トヨタ、WEC王者として開幕戦セブリングでライバルたちを迎え撃つ。小林可夢偉「スタートが待ち遠しい」

2023年3月9日(木)16時26分 AUTOSPORT web

 相次ぐ自動車メーカーの参入により、過去もっとも激しい戦いが繰り広げられることが予想されるWEC世界耐久選手権の2023年シーズン。ハイパーカークラスの2連覇チャンピオンであるTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、総勢7メーカーが激突する今季同クラスでのタイトル防衛を目指し、まずは初戦であるセブリング1000マイルに挑む。


 昨年のプジョーに続き、フェラーリとヴァンウォールが新型ハイパーカーを投入し、さらに北米IMSAのハイパーカー“LMDh”車両を用いるポルシェとキャデラックの参入により“スポーツカーレース黄金時代”の再来とも言える盛況ぶりとなっている今季のWECハイパーカークラス。このカテゴリーで連覇を果たしたトヨタは、2022年に引き続き2台のトヨタGR010ハイブリッドで参戦する。


 既報のとおり、小林可夢偉が率いるTGR WECチームは、この2023年シーズンに向けてチャンピオンマシンであるトヨタGR010ハイブリッドをアップデートし、2023年仕様へと進化させた。空力デバイスの見直しやボディワークの最適化を行うとともに、3.5リットルV6ツインターボエンジンとハイブリッドシステムによって構成されるハイブリッド・パワートレインの軽量化、ならびに信頼性のさらなる強化が図られている。


 この改良型トヨタGR010ハイブリッドを用いたシーズン前のテストプログラムは順調に進み、信頼性とドライバビリティの最適化、車両重量の軽減などを目的としたさまざまな変更についての検証も行われた。


 一方、シリーズ4連覇、ル・マンでは5年連続で総合優勝を飾っている同チームは、ドライバーラインアップを変更せずに新シーズンへと臨む。7号車を託されるのはマイク・コンウェイ/可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組。前年のル・マン/WECチャンピオントリオであるセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮が8号車をドライブする予定だ。

TOYOTA GAZOO RacingのトヨタGR010ハイブリッド


 そんな彼らを待ち受ける開幕戦の『セブリング1000マイル』は、ドライバーと車両にとって、他に類を見ないチャレンジとなる。アメリカにおける耐久レースの“聖地”とも言えるセブリングは1950年のオープン以来、荒れた舗装の路面でよく知られている。また、この時期のフロリダは蒸し暑く、天候の予想が難しいレースでもある。


 そんなセブリング1000マイルは3月17日(金)に決勝レースが行われるが、これに先立って今週11日(土)と12日(日)はWEC公式テスト、通称“プロローグ”が第1戦の舞台であるセブリング・インターナショナル・レースウェイで行われる。同テストでは2日間で合計12時間30分にわたるテストが可能であり、各チームは開幕戦に向けた準備や最後の調整を行う。


 シーズンオープニングイベントのレースウイークは、15日(水)のプラクティスで幕を開ける。初日は2回、翌16日(木)は1回のフリープラクティスの後、木曜夕方には今季最初の予選が実施される。そして、17日(金)の現地正午(日本時間20日1時)に約8時間にわたる1000マイルレースのスタートが切られる予定だ。
 
 7メーカーから合計11台のハイパーカーがグリッドに並ぶこの初戦でTGRは2019年以来、2度目のセブリング戦優勝を狙う。


■TGRドライバー6名のコメント


◆7号車トヨタGR010ハイブリッド


●小林可夢偉(チーム代表兼ドライバー)
「すべてのハイパーカーチームにとって、セブリングは大きなチャレンジになりますが、我々の準備は万端で、世界チャンピオンとル・マン防衛へ向け闘志に満ちています。日本のトヨタ関係者、及びパートナーの皆さまの素晴らしい協力体制とサポートにより、我々はとても結束力高く、安定したチームになっています」


「ル・マンでの輝かしい戦歴を誇るフェラーリ、プジョー、ポルシェといった強力なマニュファクチャラーや他のハイパーカーと相対することは非常にタフなものになると思いますが、彼らとともにレースの上位争いに加われることはエキサイティングなことでもあります」


「このチャレンジに向けて、開幕戦セブリングから、我々は真のチームスピリットでこれまで以上に固く協力していく必要があります。ドライバーとしても、ミスなく、速く、安定した走りが求められていることは当然ですし、チームもプロローグの初日から最適なセットアップを見出すために懸命に動いてくれるでしょう。開幕戦へ向けて準備が整っている自信はありますし、スタートが待ち遠しいです」


●マイク・コンウェイ
「セブリングのような最高のコースでシーズンの開幕を向かえることにワクワクしている。セブリングはアメリカのファンの皆をはじめ、すべてが醸し出す雰囲気が素晴らしいし、今年はこれまで以上に多くのハイパーカーがグリッドに並ぶということでさらに特別なものとなるだろう」


「耐久レースに携わる誰もが、今シーズンがどうなるのかを楽しみにしていると思うが、我々自身も素晴らしいバトルを期待しており、セブリングはその最初の舞台となるはずだ」


「セブリングはその長い歴史とともに、開幕戦の舞台として完璧な場所であり、素晴らしいイベントになることは間違いないと思う。我々はレースウイークを順調に戦うためにも、プロローグからトヨタGR010ハイブリッドの適切なセットアップを見出すべく、ハードワークを続けていく」


●ホセ-マリア・ロペス
「セブリングは、荒れた、さまざまな舗装路面を持つ昔ながらのサーキットで、ふたたび走れるのが楽しみだ。しかし、その特性から、ドライバーやエンジニアにとっては最良のセットアップを見出すのが簡単ではない。そのため、直前に行われるプロローグテストで、改良されたトヨタGR010ハイブリッドをセブリングにあわせて調整することがとても重要なんだ」


「シーズン前のテストは順調で、改良点は期待どおりに動いているので、来たるシーズン開幕へ向けての自信に繋がっている。セブリングでは、この改良された車両パッケージと、ライバル勢との競争力が比較できる最初のチャンスという意味で興味深いし、僕たちも楽しみにしているんだ」

2023年仕様のトヨタGR010ハイブリッド


◆8号車トヨタGR010ハイブリッド


●セバスチャン・ブエミ
「新たなハイパーカーカテゴリーのライバル達とのバトルが始まるのが待ちきれない。今季のWECにおけるこの大きな変革の中に携われるというのは本当に特別なことだし、このエキサイティングな挑戦が楽しみだ」


「セブリングでのレースは楽しいし、2019年に8号車で勝利を挙げているので、セブリングでの勝利の味もよく知っている。僅差の戦いになるだろうが、僕たちは上位争いに加われるはずだ」


「そのためにはこれまで以上に一切のミスなく、すべてを正しい方向で進め、週末を完璧に戦う必要がある。我々にはこれまでWECを戦ってきた経験と知見があるので、力強く上位争いができると確信している」


●ブレンドン・ハートレー
「素晴らしいシーズンになるであろう2023年のWECにおいて、セブリングは最高の開幕戦の舞台だ。サーキットも、アメリカのファンの皆の情熱や歴史が感じられる雰囲気も大好きだ」


「レースウイークを前に、僕たちは改良されたトヨタGR010ハイブリッドで初めてセブリングを走るチャンスであるプロローグテストに臨み、忙しい数日間を過ごすことになる。レースウイークへ向け、セットアップやタイヤコンパウンドなどの評価をしなくてはならないので、このテストは重要だ」


「トヨタと同様に、耐久レースで輝かしい歴史を刻んできたマニュファクチャラーが参戦してくることで、激しいバトルになることが予想されるし、間違いなく最高のイベントになるだろうね」


●平川亮
「セバスチャン(・ブエミ)、ブレンドン(・ハートレー)とともにまたレースに臨めることをとてもうれしく思います。私たちは昨年、とても素晴らしいシーズンを戦い、最高のチームを作り上げました」


「私にとってのハイパーカーでの初シーズンは予想以上のものとなり、ル・マンを制し、世界チャンピオンも獲得できたのは、素晴らしい経験でした。シーズンを通して多くのことを学び、トヨタGR010ハイブリッドに慣れるとともに、セブリングのような初めて走るサーキットについても学びました」


「これらの経験は、WECチームで2年目のシーズンへ向けて良い準備になりましたし、セブリングのコースやコンディションについても何が起こるかわかるので、昨年以上に準備は万端です。セブリングは特別な場所で、昨年も本当にレースを楽しむことができたので、今年も期待しています」

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