2024年度のコンプライアンス違反倒産、379件で過去最多に 急増する「粉飾」倒産、過去最多の101件
2025年4月15日(火)11時17分 PR TIMES
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株式会社帝国データバンクは、2024年度に発生した「コンプライアンス違反倒産」の発生状況について調査・分析を行った。
SUMMARY
2024年度のコンプライアンス違反倒産は379件で、4年連続で前年度を上回り過去最多となった。業種別では「サービス業」、違反類型別では「粉飾」が最多となった。粉飾決算や各種補助金の「不正受給」の増加が目立つ。
■2016年度から集計。前回は2025年1月24日に発表
注1:「コンプライアンス違反」は、意図的な法令違反や社会規範・倫理に反する行為などを指す。こうした、コンプライアンス違反が取材により判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産(コンプラ違反倒産)」(法的整理のみ、負債1000万円以上)と定義
注2:同一企業に複数のコンプライアンス違反がある場合は、主な違反行為で分類
2024年度のコンプラ違反倒産、過去最多の379件
2024年度の「コンプライアンス違反倒産」は379件となり、2023年度(352件)を27件(7.7%増)上回り、過去最多を更新した。4年連続で前年度を上回り、3年連続で300件を超えた。[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1060/43465-1060-e66ed5f7045d917fb2bfee4b29472f35-742x725.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
業種別(大分類)にみると、「サービス業」が129件(構成比34.0%)で最も多く、「建設業」が69件(同18.2%)、「卸売業」が52件(同13.7%)で続いた。
中分類でみると、主に広告代理業者やソフトウェア業者等が含まれる「広告・調査・情報サービス業」(47件)が最も多く、次いで老人福祉事業者や産業廃棄物処分業者などが含まれる「その他のサービス業」(43件)、土木工事業者や建築工事業者などが含まれる「総合工事業」(31件)が続いた。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1060/43465-1060-f8021065e49e0a359281bd4bfd49088a-683x773.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
「粉飾」倒産、3年連続増加で過去最多の101件
違反類型別にみると、「粉飾」が101件(構成比26.6%)で最も多く、過去最多となった。コロナ禍のゼロゼロ融資など各種支援策が粉飾の発覚を遅らせ、表面化しづらい状況が続いていた。その後、ゼロゼロ融資返済開始のタイミングで発覚するケースが目立ち、増加傾向で推移している。加えて、粉飾決算による倒産企業の負債規模は大型化しており、金融機関をはじめとする多くの取引先を巻き込む事態となっている。次いで、個人的な理由で代表が逮捕されるケースや複数の訴訟に発展した支払い遅延などの「その他」が63件(同16.6%)。労働安全衛生法違反や指定取消などの「業法違反」が62件(同16.4%)と続いた。「業法違反」のうち、17件は「運輸業」で、国土交通省の行政処分等の公表により対外的な信用が失墜し、倒産に至るケースが目立った。
また、資金流出や横領などが含まれる「資金使途不正」は61件(同16.1%)で、悪質なM&Aにより資金流出した企業の倒産が10件以上発生。コロナ禍の雇用調整助成金など各種補助金の「不正受給」(55件、同14.5%)は、2022年度以降急増し、2年連続で過去最多となった。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1060/43465-1060-f144ae9cc90e6b8f222070f030f1455e-1258x785.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
まとめ
2024年度の全国企業倒産件数は1万70件(前年度比13.4%増)と、11年ぶりに1万件を超えるなか、コンプラ違反倒産は4年連続で前年度を上回り、倒産全体の3.8%を占めた。雇用調整助成金をだまし取ったとして2025年2月に元社長らが逮捕され、翌3月に破産手続き開始決定を受けた結婚式場運営のアルカディア(福岡)のように、不正の事実はまたたく間に広がり取引先や消費者の離反を招く。コンプライアンス違反企業に対する社会の目は厳しくなり、法令順守がより求められる。