減らしたことなどから、2019年に1日平均215人いた利用者は22年には180人にまで減少。20年からの3年間は赤字が年1000万円以上に膨れ上がった。

 また、食材費の高騰や人件費の負担が大きくなり、22年度まで470円だったスワンランチと美食ランチは段階的に値上げし、24年11月には700円になった。キャッシュレス決済対応機材の導入も難しいことなどから、利用者の増加は見込めないとして閉店を決めた。

 食堂をほぼ毎日利用するという県教育委員会の清水明・教育DX推進室長は、「普段顔を合わせない職員との交流の場として足を運んでいた。名残惜しさはあるが、新しい食堂には安くて豊富なメニューを期待したい」と話していた。

 公募では、食堂(約306平方メートル)と売店(約95平方メートル)のそれぞれの運営事業者を募る。運営期間は、食堂が来年1月からの5年間、売店が今年10月からの5年間。応募締め切りは5月2日で、事業者によるプレゼンテーションなどを経て、7月下旬に選定する。

 県福利厚生室の担当者は「職員の福利厚生を充実させるためにも、民間のノウハウを生かして長く運営してほしい」と話している。

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