「今の打ち方だったら何回やっても打てない」――佐藤輝明に飛んだゴジラ松井の“檄” 今春に打率7割の大砲は完全開化なるか

2024年2月20日(火)6時0分 ココカラネクスト

さらなる飛躍が期待される佐藤。そのパフォーマンスには阪神の浮沈がかかっている。(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 レジェンドからの言葉は、実に鋭く、真っすぐだったのを記憶している。

 それは、プロ2年目の22年シーズン、苦心の時を過ごした阪神の大砲・佐藤輝明に向けて、日米通算507本塁打を放った松井秀喜氏が放ったものだった。

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 乱高下を繰り返したシーズンだった。ルーキーイヤーから2年連続2桁本塁打(20本塁打)を達成したものの、調子の浮き沈みが激しい1年でもあった。そうしたなか松井氏が檄を飛ばしたのは、シーズン終盤に迎えたヤクルトとのクライマックスシリーズファイナルステージの第1戦だった。

 敵地・神宮球場に乗り込んだ一戦で「6番」で先発起用された佐藤は、4打数無安打、それも3三振と散々たる内容に終始。相手バッテリーの術中にハマり、ゾーン内の甘い球を見逃し、高めのボールゾーンに抜けた釣り球を振ってしまうシーンが悪目立ちした。

 無論、ヤクルトの対策が見事ではあった。しかし、先述のそれは悪循環に陥ると途端に精彩を欠くという佐藤のルーキーイヤーから見られたお馴染みの光景でもあった。そこで松井氏はズバッと問題点を指摘した。

 この日にゲスト解説に招かれていた百戦錬磨の大打者は「やっぱり見極めをちゃんとできるか、できないか」とポツり。虎の拙攻を招いた佐藤の打撃を手厳しく論じた。

「やっぱりホームランバッターは四球が増えないと。そうしないと率も上がらない。慣れも必要でしょうけど、考え方というかアプローチも大切。今の打ち方だったら何回やっても打てない。ピッチャーの一人ひとりに対する対策が必要になりますよね」

 それから時は流れ、指揮官も入れ替わる激動のチーム事情の中で佐藤も様々な経験を積んだ。昨シーズンには阪神史上2度目の日本一もレギュラーとして経験し、名実ともに「虎の顔」となり、一皮むけたという声もある。

 確かにシーズン終盤は安定感も出だしてはいた。ただ、あえて言うなら勝負は今年だ。阪神が一大フィーバーを巻き起こした昨シーズンも、松井氏の言う「ホームランバッター」とはまだ遠い印象があった。実際、ボールゾーンの見極め率(70.94%)は、リーグトップの近本光司のそれ(83.84%)とは雲泥の差だ。

 阪神が戴冠を果たした昨シーズン以上の内容が求められる。そうしたなかで、今春は完全開化に向けた兆しが見て取れる。オフに米シアトルにあるトレーニング施設「ドライブライン」に出向き、細かなデータと向き合いながらスイングの改造に着手。その結果、ここまで春季キャンプでのチームの紅白戦を含めた実戦では、8打数6安打の打率.750と驚異的な数字を出している。釣り球に手を出す素振りもなく、内容も上々だと言える。

 打率7割台とはいかないまでも、この好調ぶりがシーズンに入っても維持できれば……。阪神史上初の連覇のキーマンである佐藤は、松井氏の語った“理想”に迫れるはずだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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