イプサ、角層の水分保持状態を3D画像で可視化~水分子そのものを測定する先端技術を活用~
2025年4月21日(月)12時16分 PR TIMES
今回は誘導ラマン散乱(Stimulated Raman Scattering, SRS)顕微法*1を用いて、これまで測定が難しかった肌内部の水そのものを3次元で測定し、角層での水分保持状態を3D画像で可視化しました:*2(図1) 。
生命にとって、また美しい肌にとって、本質的に重要な「水」。その構造はシンプルで単純なようにも思われますが、実はその挙動には未知な領域も少なくなく、「水」は興味深い研究対象です。今回の技術によって「水」そのものの可視化が可能になったことにより、水の性質、ひいては美しい肌と水の関係性をより深く理解することにつながると考えます。イプサはこの技術を応用し、角層の水分保持状態を詳細に解析することで、保湿効果が高い商品開発に活かしていきます。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/100029/51/100029-51-b1752cf5788eb3d94f7a827ef5fa1e75-584x321.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]図1 誘導ラマン散乱顕微法を用いた角層の水分保持状態の可視化
*1 光と分子の相互作用のひとつである誘導ラマン散乱(SRS)という現象を用いて、分子を検出する技術。
*2 資生堂と東京大学との共同研究
■研究背景
当社既存の水分量測定は、市販されている測定機器を皮膚表面に接触させ、水が電荷をため込む性質を利用し、水分量と相関する静電容量を測定する手法が行われてきました(図2)。この手法で得られるデータは機器の先端部分を接触させた場所の数値情報でした(図3)。今回、水が角層のどの程度の深さまで浸透して保持されているのか詳しく観察するため、肌内部の水分子そのものを詳細に測定・可視化する技術に着目しました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/100029/51/100029-51-4e270531348474add5fe78c34e9a1781-1637x399.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]図2 イプサ既存の技術(イメージ) 図3 既存技術で得られるデータ例
■肌内部の水分子を精密に測定・可視化する先端技術
資生堂と東京大学との共同研究では、「誘導ラマン散乱顕微法」を用いることで、肌内部の水分子そのものを精密に測定することに挑戦しました。この「誘導ラマン散乱顕微法」は、対象物に2つのレーザー光を同時に照射した際の光の強さの変化を検出することで、その対象物中の分子を非侵襲的(皮ふを傷つけることなく)かつ3次元的に検出し、イメージング計測する技術です。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/100029/51/100029-51-62375e2aa887854158821361ac4df0b6-171x134.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]図4 誘導ラマン散乱顕微鏡
例えば対象物を角層シートにした場合、角層シートを通って出てきた光のうち、水分子に特有の光を検出・解析することで 、縦/横/深さ方向の3次元で水分子そのものを計測することができます(図5, 6左)。さらに、3D画像を得ることにより、表面から奥にかけて存在する水の分布、角層の水分保持状態の可視化を可能にしています(図6右) 。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/100029/51/100029-51-536cbf83b7f1fb3e687d5fdbc5341f47-2507x632.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]図5 今回の技術(イメージ) 図6 今回の技術で得られるデータ例
■本技術の応用例
水とイプサの化粧水を角層シートへそれぞれ塗布しました。その後、表面に残ったサンプルを除去し、高湿度環境下へ移動させ、水を十分に保持させました。水を十分に保持させた各角層シートでどれくらいの水が分布しているかについて、誘導ラマン散乱顕微鏡を用いて3次元で測定し、可視化した結果、以下のようなデータが得られました(図7)。水分保持状態に違いが表れたのは、角層内に化粧水製剤のうるおい成分が浸透したためだと考えられます。
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/100029/51/100029-51-6c8f220d6f82eb1533e86b29d4daa465-1848x447.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]図7 角層シートに保持されている水の分布を測定し、3D画像として可視化
■今後の展望
資生堂と東京大学との共同研究では、誘導ラマン散乱顕微法を活用することで、これまで困難であった肌内部の水分子そのものを精密に測定・可視化することを可能にしました。この新しい技術は、角層の水分保持状態を3D画像で可視化できるため、製剤を塗布した際の角層への浸透状況をより理解するうえで非常に重要な技術です。
今回、イプサはこの技術を応用し、水の性質、ひいては美しい肌と水の関係性をより深く理解することにつなげ、角層の水分保持状態を精密に解析することで、保湿効果が高い商品開発に活かしていきます。
【本件に関するお問い合わせ】
株式会社イプサ PR担当 (ipsa-pr@ipsa.co.jp)
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